アベンジャーズ/エンドゲーム 考察01 - I am inevitable
ネタバレ度1(10が最大)
今まで4回鑑賞後、いろいろ書きたいことが出てきたので、これから少しづつネタバレをしていくつもりなのだが、今回取り上げるのはキーとなるセリフと字幕に関して
残念なことに筆者は吹替版を見ていないので、このセリフが吹き替えでどうなっているかは不明である
I am inevitable
これは映画の最初と最後に対になるように2回発せされるかなり重要なサノスのセリフ
字幕では「私は絶対だ」
映画の字幕を作るのは極めて大変な作業だと思う
いつも感心しているのだが、この訳はちょっとニュアンスが違って受けとめられてる気がする
inevitableとはin-evit-ableに分けられるが
inは否定の接頭辞
ableはいろいろな単語に使われている可能を表す接尾辞
evitは原形としてはeviteで意味は「避ける」
辞書にはavoidと同様の意味だと書かれている
つまり、全体としては
避ける - ことが可能 - ではない = 避けられない
となる
一番分かり易い用例としては
Death is inevitable. 死は避けられない
このように、通常は事柄や事象のようなものが主語になるので、今回のサノスのセリフのように人物が主語になることは無い
ここは、後ほど述べる極めて重要な理由のために、あえて自分を主語にしているのだが
サノスの気持ちとしては
「私のやろうとしていること(あるいは行ったこと)は、お前らががどんなに抗っても止めることはできないんだよ」
ということだろう
そういう意味では
「私は絶対だ」
でも、間違ってはいないが、この「私」を主語にした場合の「絶対」には通常、絶対的なパワーとか絶対的な権限とかの意味で使われることが多いので、字幕だけで見ると結局サノスが自分の強大さを誇示しているようにしか聞こえないところが惜しいところなのだ
例えば、このセリフが
This is inevitable result
とかだったとしたら、訳者も素直に
「この結果は避けられないのだよ」「誰にも結末は変えられないのだよ」
みたいに訳しただろう
しかし、このセリフがI amで始まるのには2つの大きな理由があると考えられる
一つは、単純にサノスの人生そのものが今回の結果を起こすことを最終目的にしているということを伝えたかったということ
つまり、今回のインフィニティストーンを使用した大虐殺はサノスの人生そのものであり、単なる事象では無いという意味である
もう一つ、こっちの方が重要な理由なのだが、最後のこのセリフの後に
I am iron man
というトニー・スタークのセリフが返される
このI amを導き出すための振りとしてのI am inevitableなのである
だから、
I am inevitableの字幕の訳は「私は」で始まる必要があり、「誰にも結末は変えられないのだよ」と意訳することができなかった
公開直後のネタバレレビュー動画配信の中の一つの中で、このことが取り上げられていて、おそらく英語も母国語のバイリンガルと思われる方が
「トニーのこのセリフでちょっと笑っちゃった。inevitableを人物的に解釈したようなジョークっぽい意味に取れるから」
という意味のことをおっしゃっていた
じゃあ、何?
これ インフィニティウォーのI am Grootに対する I am Steve Rogersの感じってこと?
筆者からすれば笑うところでも無いし、ジョークの要素も無いし、あるのはトニーの決意の硬さだけだと思ってたので、ちょっとなんなんだかなあと思ったのだが、改めて考えると、おそらくこの方は筆者のような気持ちを十分に理解した(自分自身も思った)上でのこの言葉なのだということは理解できるが
じゃあ、このセリフ、もっと真意が伝わるような訳はないのか?
筆者が映画字幕翻訳の素人であることを承知であえて言わせてもらえば
「私は必然だ」
これだと「必然」という通常は事柄が主語に来る言葉をあえて使っていることが伝わり、回避不能であることもある程度伝わり、それに対する
「何が必然だ、訳のわからないこと言いやがって、じゃあ、俺はアイアンマンだ」
というトニーの気持ちにも繋がっていくと思うのだが
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