土井善晴「一汁一菜でよいという提案」とわが家の味噌汁 | 隠居ジイサンのへろへろ日誌

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九州北部の街で、愛するカミさんとふたり、ひっそりと暮らしているジイさんの記録

これまで、たくさんの料理本やレシピ集を読んだり調理の参考にしてきましたが、これは、「土井先生、そのとおり!」と膝を打った本でした。

いわく、

・・・ご飯を炊いて、菜(おかず)も兼ねるような具だくさんの味噌汁をつくればよいのです。自分で料理するのです。そこには男女の区別はありません。料理することに意味があるのです。

・・・一汁一菜とは、だだの「和食献立のすすめ」ではありません。一汁一菜という「システム」であり、「思想」であり、「美学」であり、日本人としての「生き方」だと思います。

飽食がどうたらこうたらとか、どうしたらおいしい料理ができるのか、なんていう話ではありません。食べることをつうじて、食べ物に感謝し、日本人としてちゃんと生きていきましょうという提案です。

とてもいい本です。

 

ご飯+汁+おかず=一汁一菜。

わたしの実家は兼業農家。昭和30年代の前半、わたしの子どもの頃は、文字どおり一汁一菜の食事でした。農家でしたから米のメシと漬物、自家製味噌の味噌汁は腹いっぱい食べられましたが、大根の季節は毎日大根、ジャガイモができれば毎日ジャガイモ・・・。ときどき、カレーライスやポテトサラダが出てくると、とてもうれしかった記憶があります。洋風もどきの料理が並ぶようになったのは、前の東京オリンピック(昭和39年)以降のことでした。いまのように、毎日、手の込んだ和洋中の王侯貴族のような食事はしていませんでした。

若いうちは、そういうことも分からずに、脂っこくて高カロリーな食事を好んでいました。いまでも脂っこいものが好きですが、年を重ねるごとに、そういう食事の機会は減ってきました。

 

一汁一菜の食事では、味噌汁が重要です。

ご飯と具だくさんの味噌汁、プラス漬物。

これが日本人の食事の最小単位です。

 

味噌汁の本も読んでみました。

 

 

 

 

 

どれもおいしそうですね。あっさりしたものから、ちょっとヘビーなものまで。中には、チーズを入れたり、バターやオリーブオイルをかけたりと、わが家に馴染みのない洋風の味噌汁もありましたが、どの本も料理研究家のくふうと季節感が感じられるレシピでした。

ただ、残念だったのは、ほとんどの本が最初に、「昆布や鰹節で出汁をきちんと取りましょう」なんて書いていることです。味噌汁は、本来なら、野菜や味噌にもうまみがあるので、出汁をそんなに気にする必要はないと思います。昆布や鰹節で出汁を引くのはそう難しいことはありませんし、出汁をきちんと取ったほうがよりおいしい味噌汁になるのでしょうが、そういう「ちょっとだけ面倒なこと」というのが苦手な人って多いんですよね。味噌汁を作らなくなったことの大きな要因ではないでしょうか。毎日が、「とてもおいしい料亭の味噌汁」である必要はまったくありません。

 

それと、不思議なことに、上記の味噌汁本には、わが家の基本の味噌汁である「干し野菜」を使ったレシピがほとんどありませんでした。干し野菜を使うと、ナマの野菜とは比べ物にならないくらい大量に野菜が摂れて、包丁もまな板も不要、調理も時短できます。干し野菜の味噌汁は、満足感があり、かつ、おいしい。味噌汁自体が食事の付け足しではなく、堂々の1品になります。

2年くらい前から干し野菜を始めたわが家の基本の味噌汁は、こんなのです。

(材料)

・味噌

・干し野菜(ニンジン・ゴボウ・カボチャ・エノキ・その他野菜の切れ端など)

・卵

・イリコ

(作り方)

①前の晩、イリコの頭を取り除き、水に浸しておきます。

②翌朝。イリコを取り除きます。加熱しなくても出汁は出ています。イリコはカミさんが味噌汁といっしょに食べます。わたしは食べません。

③干し野菜を入れ、弱火で沸騰させます。水で戻す必要はありません。

④沸騰したら卵を割り入れ、弱火で3分加熱すると半熟に。卵はカミさんが食べます。わたしは食べません。

⑤アクが出ていたら取り除き、火を消してから味噌を溶き入れます。

包丁・まな板は使いません。

調理時間6分。

※干し野菜からおいしいダシがでるのでイリコ出汁はとらなくてもいいのですが、イリコは、出汁取り兼カミさんの骨粗鬆症予防・カルシウム補給なんです。

以上がわが家の味噌汁の基本型です。あれば、じゃがいもやタマネギを入れたり、豆腐を入れたり、ワカメを入れたりもします。

プラスして、こういう保存のきくものを入れるのもいいですね。

天かすはコクが出ておいしくなります。子どもたちが好きです。

凍み豆腐は、水で戻さなくてもいい便利なものがあります。小さくカットされていてそのまま使えます。タンパク質とカルシウムのカタマリです。お年寄りの方は特にお勧め。