障子の向こう側、
今くらいの頃合いになれば日が昇り始め、うんざりするぐらい眩しくなりだすのが常だのに、今朝はまだ薄青く。
まるで快晴だった時の、日が暮れ染まりだす直前のようだった。
背中越しに生温い人の気配。
すうすぅとも呼気の音を立てない物だからたまに屍になっているのではないかと不安になるが、寄り添う布団の中は依然蒸れる位に程よく暖かく、まだ生きていることが肌で解る。
一人で眠り闇に包まるときの痺れるような安堵と何と無しに泣いてみたくなる寂しさ……
孤独と比べて、より深く眠ることは出来ないが、もどかしくて恐怖を感じさえするほどの温み。
虚(うつろ)
どちらが安らかで、どちらが幸せなのだろうか。
問答用の例文でも作るかのように羅列することで意味もなく頭の中身を整理してみる。
どうやら自分の頭はまだ眠ったまま覚めていないらしい。
ひぬいは溜息をついて寝返りを打った。
尾底骨の鰓が圧し潰れて痛む様子に眉根を寄せて体を傾ければ、さらさらと掛け布団が擦れて流れる音がする。
目が遇った。
じっと、瞬きも夢も忘れたような覚醒した瞳。
人が悶々と息を殺して微睡み虚ろう横で、起きて見ていたのであれば随分とこ狡い事をしたものだと、
驚きを隠すように目を眇て見せれば、縁取りが瞬き、黙って掛け乱れた布団を肩まで引っ張り上げて掛直された。
『奉考』
ひたりと見据えられたその視線に、眠り眼を推して空の瞳を重ねる。
喉を絞って声を出すのも億劫で、唇の動きだけでそれを紡げば今度は瞳に続いて唇も合わさった。
からからで張り付く程の咥内に潜り込む熱にほぅと息を付く。
あちらの水は冷たく空のにおいがするのにこれはなんと酒臭いことだろうか。
唯一通ずるとすれば交わる中に沢山の汚れが巧みに隠れてあることだけだった。
(郭嘉さん万歳。)