「消長」ということばをご存じでしょうか。
「消長」とは=勢いが衰えたり盛んになったりすることの意。
わたしは、近所にあるベスト電器の会員で、毎月、同社から抽せん会のメール便が来ます。
ヒマなので、毎月行きます。
抽せんでいちばんいいのは3000円の買い物券、次は500円の買い物券です。500円は何回か当たったことがあります。年会費無料ですから、こちらとしては丸儲け(笑)。
こうやって、会員にさせて、エンクロージャー(囲い込み)をするのが、商売の定法ですよね。わが家は、近所に住んでいますから、自然とそういうふうになります。テレビも洗濯機も冷蔵庫もエアコンもベスト電器で買いました。会社としては、エンクロージャーの成果ですな。
さて、きょうの抽せんは・・・
残念! ハズレでした。
でも、来店しただけで、ちょっとしたモノがもらえます。使わないモノならもらいませんが、今月は、買い物の時に使うエコバッグでした。
もらいました。
無地で薄くて軽い!
お店などで有料で売っているのは、けっこうじょうぶなんですが、重いのです。
いつも持ち歩く肩掛け鞄に入れるのは、こんな薄くてペラペラで軽い、こんな袋でいいんです。
最初に書いた「消長」の話に戻りますと。
ベスト電器は、地元・福岡の電気屋さん。福岡市役所のすぐ隣に本店があります。一時は、売上高日本一の家電量販店のチェーンでした。
ずいぶん昔・・・まだ、カミさんと所帯を持ったばかりのころ、冷蔵庫か、洗濯機を買いに天神にある本店へ行ったときのことを思い出します。
若い店員さんに相談しながら商品を選んでいたら、着物を着たお婆さんが寄ってきて、その若い店員さんにあれこれ指図をはじめたのです。
「なんだ、この婆さんは!」とムッとしたのですが、その店員さんは、そのお婆さんに平身低頭。
そのお婆さん、わたしたちに、「お客さん、安くしておきますよ。当社は、メーカーに、同じ商品を安く作らせていますからね」。その話を聞きながら、若い店員さん、苦笑い。
お婆さんがあっちへ行き、その店員さんに、「あれ、だれ?」と聞いたら、そのお婆さんは、ベスト電器の会長さんとのことでした。
一時は、あんなに勢いのあったベスト電器も(現在でも、お店はまだ、ちゃんと展開していますが)、いまやヤマダくんの軍門に下ってしました。
どこに落とし穴があったのか?
商売って、むずかしいですね。
あああああ・・・。ベスト電器の「消長」の話を書いていて思い出したことがあります。
これは、もう何十年も前の「歴史上の秘密」のお話ですが・・・。
しゃべっちゃお。
昭和の時代が終わるか終わらないくらいの昔の話です。
会社のすぐ近くに、福岡でも知る人ぞ知るふぐ料理が名物の超高級料亭がありました。安月給のサラリーマンは、玄関の前までは行けるけど、玄関の中は、はるか遠い世界(苦笑)。
ある日の昼休みのこと。
近所の定食屋に、焼きサバ定食でも食べにと、ぶらぶらと歩いて行っていたときのこと。
その高級料亭の前に黒塗りのハイヤーが着き、中から3人の紳士が下りてきて、なりやら談笑しながら、その料亭に入っていきました。
・・・わたしは、このとき、歴史の現場を見てしまったのです!
この話は、神仏に誓って、ウソ偽りのない、ほんとうのお話です。
ハイヤーから降りてきたその3人。
ひとりは知らない顔でしたが・・・あとのふたりは、テレビでも新聞でも雑誌でも本でも・・・マスコミで、よく見知っている顔でした。
ひとりは、なんと、王貞治さん。これは見間違うことはありません。後光が射していましたから。
そしてもうひとりは、中内功さん。この時代、この人の顔を知らないビジネスマンはいませんよね。
ホークスがまだ、大阪で「南海」と言っていたときですから、昭和の最後の年くらいです。
王貞治は知っとるけど、中内功って、だれって・・・?
・・・スーパー・ダイエーの創業者やがね。
え? ダイエー? 知らない?
日本で初めて、小売業として、年間売り上げ1兆円を達成したスーパーやがね。
そんくらい勉強しとけ!
・・・この世の「消長」とはそういうことですね。
(追記)
ああああああああああ・・・!
料亭に着いたあのハイヤーの3人のうち、そのとき、知らない顔と書いたのは、
もしかしたら、
もしかしたら、
もしかしたら、
孫正義だったのかも!
この時代、孫正義は、わたしの中では、孫悟空より無名だったから。
(追記の追記)
孫正義氏のはずはありませんよね。3人を見たのは、ホークスが、南海からダイエーへ身売りする前後のことですから、ダイエーからソフトバンクへ身売りする時期とは全然ちがう。わたしの早とちりでしたm(__)m
それにしても、ベスト電器もダイエーの末路もちょっと哀れ。
この世の消長は、まさしく「平家物語」ですな。
祇園精舍の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。