NIKON F3 OR CONTAX RTSⅡ? | 1m71

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札幌出身。日本各地、デンマーク、米国、印度、豪州、現在京都と専門職資格を手に生き抜く。欧州一周鉄道旅行、Amishとの異文化生活と千ドル中古車で北米大陸二度横断、マザーテレサの家ボランティアと世界を探検中。インスタグラムはonlyzeiss。

いつもカメラバッグに入れているカメラたち。

 

デジタルは、NIKON D800EとSONY RX100が不動の定番になっている。

 

というか、デジタルはこの二台しか持っていないので選択肢がない。

 

選択を迷うのが一眼レフのフィルムカメラだ。

 

こちらに持ってきているだけでも、ニコンはF6、F3、FE2、F80、コンタックスはRTSⅢ、RTSⅡ、139Quartz、キヤノンはEOS7がある。

 

EOS7は所有レンズがズーム一本だけなので、システムとしては使えない。ニコンとコンタックスは、フィルムカメラとしてどちらもシステムが組めるほどレンズを所有している。コンタックスにはプラナー85ミリと50ミリという名玉がある。どちらのプラナーももう25年以上使っていて自分が住んだすべての国(デンマーク、アメリカ、オーストラリア、インド)で使ってきた相棒だ。

 

必要に応じて機材を変えている。3月のデンマークには機内持ち込みの重量が限られていたのでD800Eとレンズが共有できるF6にした。

 

このごろ毎日持ち歩くのにニコンとコンタックスにするかどちらか迷う。

 

デジタルカメラ二台に加えてローライフレックス2.8EとライカM3も持ち歩くので、軽い方がいい。

 

とするとニコンはF3、コンタックスはRTSⅡになる。

 

 

どちらも両社の威信をかけた当時のフラッグシップカメラでプロ用のカメラだ。

 

F3は1980年、RTSⅡは1982年発売だ。

 

シャッターユニットはどちらもチタン幕横走で、同じコパル社製のものだと思う。

 

シャッター最高速度も同じ1/2000秒で、バッテリーが消耗してしまったときの緊急避難的な機械式シャッターはF3が1/60秒、RTSⅡは1/50秒が備わっている。

 

どちらにもアイピースシャッターがあり、さすがフラッグシップカメラと思える。

 

スペック的にはよく似たカメラだ。商品化にあたりRTSⅡはF3をよく研究したのではないかと思う。

 

実際に使ってみてどうだろうか。

 

RTSⅡはファインダーが交換できない。当時同じ価格帯のF3やペンタックスのLXと比較して、プロ機としての魅力がいま一つで割高のように感じる人もいるだろう。

 

プロならともかく、アマチュアにファインダー交換の必要性があるとは思えないが。

 

ファインダーの見えは、RTSⅡのファインダー倍率が0.87倍で0.75倍のF3HPより優れている。見るのが楽だ。ただし、所有のF3HPはメガネの使用者へ配慮したファインダーだ。F3アイレベルだと倍率が0.8倍になりそれほど差を感じないかもしれない。ファインダー視野率は、RTSⅡが97%でF3は100%だ。正確なフレーミングを求めるなら100%に越したことはないが、97%でもそれほど遜色なく使えている。しまった使わなければよかったと思うことはない。

 

巻き上げの感触だが、これは全一眼レフ最高と言われるF3の方が滑らかで一枚上手に感じるだろう。とはいってもRTSⅡの巻き上げも軽くて悪くはない。

 

触った感じは、F3がごつごつしているのに対してRTSⅡは触り心地がやさしい。F3はジウジアーロのデザインで、RTSⅡは厳密にはポルシェデザインではないが、ポルシェデザインの初代RTSとほとんど変わらない。すりすりするならRTSⅡだ。

 

F3はシャッタースピードの赤い照明ボタンが小さくて押しにくい。RTSⅡはLED照明なので圧倒的に見やすい。しかし、長時間照明させたいならボディ前面のボタンを押さないといけないのでどちらも面倒だ。RTSⅡはリアルタイムシステムの略でシャッターボタンを押すと、というか触れるとあっという間にシャッターが切れてしまう。普通のカメラだとシャッターボタンを半押しすると露出計が作動するのだが、RTSⅡはシャッターが切れてしまう。初代RTSよりさらに「暴発?」してしまう。

これは初代RTSよりもさらに敏感になってしまって半押しができず、そのため露出計用のボタンを別に前面に設けたと思う。はっきり言ってこれは使い勝手が悪い。

 

重さはほとんど変わらないが、RTSⅡの方が一回り小さい。

 

フィルム時代のコンタックスの最大の魅力は、カールツァイスレンズが使えることにあった。発色がよく、条件の悪い環境ほど他社のレンズと違った。暗部でも色がつぶれないのである。自分も今でも使い続けるほどの魅力だ。多くのフィルム時代のレンズがデジタル時代になって使えないと評価された中、ヤシカコンタックスマウントのカールツァイスレンズはマウントアダプターを介して多くのデジタルカメラに使えることで、ツァイスレンズの凄さを知った人も多いと思う。

 

そしてコシナがカールツァイスレンズをニコンFマウント(他キヤノンEFマウントとペンタックスKマウント)で発売したのでニコンの一眼レフカメラにもカールツァイスレンズが装着できるようになった。フィルム時代はニコンのボディにカールツァイスレンズを装着することを願ったユーザーは多かったろう。ニコンのカメラには他社を抜きん出た信頼性があって(割引率も他社より低かった)、ツァイスレンズは当時他社とは一線を画す世界を魅せてくれたのだ。

 

自分はニコンFマウント用のツァイスレンズはマクロプラナーの50ミリと100ミリ、あとは25ミリだけ所有しているのだけど、写りは前述のヤシカコンタックスレンズより多少あっさりしていると思う。

 

究極的には、F3はNASAに選ばれて宇宙に行った。コンタックスは宇宙には行ってない (カールツァイスレンズを採用した中版フィルムカメラのハッセルブラッドは宇宙に行ったが)。コンタックスカメラに共通するミラーずれもニコンでは起きない。信頼性を考えれば、やっぱりニコンが上手だ。

 

しかし、フィルム時代のコンタックスカールツァイスレンズには抗えない魅力があったのだ。壊れてもそれを補ってあまりあるカールツァイスレンズの描写のすばらしさがあったのだ。

 

今も帰宅時間が遅くなる時は、解放F値が1.4のヤシカコンタックスマウントのプラナー2本を含むヤシカコンタックスツァイスとRTSⅡを持っていく。軽くしたい場合はRTSⅡとヤシカコンタックス単焦点レンズをあきらめて、ニコンF3にする。D800Eに使うコシナツァイスがそのまま使えるからだ。これで1.2キロほど重さが違う。

 

今日の中古市場では、コンタックスフィルム一眼でもニコンフィルム一眼でもどちらもカールツァイスレンズが使えるので、自分にとってはどちらを選んでもよいという贅沢な悩みだ。

 

無責任な答えだが、どっちも良い。絶望

 

すみません。ゲッソリ