随分と昔、確かまだ学生だった頃です。
母が、一枚の白黒写真を見せてくれました。
写っていたのは、和服を着て髪を結い、しゃんと背筋を伸ばして座る美人さんでした。
誰これ? と訊いた時、母は少し得意げに、ばあちゃんよ、と答えてくれました。
少し混乱したおぼえがあります。
あまりにも、当時の祖母が若い頃にあんな美人さんだったとは思っていなかったから。
母に、あんたはばあちゃんに似てるんだから頑張りなさい、と言われた記憶があります。
何をって、減量です。そうです、減量です。
母曰く、母方は美男美女揃いだし、父もイケメンだし、
顔は悪くないんだから痩せれば美人になるわよ、と。
(親の欲目な気がしなくもないですし、話が脱線してないかい?と思われそうですが、
一応、関係のあることなので書いてみました)
去年の秋頃の話です。ポケモンGO効果でひたすら歩いていたあの頃、
半年振りくらいに祖母に会いに行きました。
がまぐちの財布を欲しがっていた祖母に、手作りのがまぐちを渡すためでした。
元々は母にと作ったがまぐちでしたが、非力な母は口を開けることが出来ず、
ばあちゃんが欲しがってるからあげていい? と訊かれて、OKを出したわけです。
母「お母さん、これ。四季が作ったからちょっと歪んでるけど」
自分「うん……いびつで悪いんだけど……」
祖母「四季ちゃんが作ってくれたんかい? 丁度いいや、ありがとう」
旅行でのお土産や、送る絵手紙。それらを祖母は、年齢のわりにシワのない
ぴかぴかのおでこで、目を細めて喜んでくれます。
他にも、お団子のような鼻もかわいいよなあ、なんて、
まじまじと見ることは流石にしませんが、写真を見ながら
かわいいかわいいと和むこともしばしばあって。
ほんの少し毒を呟くなら、キャリアが高くてハイスペックな
母方の従兄たちと比較した自分の情けなさです。
にいちゃんたちと比べて、ああ自分ダメだな、なんて祖母に申し訳なくなって。
自分には、施設に入所している祖母に絵手紙を送ることが精一杯で、
それが孝行になるなら、と季節の折にハガキとにらめっこをして。
たまにしか、会いに行けない祖母。
送る絵手紙に、いつもありがとない、と言ってくれる祖母。
顔を見せに行ったとき、普段よりちょっぴり笑顔でいられるのは、
ひとえに祖母の優しさゆえだと思っています。
余談ですが、両親は週一で祖母のところへ顔を出していて、
がまぐちを渡した次の週、祖母がこう言っていたと施設から帰宅した母に聞きました。
「四季ちゃん、かわいくなったない、細くなって」
ポケモンGO効果でそこそこの減量に成功していたことに気付いてくれていたようで、
嬉しいやら恥ずかしいやら。
まだまだ減量は継続中で、頑張って昔の祖母のような美人さんに、
長生きするとしたら今の祖母のようなぴかぴかのおでこのおばあちゃんに。
かわいい祖母は、自分もこうなりたいと思わせてくれる、憧れの存在です。