終わりが見えた義実家の家じまい | 隠居ジイサンのへろへろ日誌

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九州北部の街で、愛するカミさんとふたり、ひっそりと暮らしているジイさんの記録

義実家(妻の実家)の家じまいをしています。義実家は平屋建ての5LDK。車庫・庭・畑あり。築50年以上の母屋に1LDKの増築部分がくっついています。1時間に1本くらいしかバスが通らないド田舎です。わが家から車で1時間半ほどかかります。

義父は25年ほど前、義母は15年ほど前に他界して、独身の義妹(妻の妹)がひとりで住んでいましたが、数年前、体調を壊して仕事を辞め、今年1月に要介護認定を受けて介護老人ホームに入所しました。もう、だれも住む予定はありません。不動産屋さんに売却をお願いしていたところ「正式契約はまだですが、買い手がつきそうです」と連絡がありました。

 

備忘録として、家じまいの経緯を記録しておきます。同じように実家の家じまいを考えている方の参考になればと思ます。

 

義実家でひとり暮らしをしていた義妹は、掃除や片づけが苦手でした。勤めに出ていたときは、人を呼べる程度に片付いていたのですが、体調が悪くなってからはゴミ屋敷へ一直線。カミさんもうすうす感づいていたようですが、コロナ禍で2年ほど帰省できず、確かめることができませんでした。

去年の夏、義妹が緊急入院したと連絡があり、しばらくぶりに家に入ってびっくり。リビングには生活ゴミがヒザくらいの高さまで積み上がっていました。床も見えず、足の踏み場もないほど。コンビニ弁当やペットボトル、レジ袋、郵便やチラシ、マンガ、雑誌、薬の袋、お菓子の空き箱、汚れたままの洋服・・・。ふだん使わない母屋には、宅配便の段ボール箱が山のようになっていました。

義妹が入院している間に丸1日かけて片づけと掃除をして、庭に除草剤を撒き、一息つけるくらいまでにしていました。その時片づけたゴミだけでトラック2台分、回収業者さんに7万円も支払いました。

汗と涙と怒り。

ところが、退院して1カ月ほどで再入院。家に行ったら、またゴミが溜まり始めていました。

心臓のバイパス手術を2回、高血圧や神経痛などで何度か救急車で病院に運ばれて、そのつど近所の人に迷惑をかけ、わたしたちも病院にかけつけました。

ある日、ソファーとコタツの間に体をはさまれ身動きがとれなくなり、カギをかけたままだったことから、近所の人に窓ガラスを割ってもらい助け出されたこともあります。その時は携帯電話が手に届くところにあったから助かったものの、トイレや風呂で動けなくなったらどうしようもなかったでしょう。もう、ひとりで生活できるレベルではありません。

近しい縁者はわたしたちだけですが、団地住まいの年金生活者では、引き取ることも経済的に援助することもできません。老老介護で共倒れになるだけです。こういうときは公的機関に頼るのがいちばんです。義妹も、長年まじめに働き、税金も介護保険料も払ってきましたから、遠慮なく使わせてもらいます。市役所の福祉担当に相談して、いろんな検査を受け、要介護に認定され、今年の1月、施設に入所できました。


そういうわけで、義妹に家じまいをさせるのは無理になりました。

もうだれも住むことがない家でも、維持管理の労力や固定資産税もかかります。隣には家が建っていて、草ぼうぼうにするわけにもいきません。空き巣や放火、台風被害なども心配です。無人の家は物騒です。

ド田舎なので、売り払ってもお金にはなりませんが、心配のタネは早く手放したほうがいいね、とカミさんと話しました。

 

義妹が施設に入所したのが正月早々です。すぐに家じまいに取り掛かりました。気がかりだったのが仏壇と神棚の処分です。粗大ゴミとして出すわけにもいきませんからね。義父母のお骨は菩提寺の納骨堂です。お墓はありません。位牌は義妹が施設に持って入りました。

1月中旬。

菩提寺の住職に相談したら専門業者さんを紹介してくれ、引き取り時には住職も来てくれて、お経もあげてもらえました。神棚も業者さんに引き取ってもらえました。

業者への支払い2万2千円、住職にはそれなりのお布施を。これはとてもありがったかった。

これで、家じまいの最初の懸案事項が片付きました。

5月。

菩提寺で法要があり、家のようすを見に行きました。雑草はまだ短いままでしたが、夏に向けて雑草が伸びたら困るので除草剤を撒いておきました。そのおかげで、お盆に行ったときは、周りに迷惑をかけるほどではありませんでした。

だれも住んでない家は傷みが早いですね。半年ほど無人になっただけで、空き家というのがすぐ分かります。

 

さて、実際の売り払いですが・・・。

幸いなことに、義実家は義父母が建てた家で、いまは、カミさんと義妹の共同名義になっています。イチャモンをつけてくるような親類縁者もいません。その点はとても気楽でした。

付き合いのある不動産屋さんにざっくりと見積りをしてもらうと「家が古いので解体処分にして更地にし・・・土地代から解体費用や家財の処分費用、手数料などを差し引くと、限りなくゼロに近い金額になりますけど」とのこと。せっかく義父母が残してくれた家ですが、ド田舎の家なんてそんなもんなんでしょうね。現実はキビシイ。


不動産屋さんには、家が建ったまま、部屋に箪笥や荷物が残ったままで引き渡すことを条件にしています。とはいっても、個人情報や貴重品などは別にしておかなくてはなりません。義妹が入所した後、片づけに行きました。

あきらかなゴミは、他人に見られても恥ずかしくない程度には片づけましたが、まだ荷物やゴミがかなり残っています。

・ゴミ袋に入れたゴミがトラック1台分くらい。

・鍋、食器、調理道具、雑貨などが軽トラ1台分くらい

・義父母の洋服がぎっしり入った洋服箪笥が3竿

・和箪笥1竿

・大きな食器棚1台

・飾り棚や整理箪笥が数台

・勉強机2台

・本棚2台

・ベッド1台

・鏡台1台

・押し入れの中には古いふとんや座布団、結婚式や葬式の返礼品が箱のままどっさり

・畑には崩れ落ちそうな農機具倉庫と錆びた農機具や工具

・庭には古い鉢がたくさん

・車庫のシャッターが壊れて・・・

箪笥も洋服も布団も食器も鍋も鍬も、ぜ~んぶ不要です。処分は不動産屋さんに丸投げです。


義実家の片づけで、カミさんが最後まで悩んでいたのが家族写真でした。

ほこりをかぶった大量のアルバムと、整理されずに菓子箱や袋に入ったままの写真がごっそり。

親戚や知り合いの結婚記念写真がどっさり。

アルバムから何枚か引っぺがして、あとは全捨て。・・・カミさん、これは思いっきりがよかったなぁ。

45リットルのゴミ袋2つ分の写真を捨てました。これで荷物の整理はおしまいです。

 

そんなこんなで、義実家の家じまいはなんとかメドがつきそうです。わたしも、肩の荷を下ろしたような気分です。

大都会ならいざ知らず、ド田舎の実家=不動産=動産ですわ。

 

今回の家じまいに関しては、カミさんが業者さんとの交渉や書類仕事をしてくれました。わたしは、力仕事とアッシー君をさせてもらっただけ。

実家を手放すカミさんの気持ちはどんななんでしょうね。実家で暮らしたのは20年くらいで、結婚して家を出てからのほうが圧倒的に長いのですが・・・。

聞かぬが花か。

 

(追記)

今回の家じまいにあたっては、ここ10年以上、わが家でこつこつとやってきた断捨離と片づけがとても役立ちました。

まず、ゴミ屋敷の片づけと掃除のやり方に戸惑わなかったこと。何を、どのように、どれくらいの時間でやれば片付くのかがイメージできましたし、義父母の持ち物、特に思い出の品や家族写真など、処分するのに心の負担になるものがきっぱり処分できたこと。

義妹は「お姉ちゃんにぜんぶまかせる」ということでしたので、カミさんの気持ちもふっきれていたようです。

いつまでもグズグズ悩まない。

残しておくのは、モノより思い出。

それは、これまで夫婦ふたりでやってきた断捨離や片づけのおかげだろうと思います。

家や土地も、使わなければ、お金と気持ちの負担になるだけです。自分たちの子どもに、その負担を残すわけにはいきません。

断捨離と片づけをやってきて、ほんとによかったと思います。