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シャオ2のブログ

最近は着物と舞台に夢中

なんか、プリンシパル全員書かないと落ちつかないので、まだまだ続くよwww

今回はメインの女性陣について

 

☆ファンテーヌ

 今回、たまたまなんですけど、和音ファンテの大楽観たのですよね

 9/10のマチネでしたけど、本当に楽とかそういうことは全然知らなくて、帝劇の後にどうしても相葉アンジョをもっと観たくて後から買い足した回が偶然それで

 ファンテといえばやっぱり「夢破れて」なんですけど、その第一声「夢を見ていたわ」を聞いた瞬間、涙腺崩壊しました

 今思い出してもうるうるしてしまう……

 それくらい最高の「夢破れて」でした

 それまで、和音ファンテはラストシーンで召されるバルジャンを迎えにくるシーンの聖母っぽさが一番だとは思ってましたが、その他の部分では非常にお固くて、この人がいくら娘のためとはいえ娼婦に身を落とすのか?と疑問に思ってたところもあったんですけど、あの「夢破れて」で何もかも全部吹っ飛んだ

 自身の希望も夢も幸せも全て諦めた女性が最後に「娘だけは!」となりふり構わず生きた結果なのだなぁとしみじみ思いました

 ずっとあの歌は去っていった男を想う歌だと思ってたんですが、そうではなくて自身の半生を顧み、そして娘を守る決意をする心の過程を歌い上げる歌なのだと納得

 和音さん、最後の挨拶で「一旦、卒業ですけど…」と仰ってたので、もしかしたら2019はもう帰ってこないつもりでいらっしゃるのかもですけど、それだけに彼女のファンテの全てが込められた歌唱で、あれを聞けて私はなんて幸せ者だろうと思います

 これも相葉アンジョのおかげだわ!

 それから知念ファンテ

 知念さんはコゼット・エポニーヌ、ときてファンテーヌと、レミゼの主だった女性役をほぼ網羅してるという凄い女優さんなんですが、思ってた以上に気の強さを感じさせるファンテでびっくり

 なんていうか、工場で追い出される時も、なんで私が!って思ってるのがよくわかる感じで、後で書く二宮さんがとても儚げだったのと正反対のファンテ

 娼婦に身を落とすのも、コゼットのためなら平気よ!って思ってるんじゃないかな、知念ファンテ

 あの気の強さならマダムテナルディエもいけそう

 まだお若くて綺麗だから勿体無い気もするけど、あと数年後にはぜひマダム役をやって、子役以外の女性役全制覇を成し遂げていただきたい

 で、二宮ファンテですが、一番儚かった…

 「夢破れて」で和音ファンテも知念ファンテも「待ち続けてるわ」と歌いつつ最後はもう男より娘よ!って感じになってるけど、二宮ファンテの場合、娘は勿論一番大事なんだけど、それでもまだ愛した男を忘れきれない感じが出てて切なかった

 歌い終わった後の、一歩踏み出してそれから後ろを振り返るとこも、途方に暮れてどうしていいか分からないっていう雰囲気が一番強かった気がする

 三人の違いが一番分かるのが娼婦になって、バタマボアという嫌な客とトラブルを起こしたシーン

 和音ファンテはまだプライドがあってだからバタマボアの下種さに耐えられずトラブルを起こしちゃった印象で、知念ファンテは大抵のことは娘のためなら耐えられてきたけど、生来の気の強さからやられたことに腹を立ててトラブルになった感じ

 どちらも娼婦の仕事自体、嫌な仕事だけど娘のためにはこれしかないと割り切っていて、客個人に対しての嫌さからトラブルが起きてるように思ったんだけど、二宮ファンテは全然印象が違った

 なんていうか、仕事自体が嫌で嫌で、コゼットのためには仕方ないけど、本当に嫌で、そのつもり積もった嫌さがとうとう爆発した、という感じを受けた

 みな、娘を思う母であることは一緒だけど、役の解釈や表現はそれぞれ違うんだということが一番分かる役がファンテーヌでした

 

 

☆エポニーヌ

 レミゼ観てる人はほぼ全員が大好きであろうエポニーヌ

 そりゃそうだろうと思う

 育った環境が環境だからすれてるし上品とは言い難いし乱暴だし、けど愛する青年のためならなんでもして、最後には命まで捧げて、その愛する青年の腕の中で死んでいけることが幸せだといわんばかりに笑顔で召されていく

 なんてけなげ

 舞台には出てこないけど、彼女には妹が居て、その子は基本的にはエポと同じなんだけど、エポと違って誰かを心底愛するということがなかった少女として描かれている

 妹は、だから物語の最後まで生き残るし、多分この後も強かに生きていくんだろうけど、読者はすぐ忘れてしまうようなキャラだ

 ユーゴーは、バルジャンとジャベールみたいに、わりと光と影と言う配置でキャラを作る人のようだけど、エポに対比されるキャラとして妹とコゼットの二人を配置してるあたり、もしかして相当気に入ってたんじゃないかと思われる

 というエポだけど、こういうキャラを嫌いな人の方が珍しい

 物語中髄一の悪党として描かれるテナルディエ夫妻の娘でありながら、愛によって神の元に召されていくのだ

 愛するマリウスを奪われることは分かっていても、彼が求めるならとコゼットと出会えるようにしたり、逆恨みでバルジャン邸を襲撃する父親をマリウスのために敵に回したり、八面六臂の大活躍

 エポの歌詞には何度も「一人」という言葉が出てくるんだけど、本当に孤独な少女で愛するマリウスには愛を分かってもらえず、愛する故に親とも敵対し、どこにも行くところのない寄る辺のない少女

 これが嫌いな人がいたら、相当根性が捻じ曲がっているといっていいと思う

 そのエポを演じた三人、昆ちゃん、ふうかちゃん、凜子ちゃん

 中でも一番恋する乙女だったのはふうかちゃんだと思う

 死んでいくシーンも、愛する人の腕に抱き締められてる事実が嬉しくて幸せで仕方ない、っていう笑顔だった

 あんなに分かりやすく恋をしているのに、それに気付かないマリウスは堅物とか鈍感とかいうレベルじゃない、空前絶後のボンクラだと思う

 なので、ふうかエポの時はマリウスに対する好感度が急落もいいところw

 特に海宝マリウスは王子様然とした優しげなマリウスなだけに、気付かないということそのものに、怒りを通り越して憎しみすら浮かんでくるレベル

 これが田村マリだと、そもそもが堅物そのものの学者じみた印象なので、本もいいけど、もっと生身の人間を知れ!と叱咤激励したくなるし、一番子供っぽい内藤マリだとお子ちゃまには分からなかったんでちゅね~と揶揄したくなる感じ

 けど、「on my own」の後、バリケードに向かう背中が一番凛々しいのもふうかエポだったような

 なんていうか、愛されなくてもいい、私はマリウスを守るんだ、って気概に満ちていた

 とっても可愛くて凛々しいエポだったなぁ

 それから昆エポ

 私は大阪で初めて観たんだけど、やっぱり昆ちゃんスゲー上手い!って思った

  すれっからしで、気が強くて、けど恋するのは初めてで、だからマリウスに対して素直になれなくて、ついついからかったりするけど、でも本当は分かって欲しい、っていうのがよく分かるエポ

 死のシーンではようやく望みが叶った、ろくでもない人生だったけど、最後は幸せに死んでいけるわ、って満足そうに死んでいく

 多分、一番生き残りたくなかったエポが昆エポだと思う

 昆エポには、生き残った後の、どうせ貧困と犯罪の中、愛する人とも結ばれずに生きていくんだろうって人生が半ば見えていて、それくらいならここで死んだ方がずっと幸せだと思ってたんだろうなと想像したくなるところがある

 最後に凜子エポ

 多分、一番観たのが凜子エポだと思う

 三人の中で一番気が強くて、お姉さんなエポだった

 おそらくだけど、凜子エポはダメンズだと思うw

 頼りない、ちょっと駄目な男に弱そうで、マリウスを好きになったのもあ、コイツ私がついててやらないと、って思ったのがきっけけじゃないかな

 エポがマリウスに恋した理由が一番よくわかるエポだった

 一番分からないのが昆エポで、その分恋の理不尽さがよく分かるともいえるんだけど、凜子エポはその点はすごく納得できる

 そしてそれを裏付けるみたいにして、最期まで「私大丈夫だから、平気だから、泣かなくていいよ」っていうみたいに笑うんだよね、凜子エポ

 ふうかエポも昆エポも死に瀕していても今の状況が幸せで笑ってるんだけど、凜子エポはエポにとって幸せな状況なことは一緒でも、マリウスを安心させるために笑ってる感がある

 そういう凜子エポには内藤マリがぴったりだと思う

 あの子犬みたいに頼りなくて可愛いマリウスがお姉さんなエポには合う

 昆エポは田村マリだな

 なんていうか、めっちゃ仲良しなんだよ、あの二人

 もしコゼットが現れなかったら、普通に結ばれてたんじゃないか、ってくらい仲良し

 となるとふうかエポには海宝マリか……

 それだとマリウスひどい奴なんだけど、その落差がいいとも言える…

 組み合わせって難しいなw

 

 

☆コゼット

 コゼットって難しい役だと思うんだよ

 歌自体はソロは殆どないし、単体での見せ場もほぼないけど、コゼットが魅力的でないと物語の世界自体が成り立たない

 しかも相対する役が嫌いな人なんていないんじゃないかというくらいの人気キャラ・エポニーヌ

 バルジャンにとっての愛の全てでマリウスが一目ぼれし熱愛する女性なんだから、当然愛らしく美しく清純でなくてはいけない

 観客がそれに納得するようでなくてはいけない

 本当、相当難しいよ……

 その難役を演じた女優さんは、生田ちゃん、小南さん、彩花ちゃん

 小南さんは1回しか観られなかったんだけど、一番大人びたコゼットだったな

 なんというか、どこなくく寂しげな陰のある、谷間の百合のようなコゼット

 皆が目を留める大輪の花じゃなくて、ひっそりと咲いて気付いた人の心を和ませるような、そんな感じ

 バルジャンがコゼットに向かって歌う歌詞に「お前、淋しい子よ」っていうのがあるんだけど、それが一番ぴったりくるコゼットな気がした

 一番多く観たのは生田コゼット

 さすがに現役アイドルだけあって、清純さはぴか一

 天使のように清らか、っていう表現が生田コゼットにはぴったり

 綺麗なソプラノなので、その清純さが更に一層増す感じ

 あと、マリウスの背中に向かって咳払いするシーンがあるんだけど、その咳払いが超絶可愛い!

 あれ、生田コゼットのために作ったシーンじゃないかと思うくらい可愛かったw

 観る前は一番不安なコゼットだったんだけど、観てみたら良かった!

 多分、お人形さんのように可愛い分、生身を感じさせる役が苦手なんじゃないかなぁ(なので、次のモーツァルト!のコンスタンツェは相当不安(^^;))

 彼女と海宝マリ(と相葉アンジョ)が並ぶと顔面偏差値の高さにくらくらします

 マジでキラッキラ

 なんていうか「象徴」としてのコゼットとしては一番しっくりきたのが生田コゼットだった

 そして彩花コゼット

 一番生き生きとした明るいコゼットが彼女だった

 恋をした浮き浮きな雰囲気とか、バルジャンにパパと呼びかける甘えた感じとか、そういうのが全部綺麗で可愛くていかにも愛されて育った無邪気な娘って感じ

 父性溢れるヤンバルジャンと組み合わさると、メチャクチャ幸せな親娘に見える

 パパが大好きで、マリウスに恋をして、その時その時を精一杯生きてる、そんな素直で優しくて可愛いお嬢さんなコゼット

 彩花コゼットが一番好きという人が多いのが頷けるコゼットでした

 そういや15日に出待ちした時に、「彩花ちゃん」って声をかけたら握手してくれたんだけど、華奢で可憐で妖精かと思った…

 パンフレットの写真見るとなんか老けてて可愛く見えないんだけど、なんであれを選んだのか

 実物の彩花ちゃんはあれの数百倍可愛いのに

 ていうか、パンフレットの写真、どの役者さんもそうとう見劣りするようなの使ってるよね……

 東宝さん、もうちょっと考えようよ(^^;

 

☆マダムテナルディエ

 え~と…この役は1997年からずっと演じ続けてる森公美子さんがいて、もうすっかり森公美さんがスタンダードになってる感が否めないわけなんですよ

 観てるほうも演じるほうも、なんかすっかりそんな風になってる……

 毎回キャストはオーディションで選ばれるこの作品で20年ずっと、ってことは制作者側もそれでいいと思ってるってことなわけで

 実際、あの声と貫禄とはそりゃもう凄くて、なんていうか、「凄かった」以外の感想が出てこない…(^^;

 その分、トリプルキャストの面白みが一番少ないのがこの役だったりするんですよね…(--;

 ただ、あ!と思ったのが、リトルコゼットに井戸水を汲んで来いというシーンで、「行かせないで」と泣くコゼットに対して、森公美さんとほのかさんは甲高い声でコゼットの真似をして馬鹿にするんだけど、ゆうなさんはちょっと違ってて、なんというかコゼットという少女に全く興味がないんだな、ってリアクションだったんですよね

 そっちの方がより冷酷に見えて、一番怖いと思ったのはゆうなマダムだったなぁ

 ほのかマダムは他のお二方よりかなりスリムな分、コゼットを引き取りにきたバルジャンに対して色目を使うシーンでドキドキが多かったような

 ほのかさんは初代コゼットでもあるわけなので、次回はスタンダードと思われているマダムとは違った路線のマダムも見せて欲しいな~と贅沢なことを夢見る私でございます

 

 

 最後に、リトルコゼットについてちょっとだけ

 子役ちゃんはリトコゼとリトエポを日替わりで演じてて、どの子もとっても可愛くて歌も上手いんですけど、私は井出柚花ちゃんが一番好きでした

 歯を食いしばって辛い境遇に耐えながら、夢を見ている幼い女の子っていう感じが一番胸に迫ってきたのが柚花ちゃん

 子役ちゃんの場合、年齢とか諸々の事情で続投があるかどうかかなり微妙だし、特に女の子は成長期が来るのが早いから、2019年も、っていうのは難しいんだけど、彼女がまたレミゼに帰ってきてくれたら嬉しいな、と思います

 

以上、女性プリンシパルについてでした

 

さっき書いたブログ、我ながらキモチワルイw

ま、それはともかく、プリンシパルキャストは上山アンジョ以外全部見たので、比較しつつ感想を

 

☆ジャン・バルジャン

 一緒に行ったお友だちはヤンバルジャンが一番好きだそう

 凄くわかる

 三人の中で一番「お父さん」なバルジャンがヤンバルジャン

 多分、ご本人がクリスチャンだからだろう、司教様の愛に触れて生まれ変わることを決意するシーンはまさしく「神の啓示」を受けた人そのもの

 修道士になってもおかしくないくらいの「信仰の人」だったと思う

 なんていうか、ちょっとした所作の端々に、信仰を持たない日本人にはない表情があるんだよね

 ああこれが信仰を持った人なのかと、神社に初詣に行きクリスマスを祝い葬式は寺でっていういかにもな日本人である私にも分かる、一種の祈りのようなものを芯に持つバルジャンでした

 コゼットに対しては「神から託された愛しい子」という視線でひたすらに愛を注いで育てたんだろうな、と思わせてくれる愛情深いお父さんだったなぁ

 私が唯人が聖人への道を歩む姿を見せてくれるバルジャンだと思ったのが福井バルジャン

 力が人より強いだけの平凡なただの男が、貧しさに追い詰められて罪を犯して、納得できず反抗したせいで刑期が延びて尊厳もなにも踏み躙られて悪の道に落ちた、そんなバルジャン

 司教様の愛は彼にとっての蜘蛛の糸だったんだろうなぁと思うわけです

 カンダタと違って元が悪人でなく平凡な男だったからか、蜘蛛の糸を垂らされて改心できて、以降は贖罪の人生を歩み、そうして聖人へと為っていく、その過程を見せてくれたバルジャンでした

 そのせいかなぁ、コゼットに対する愛情の中に、自身が知らずに犯した罪のせいで死んでいったファンテーヌへの贖罪の気持ちが見え隠れしていたように感じたのは

  じゃあ、吉原バルジャンはどうかというと、彼は修行僧のようなバルジャンだと思うのです

 禅寺とかで苦行することで悟りの道を辿ろうとする修行僧

 なんていうか、吉原バルジャンは孤独なんですよね

 ジャベールほどじゃないけど、一人で戦い一人で乗り越えようとしているように思えるわけです

 なんとなくなんですが、三人のバルジャンの中で一番暴力的な性格をしているのは吉原バルジャンじゃないかなぁと

 その自身の暴力性を抑え、犯した罪を清め、司教様がくれた愛に恥じぬ人間になる、そのためには苦行も厭わない、そんなストイックなバルジャンが吉原バルジャンだなぁと

 その辺が一番浮き出るのがBHH

 マリウスだけじゃなく、バリケードにいる全ての学生達に等しく平和をと祈っているようなヤンバルジャン

 かつて自分が救えなかったファンテーヌの娘コゼットのためにも、せめてマリウスだけは救いたいと歌っているような福井バルジャン

 平和をと歌いながらどこか厳しい表情を崩さない吉原バルジャン

 どのバルジャンも、それぞれに良さがあってよかったなぁ

 私的にはヤンバルジャンと福井バルジャンが甲乙付けがたい感じです

 吉原バルジャンも単体で見ると好きなんだけど、なんだか強すぎてジャベールとのバランスが…

 対決するシーンとか、吉原バルジャンならそら勝つよな、という感じですもん

 川口ジャベは比較的小さいから余計…(^^;

 吉原バルジャンとタイマン張ってはらはらどきどき出来るとしたら、吉原ジャベだけでしょ!

 

 ヤン・ジュンモさんは韓国では絶対的なバルジャン&ジャベール役者さんらしいので、稽古期間も含めたら一年の2/3拘束されることになるレミゼに2019年も帰ってきてくれるとは限らないのが悲しい~

 新しいバルジャンも観たいけど、今年の3バルジャン、良かったもん

 

 

☆ジャベール

 好みから言うと、絶対岸さんなんです!

 いや、だって、めっちゃ格好いい…

 流石元戦隊レッド、自身の正義を微塵も疑っていないジャベールが岸ジャベですよ

 誰かがツイッターで呟いてましたけど、某ワンピの海軍みたいに背中に「正義!」って書いてあるジャベ

 初めて観たとき、ファンテーヌに対して歌う「まともな仕事に正しい報い」っていう歌詞がこれほど似合うジャベがいるとは!って感嘆しました

 出自こそ褒められたものではないけれど、心底神と自分の正義を信じて、信念を持って生きてきた人、そんなジャベ

 だからこそ、「自殺」で歌いながら浮かべる笑みが壮絶

 岸さんだけなんだよね、冒頭でバルジャンが歌う「独白」と同じ音の高さで「自殺」を歌うの

 あれ、闇から抜け出して光に向かうバルジャンと、光から遠ざかって闇に向かうジャベールの対比がもの凄く際立って、鳥肌ものだった

 あそこ、もっと聞きたいので、是非2019年もジャベールで帰ってきていただきたい

 一方で、一番劣等感とか自己否定感が強いのが川口ジャベ

 川口ジャベは自分の出自に対してもの凄く否定的で、だからこそ自身は正しくあらねばならないと思っているジャベ

 そのせいか仕草の一つ一つが凄く神経質な感じ

 歌も高圧的で強く見せてるんだけど、その隙間に弱さがちらつくような歌唱

 とっても哀しい人だなぁと、川口ジャベを見ると思います

 多分、自殺することに一番納得いくのが川口ジャベ

 正しくなければ存在する意味がないと思いつめているようなジャベだから、自身の正義が揺らいだ時、生きていくことができなくなったんだろうなぁ

 福井バルとの組み合わせだと、ごく普通の人から聖人になっていくバルジャンが弱→強で、ジャベが強→弱だから、もの凄くバランスがよくて好き

 そんでもって、吉原ジャベ、めっちゃ強い

 ファンテーヌの死の後、最初の対決でなんでバルジャン勝ったのか、本気で分からない

 それくらい強い

 人間と言うより、訓練された軍用犬とか、そういうのを思わせる感じ

 警棒の使い方とか、めっちゃビシッ、バシッって感じで格好いいけど、すんごく怖い

 吉原さんご本人が何かのインタビューで「ジャベールは負けてなくて、俺が死ぬことでバルジャンに重荷を負わせてやるくらいの気持ちで死んでいく」みたいなことを仰ってたらしいけど、そうだろうなぁと納得する強さ

 他の二人のジャベは自殺する時、もの凄い混乱の中で死んでいくんだけど、吉原ジャベは全く混乱してなくて、むしろ理性的だと思う

 それがコートにも現れてて、岸ジャベも川口ジャベも死ぬときコートのボタンは外したまま、なんなら髪も乱れた状態なんだけど、吉原ジャベは一筋の乱れもない髪の毛で、きっちりコートのボタンを留めて、死んでいくんだよね

 もの凄く自覚的で、あそこでバルジャンに猶予を与えた自分を自身で裁いて「死刑」の判決を下した、って感じ

 うん、吉原ジャベの場合、自殺と言うより死刑判決による刑の執行って感じだ

 どこまでも閉じた世界で自分の正義を貫いて生きて死んだ

 それが吉原ジャベ

 孤独だなぁ…けど、その孤独が吉原ジャベの持ち味でいいとこでもあるんだよね

 好みでいうと岸さんだと最初に書いたけど、それぞれ違う良さがあって、バルジャンとの組み合わせでもまた変わってくるから、結局甲乙付けがたいなぁ

 

 

まだまだ続くよ! 

めっちゃ久々にブログ書いてみる

 

10月15日、私の2017レミゼが終わった

5月22日のプレビューから5ヶ月

東京で3回、大阪で4回、名古屋で2回

気に入った演目は複数回観ることも多い私だけど、これだけ観たのは生まれて初めて

そもそもレミゼ自体、今までは、チケット取れたら観に行ってもいいかな~程度の演目だった

人気の公演でそんな態度だから、実はあんまり観たことがない

それが今年、こんなに夢中になったのは、ひとえに相葉裕樹くんのおかげだ

去年、アンジョルラス役相葉裕樹って発表された時、正直「マジか~(--;」と思ったものだ

彼の高い音域や甘めの容姿にはマリウスの方が合ってると思った

それに、全く熱心ではない観客だったけど、レミゼが日本のミュージカルの中でも最高峰の舞台だってことは分かってたし、キャストの歌唱力がアンサンブルに至るまで段違いだっていうことも知ってたから、ファンの贔屓目で見ても、彼があの中でちゃんとできるとは到底思えなかったからだ

近年の相葉くんは随分歌が上手くなってたのは確かだし、実際、DVDとか見れば分かるけど、SAMURAI7の時に比べたらラカージュなんかは段違いに上手い

けど、レミゼに出られるレベルではなかったと思う

その気持ちが薄らいだのは、歌唱披露の時

東宝が公式にあげた動画を見て、びっくりした

テニミュ時代「えなりw」と揶揄されてた、高くて通るけどひょろひょろしていた声に一本、芯が通ったようだった

声の響きに厚みが出てきていた

これなら、と思う気持ちが出てきた

反面、トリプルキャストの一人が上原理生くんで、彼の歌唱力と比べられることを考えるとやっぱり駄目なんじゃないかという不安はまだまだ拭えなかった

 

そして迎えたプレビューの日

一幕が終わった後、私は席を立てなかった

ごめんなさい、と相葉くんに心の中で詫びた

彼がその今風にチャラく見える外見とは裏腹な非常な努力家だと知っていたけど、まさか努力でここまで上げてくるとは思わなかった

ファンだといいつつ、彼の可能性を一番否定してたのは自分だったと打ちのめされた気分にすらなった

それくらい、相葉アンジョルラスは素晴らしかった

よく通る高めの声

今までは単色でしかなかったその声に複雑な陰影と厚みが出て、低音が響くようになっていた

それだけじゃない

日本のレミゼを見るたび私が持っていたアンジョルラス役への違和感

それがなかった

アンジョルラスというキャラクターは、強烈なカリスマ性を持った学生達のリーダーだ

清廉潔白で理想主義的、女性に対する興味は全く無く、ただ故国フランスと共和制への熱烈な愛だけを心に捧げ持ち、革命へと皆を駆り立てる、そういった人物

そして、原作者ビクトル・ユーゴーがその容姿の美しさをこれでもかと何度も何度も繰り返し描写している(なんとメインヒロインのコゼットより回数が多い!)金髪碧眼の美青年でもある

今までのアンジョルラスは、「カリスマ性を持ったリーダー」であることを前面に出しすぎて、非常に雄雄しく演じられることが多くて、それはそれで良いのだろうが、とても「大理石の天使像」と描写される原作の彼の面影を探すことが難しかった

ところが、相葉アンジョルラスは、私が思い描いていた大理石の彫刻そのまんまの容姿で舞台に現れたのだ

そして、その演技

はっきり言うと、私は相葉くんの演技が好きだ

シンケンジャーで初めて彼と言う役者を意識してからずっと、ファンであり続けたのは、彼の演技が好きだったからに他ならない

あの容姿とジュノンボーイとか特撮出身とかテニミュとか、そういった諸々の要素から顔が売りのアイドル俳優だと思われがちだけど、実際のところ、彼の演技はかなり上手い

テレビや映像向きとは言い難いが、舞台では文句なしに映える役者だ

なにより、無言の演技がいい

私の思う「良い役者」の条件の一つに、「身体が語る」というのがあるのだけれど、彼はそれが出来る役者だと思っている

アンジョルラスを演じている時も、マリウスたち学生がはしゃいでいるのをカフェの壁に寄りかかってみている姿、バリケードの上で背を向けて外を見ている姿が、とても良かった

歌そのものは勿論、あの佇まいに、私はヤられたんだと思う

 

実を言うと、プレビューを見る前はこんなに回数を見る予定はなかった

帝劇のラスト近くに1回、大阪は地元だしファンミもあるから2回、名古屋は最後だから楽に1回、そんなもんだと思っていた

ところが、プレビューを見て俄然気持ちが変わった

可能な限りチケットを増やしたくなった

しかも他の役者との違いを味わいたくて、上原アンジョの回を取ったりもした

 

結果だけいうと、大正解だった

相葉アンジョルラスは、回を重ねるごとに最高を更新し続けてくれた

プレビューの時はまだ不安定だった中低音が恐ろしく響くようになり、心臓ごと揺さぶられるような歌唱になっていったし、彼の澄んだ高音を生かした、聞かせどころでもある、「群れとなりて」「世界に自由を」の伸びのすさまじいまでの美しさときたら…!!!

途中、歌唱あるいは演技プランを変えたのか、シャウトすることもあったけれど、最後は高らかに歌い上げてくれた

1幕ラスト、0番に立って銃を掲げる姿も、どんどんと堂々と凛々しくなっていき、楽日にはまるで彼が主役であるかのような輝きを見せてくれた

 

大阪公演が始まる前は終わったらレミゼロスに陥ってぐだぐだするんじゃないかと思ったものだったが、終わってみたらそんなものはどこにもなかった

ぽっかりとした空虚は心の中にあるけど、ただひたすら幸福で満足感に溢れている

相葉アンジョルラス、本当に素晴らしかった

 

名古屋の楽で、またオーディションに挑戦すると相葉くんは言った

彼はああ見えて有限実行の努力の人で、そういう意味ではファンを決して裏切らない人なので、2019年もきっとアンジョルラスとして0番に立って銃を掲げてくれるだろう

 

それが今からとても楽しみ

さ、今から相葉アンジョルラスを追っかけるためにお金貯めなくちゃ!