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シャオ2のブログ

最近は着物と舞台に夢中

これで最後!

アンジョルラスです

とにかく相葉アンジョが好きで、相葉アンジョだけ観てたんですけど、1回だけ理生アンジョも観たので、それも踏まえて……

 

 あれは中学生の時だったかなぁ

 当時ある種の中二病を発症していた私は、長くて重苦しい小説や哲学書を読むのが格好いいと思って、そういうのを読み漁っていました

 その中の一冊が「レ・ミゼラブル」

 はい、原作ですね

 といってもたかが田舎の夢見がちで浅はかな中学生、心魅かれたのはジャンバルジャンやファンテーヌやエポニーヌ、マリウスではなく、ひたすら美しいと描写され続けていたアンジョルラス(本の中ではアンジョーラだったっけか?)

 金髪碧眼、「22歳なのに17歳くらいに見える若作り」で「大理石の像」のような「天使」の美貌を持つカリスマリーダー

 常に酔っ払っているニヒリストのグランテールに「それにしても君は大理石だな」なんて言われ、「君を信仰している」と仰がれ、敵の狙撃手ですら彼を撃つとき「花を撃つような」気がして躊躇される、そんな青年

 多分、当時非常な潔癖症でもあった私は、アンジョルラスに女の影があったなら、そんなに夢中にならなかったと思う

 マリウスに心魅かれなかったのも、彼がモテモテだったからだしw

 けれどアンジョルラスには女の影は皆無(作中でもしっかりそのように言及されている)、ひたすら国と革命だけを愛しているのだ

 美しく崇高な理想に燃え、カリスマ的魅力があり、女性関係の全くない美貌の青年

 当時の私はアンジョルラスというキャラにうっとりとしたものだ

 彼が若くして死ぬというのも私的には夢中になるポイントの一つだった

 美しい革命の天使は、その美しさのまま永遠に神の国で暮らすのだ

 なんて理想的!

 というわけで、レミゼラブルという小説の中で、最も好きなキャラクターはアンジョルラスだった

 

 翻って、ミュージカルである

 過去に何回か観たアンジョルラスは、確かにカリスマリーダーだった

 熱い思いで学生達をひっぱっていた

 けど、中学生の私が思い描いてうっとりしていたほど美しくなかった!!!

 いや、確かにアンジョルラスは、マリウスと同じく、基本的に若くてイケメンな役者が演じる役だから、全く美しくないわけじゃない

 多分、十二分にイケメンだったと思う

 けど、違うんだ!そうじゃないんだ!と何度唇を噛み締めただろう……

 全く個人的な好みと思い出のおかげで、誰のアンジョルラスを観ても「解釈違い」が発生していたのですよ

 そうなると、やっぱり本編もあんまり楽しめないというか、それであんまり熱心に観てもいなかったんだろうなぁ

 その私に取って、相葉アンジョは、まさしく理想のアンジョルラスだったのだ

 キャストが発表当初は、この一続きのブログの最初に書いたように、めっちゃ不安だった

 主に歌唱力の問題で……

 それに、彼は綺麗な顔立ちの割に、近年はヘタレだったりコミカルだったりする役が多くて、そっちのイメージが強かったものだから、マリウスならともかく…と思った人はファンにも多いと思う

 けれど、蓋を開けたら!である

 プレビューの時は、まだ歌唱も安定していないところがあったし、リーダーらしい力強さよりも「大理石の天使像」みたいなひんやりとした孤高のイメージが強かったんだけど、回を追うごとにABCの仲間たちと馴染んでいき、見事なリーダーになっていった

 今回の5ヶ月に及ぶ公演期間で一番劇的に変わったのは、相葉アンジョだと思う

 その他のキャストさんも毎回毎回試行錯誤していただろうし、舞台は生ものだから同じキャストであっても毎回違って当たり前なんだけど、変化のふり幅が段違いだった

 1回だけ観た理生アンジョの場合、もう3期目ということもあって、微妙な変化はあっても基本の型というのが出来上がっていたように思う

 理生アンジョは、とても熱く力強く皆を引っ張るリーダーで、「今度は革命成功しそう」だの「失敗する意味がわからない」だの言われる意味が実感できるアンジョルラスだった

 歌唱力も抜群で、それだけに説得力の有り余るアンジョだったと思う

 カリスマすぎて、学生達は仲間というより洗脳された従者みたいだった

 私は理生アンジョ見て「なんかチェ・ゲバラみたいだ」と感じたんだけど、革命の戦士として、指導者として若いながらも完璧に近いのは理生アンジョだと思う

 バリケードでの場面で、子供ある者と女たちは去れと指示するのは、次代に繋ぐため、革命の火を消さないため、ここで死のうと宣言するのは、自分たちが理想に殉じて死ぬことで共和制や自由が命を賭けるに値する素晴らしいものなのだと民衆に知らしめるため、とその目的がとてもはっきりしている

 理生アンジョに率いられた学生達の死は、犬死ではなくて将来への布石の一つで、いつかの輝かしい勝利がその向こうに見えるものだったように、私は感じた

 だから、あの玉砕の場面でも、私は泣かなかったし、「大丈夫、15年かかるけど、フランスは再び共和制を選ぶよ。君達の死は無駄にならないよ」って心の中で思ったくらいだ

 一方、相葉アンジョにはそこまでの先見の明があったとは思えない

 ただ国を憂い、貧しい市民達を哀れみ、何より自身の理想を信じての行動だったように思える

 そのある意味単純な理想主義が、いかにも若者らしい青い愚かさで、だからこそ崇高なアンジョだった

 外見の話に戻るけれど、その崇高さを更に助長していたのが、相葉裕樹という役者の身体だ

 見れば分かるが、彼はとても痩せている

 小柄だがお肉たっぷりな私がぶつかったら押しつぶせるんじゃないか(失礼だけど、森公美さんなら確実に押しつぶせると思う)ってくらい、細身だ

 ダンスをやっていることもあって腕なんかは意外とたくましかったりするけれど、すらりとした長身で首が長くて、その上にびっくりするほど小さく整った頭が乗っている

 日本人としてはありえないくらいの等身、長い手足、美しい面立ち

 それらと、演出からの指示なのだろう、帝劇初期には殆ど笑顔を見せることもなかった硬質な頬の線が、生身の青年というより大理石像を思わせる

 声質も、理生アンジョの太く男らしい声に対して、高く通る声だ

 なんというか、全体的に原作回帰というか、制作者側がユーゴーが描いた「大理石の天使像」に寄せようとして相葉裕樹という役者をアンジョに選んだんだなと思った

 そして、相葉くんはそれにきっちり応えたんだと思う

 「過去のキャストと同じテイストなら自分が選ばれた意味がない」「今までと違うアンジョを」と何度もインタビューで語っていたところからも、ちゃんとそれを理解していたのが分かる

 相葉くんは非常な努力の人だ

 見た目から何でもさっさとこなす器用な人だと思われがちらしいけれど、自分が器用でもなければ、覚えもよくない、耳も悪い、と自覚している

 歌は苦手だと常に言ってきたくらいだから、レミゼという舞台で自分の実力が足りていないことも分かっていたと思う

 その足りない部分を努力で埋めて、それ以上のものを見せてくれる役者でもある

 実際、この5ヶ月で、ファンですら驚くほどの進歩を示してくれた

 当初は不安定だった低音が響くようになり、声は厚みをまし、高音は澄んで伸びる

 歌唱力が上がっていく様子を生で聞ける、というのは中々体験できないことだと思う

 プレビュー時は、恐らく楽譜どおりに歌うことでいっぱいいっぱいだったのだろうけれど、そこから芝居を考えた歌い方になり、どう歌えばアンジョとしての心を込められるか、試行錯誤を繰り返し、名古屋の楽では、これが観たかった!と思わせてくれるアンジョを魅せてくれた

 彼の歌唱で必見、じゃないや、必聴だと思うのは、1幕のABCカフェにおける「群れとなりて」、そして最後の絶唱である「世界に自由を」だ

 声質が高いということもあるのだが、決まった時はどちらも見事なハイトーンボイスをロングトーンで聞かせてくれる

 特に「自由を」のところ

 帝劇では失敗もあったがあげていたのが、大阪ではシャウトになっていて、それはそれで追い詰められたアンジョの心中を表現していて胸が痛かった

 芝居に乗った結果だからだろう、聴いた瞬間、鳥肌が立って涙が出て、文字通り心臓が痛くなった

 理想に殉じて死んでいく学生達とアンジョルラスの運命が、とてもとても辛かった

 芝居としては充分成り立っていたし、アンジョを始めとする学生達が「ミゼラブル(哀れな人々)」であることを強く強く印象付ける歌唱だったと思う

 けれど、相葉アンジョは、名古屋の楽で、再びシャウトではなくハイトーンを選んだ

 あの瞬間の、なんともいえない陶酔感!

 理生アンジョは市民が応援に来なかった時点で先を見通して死んでいったけれど、あの相葉アンジョはあの最後の時に、初めてやがて革命が成功する輝かしい未来を確信したのではないだろうか

 市民は来ないと歌う相葉アンジョには悲壮感しかなかった

 見捨てられたと歌う声は震えていた

 けれど自分たちは理想に殉じて死ぬのだとヒロイックな幻想に陶酔してたのかもしれない

 でもあの最期の時に、相葉アンジョには未来の輝かしい勝利が見えたのではないか

 そんな気にさせる絶唱だった

 5ヶ月かけて、相葉アンジョは「大理石の天使像」から人間の青年・アンジョルラスになり、そして最期に本物の「革命の天使」になって散っていった

 5ヶ月追いかけた私には、そう見えた楽だった

 

 相葉アンジョの好きなところといえば、実はまだある

 例えば誰かが死んだとき

 最初はラマルク将軍の死

 これは、ガブローシュが皆に告げるんだけど、その前の下町の場面で「彼は重病だ」「七日と持つまい」と歌っているから、ラマルクが死に瀕していてもうすぐ死ぬことはとっくに分かっていたはず

 なのに、相葉アンジョはまずショックを受けたようにガブローシュを見つめるのだ

 そのショックをやり過ごした後に革命に向けた思考を始める

 だからその間がとても長い

 理生アンジョが待っていた知らせが届いた、というようにあんまり間をおかずに歌いだすのとは対照的

 個人的にはあのラマルクの死を告げられたときの態度が、その役者の役への解釈を示していると思っているので、その差がとても興味深い

 更にはエポの死

「彼女が最初、最初の死者だ」と歌いだすその声が、理生アンジョは怒りをこらえている力強い声なのに対し、相葉アンジョは悲しみに震えている

 そのせいか、他の学生達が続けて「彼女の死を無駄にしないぞ」「彼女を裏切るな」と歌うシーン、理生アンジョの場合、アンジョの意を受けて歌っているように見えるのに対し、相葉アンジョの場合、アンジョの意思は関係なく、周りが勝手にエポの死を革命に利用しているように見えてしまう

 じゃあガブの死の場面はというと、理生アンジョは幼いガブを死なせてしまったことを苦に思っていないわけではないにしろ、ここに残った以上同志として死ぬのは当然だと思っているようで、すぐにグランテールに渡して、意識は敵に向かう

 対して相葉アンジョはやっぱりもの凄く長くガブを見つめているんだよね

 グランが手を伸ばさなかったら、ずっと抱いていたかもしれないくらい、長く

 他人の死に敏感な、多感で繊細な青年像が相葉アンジョの中にはあって、それがとても好き

 

 

 

 2017、相葉アンジョが好き過ぎて、上山アンジョを観なかったんだけど、今更ながら観とけばよかったかも

 対比することでそれぞれの役へのアプローチや解釈がより見えてくるのは、トリプルキャストならではだもんね

 名古屋の楽で、相葉くんは「またオーディションに挑戦します」って明言してくれたので、2019も楽しみで仕方ない

 きっともっと進化&深化したアンジョルラスを観せてくれるはず

 ただ、2019は理生くんはもうないだろうなぁ

 あの貫禄、学生には見えないもん(^^;

 それでいうと上山さんはどうなんだろう

 誰が来るにしても、楽しみなことだ

 

 というわけで、長々書いてきたけど、これで2017のレミゼ終わり

 この長い長い文章を読んでくれた方、2019には共に列に入りませんか?

 さて、続きです

 今回は、マリウスとテナルディエ

 なんでアンジョルラスの名前がないかって?

 そりゃ、一番書きたいこと多いからですよ!w

 

 

☆マリウス

 本作品中、唯一にして一番のモテ男・マリウス

 なにせエポニーヌとコゼット、両方に惚れられるわけですから、基本的に甘い声の優しげなイケメンが演じることが多い役です

 同時に、苦しみ多き生を生きてきたバルジャンから未来を託される役でもあるので、単なるイケメンではいけないわけです

 歴代のキャストを見ると、泉見さんとか育三郎くんとか優一さんとか、まあ、プリンス系の人が多いこと

 今回のキャストで一番プリンスしてたのは、やっぱり文句なしに海宝くんでしょう

 物腰も柔らかく優しげな風貌で、いかにも純真な乙女に一目ぼれされそうな王子様系マリウス

 それでいて、弾が足りなくなって「外に取りに行く」と叫ぶシーンは、三人の中で一番熱い

 アンジョルラスとの関係において、最も近くて対等なマリウスでもあったと思います

 だからかな、ABCの仲間たちとも同輩として肩を組んでるイメージ

 その分、コゼットやエポとの関係はどこか夢の中にいるようでリアルさがイマイチない?

 あんなに王子様王子様してるのに、不思議だなぁ……いや、王子様してるからか?

 特に生田コゼットと組み合わせると、まるで御伽噺みたいなキラキラしいカップルの出来上がり

 では同じく続投組の田村マリウスはっていうと、真面目な学者タイプ

 世俗に疎くて理想をそのまま信じているような、どこか浮世離れしたマリウスで、それだけに恋をした後の浮かれっぷりが妙に可愛らしい

 あと、昆エポとの仲良しっぷりがめちゃくちゃ微笑ましい

 登場すぐのシーンで、エポがマリの本を奪ってふざけるシーンがあるんですけど、そこで昆エポの頬をつまむんですよね、田村マリは

 後々、エポの死のシーンでは昆エポが同じ仕草を田村マリにしてて、またそこが涙を誘うんですけど、とにかく仲良し

 田村マリはふうかエポや凜子エポだと唐変木過ぎてイラつくこともあるんですけど、昆エポだと微笑ましく思える不思議なマリウス

 反面、一番好戦的というか戦うモチベーションを最後まで持ってるマリウスでもあったなぁと

 バリケードで撃たれるんですけど、直前まで弾を探してるんですよね、田村マリは

 戦うと決めたら最後まで戦う気満々のマリウスでもありました

 普段大人しい人ほど覚悟決めたら怖い、っていうあれでしょうかね

 で、今回初登板の内藤マリ

 彼はなんというか子犬っぽいw

 ABCの仲間といる時も、対等な仲間というより可愛がられている後輩って雰囲気だし、アンジョルラスに対しても、ひたすらアンジョルラスに懐いてる子犬ちゃんな感じ

 コゼットに恋をしたことをグランがからかって、「ついに恋をした、堅物マリウスが」って歌うんだけど、そこでグランはマリウスの膝に乗っかって頭頂部にキスをするんですよね

 そうされるのが一番自然なマリウス

 プリュメ街にあるコゼットの館にエポが案内した時も、マリウスは喜びのあまりエポを振り回して踊って、ジャンプするんですが、回り過ぎ!ってくらい回るし、お前はマリオかっ!ってくらいくるくる回転ジャンプするし、全体に幼くて可愛いマリウスが内藤マリ

 だからカフェソングの時のよろよろっぷりがいっそう痛々しくもあったりするわけで

 あと、バルジャンが姿を消す時の察しの悪さw

 バルジャンがマリウスに向かって「ジャン・バルジャンという男が」と過去を告白する歌を歌うシーン、田村マリも海宝マリも、わりとすぐにそのジャン・バルジャンは目の前に居るコゼットの父親のことだと察するのに、内藤マリは終盤まで顔にハテナマークが浮かんでる

 「誰だ、私は」と問いかけられて「ジャン・バルジャン」とマリウスは応えるんだけど、めちゃくちゃびっくりした顔で応えてるのも内藤マリ

 全体に可愛くてお馬鹿なマリウスでしたね、内藤マリ

 学者然とした田村マリとは好対照というか……

 比べるととっても面白い三者三様のマリウスでした

 

☆テナルディエ

 本作で一番の悪党・テナルディエ

 コゼットを虐待するは、嘘ついてファンテーヌから金を搾り取るは、客には過剰請求するは、パリに移り住んでからは詐欺だの強盗だのやりたい放題

 この役もマダムと同様、駒田さんが長く演じてらっしゃるわけですが、それだけに板に付いた悪党っぷり

 神様なんぞ信じるなんて間抜けのすることだって嘯いて、悪事を働きながらしぶとく生きていく様子がいっそ潔いくらいのワル

 そんな半ばスタンダードと化した駒田テナに対して、更に悪の凄みを感じさせてくれたのがKentaroテナ

 他の二人に比べてKテナはいけてる親父なんですよ

 以前はジャベールも演じたことがあるだけに、コミックリリーフ的な役割も担うテナなのに、イケおじ

 酒場のシーンでマダムが「いつか会えると信じてたプリンス」って歌うんですが、駒田テナやじゅんテナだと「マダム、あんたいくらなんでも目が曇りすぎ」って思っちゃうのに、Kテナだと「ああ、外面に騙されたんだねぇ」ってなっちゃう

 だからなんでしょうかねぇ、薄笑いしながら悪事を働いてる様子に凄みがある

 実にワルいテナでしたよ、Kテナ

 では、じゅんテナはというと……

 あのね、はっきり言いますと、一番歌が下手です

 そりゃもともと歌手でもミュージカル俳優でもないですからね、じゅんさん

 新感線の看板役者の一人ですから演技はとっても素晴らしいんですが、歌は本業じゃないしねぇ

 歌モノっていうのが新感線にはありますけど、あれはなんちゃってミュージカルですし

 話は逸れますけど、私は新感線の大ファンです

 いのうえさんは天才だと思ってるし、中島脚本だと聞いたらとにかく観に行きますし、本公演は最低2回は観たいと思ってるクチ

 だから言うんですけど、新感線って、ものすごく上手い「なんちゃって」劇団なんですよ

 歌モノはなんちゃってミュージカル、いのうえ歌舞伎はなんちゃって歌舞伎

 とても高いレベルでめちゃくちゃ面白いんですけど、基本はなんちゃって

 そこで看板を張ってた一人であるじゅんさんもまた、なんちゃってなところのある役者さん

 新感線の中だと目立ちませんけど、やっぱりこういう本格的な大作ミュージカルの中に混ざると、へたくそといわざるを得ない……

 ただ一つだけ

 じゅんさんのテナにあって他のお二方のテナになかったものがありました

 私はそれがとても好きなのです

 何かというと「悲哀」です

 下水道のシーン、「この世は生き地獄さ」とテナは歌うんです

 そして最後の「天国見上げても丸い月が見下ろすだけ」

 ここでじゅんテナの声は、おそろしく哀しい

 多分テナルディエ本人は悲哀なんてこれっぽっちも感じてないはず

 むしろ、だから俺は悪事を働くのさと開き直ってる場面だと思います

 けれど、そこにどうしようもない悲哀がにじむのがじゅんテナ

 思えば、じゅんさんってそういう役者なんですよね

 どんな役をしても、その底になんとなしの悲哀、生きていくことへの哀しみが流れる、そういう演技をする役者さんなんです

 だから、悪党であるテナを演じても、やっぱりそういう匂いがある

 例え歌がへたくそでも、私はじゅんテナのそういうところが好き

 他の方の評価は知りませんけど、私は、じゅんテナが一番好きです

 ファンの贔屓目ってやつだって言われそうですけどね~w

 

さて、後は一番書きたかった、語りたかったアンジョルラスだ!