AF NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5 安価な製品にこそニッコール魂は宿る | 1m71

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札幌出身。日本各地、デンマーク、米国、印度、豪州、現在京都と専門職資格を手に生き抜く。欧州一周鉄道旅行、Amishとの異文化生活と千ドル中古車で北米大陸二度横断、マザーテレサの家ボランティアと世界を探検中。インスタグラムはonlyzeiss。

今日は久しぶりにレンズの話。

 

 

AF NIKKOR 35-70mm F3.3-4.5である。

 

ズームレンズなのだが、広角側が35ミリどまり、望遠側も70ミリどまりとズームレンジは狭い。

 

最初に登場したのは1986年で、1989年にピントリングを幅広にして扱いやすく改良したのがこのレンズだ。

 

左が旧型、右が改良型。ピントリングの違いがわかる。

 

その後、フラッシュ撮影でより正確な露出制御のための距離情報を加味できるDタイプレンズシリーズが発売されたが、このレンズはDタイプになることなく姿を消した。

 

そのため、中古ではかなり廉価に売られている。

 

500円の値が付くことがある。

 

旧型は1988年にベルリンのカメラ店でF-401と一緒に新品を買ったが、右の改良型はF80Sの中古とペアで数年前に2500円で買った。

 

正直あまり期待はしていなかった。

 

というか、デジタル時代と違ってフィルム時代はカメラ背面の液晶で拡大したりパソコンで拡大することなんかできなかった。プリントを拡大するとやたらプリントが高額になったのでレンズ性能の比較を自分でやるのはお金がかかった。カメラ誌のレビュー記事に頼るしかなかった。また、カメラ誌の多くがフィルム時代のレンズはデジタルでは使えないとアナウンスしていたため旧型をデジタルで使ってみようという気が起きなかった。

 

今回AF NIKKOR 28-70mm F3.5-4.5Dの中古を手に入れて比べたくなってしまった。

 

28-70mm F3.5-4.5Dは、ニコン初のハイブリッド型非球面レンズを採用したレンズだ。それまでガラスを削って作成していた非球面レンズに代わりプラスチックを使用することで大量生産とコストダウンが可能になった。

 

技術の進歩があることから後発の28‐70㎜の方が性能が良いと思っていた。

 

そして単焦点レンズの35㎜F2Dとも比較したくなった。

 

自分がよく使うスナップ写真域、距離3メートルで絞り値F5.6に限った結果は。

 

35㎜F2D > 35-70mm > 28-70mmD

 

となった。

 

単焦点の35mmF2Dが解像度が優れているのは当たり前。ズームにはズームの良さがある。

 

35mmF2Dと35-70mmは解像度は近い印象だった。

 

あくまで限られた条件での比較であることと、三本のレンズとも中古で購入し、発売からかなりの年数が経っているのでこの結果が絶対正しいとは言えない。

 

しかしながら、所有者である自分が使うという前提で28-70mmDよりも35-70mmを使いたいと思う。マクロモードもあって35センチまで寄れるのもなかなかいい。

 

今やスマホがカメラにとって代わってしまう場面も多いが、考えてみれば、昔は大多数の人は家族写真を撮るためにカメラを買っていたと思う。しかもカメラやレンズにそんなにお金をかけられず初級モデルを手にした人が多かったと思う。

 

家族の思い出となる写真を撮ってがっかりするような性能の低いレンズは作らなかったのではないか。

 

安価な製品にニッコール魂は宿るという言葉がニコンにはあるらしいが、この中古で500円で買えてしまう35-70mmにもその精神は宿っていると思う。

 

なかなか良い体験だった。

 

このレンズ、お小遣いでも手軽に買えるので手始めのレンズとして中学生や高校生にもおすすめ。

 

いい大人の自分も使っているが。絶望