レミゼはプリンシパルはトリプル(時にはフォース)キャストです。
地方は前半組・後半組・通し組に分かれて、周ります。
ですので、シングルキャストでは当たり前の一日二公演という日は、どのキャストさんも殆どありません。
が、長い公演期間の間には諸事情あって1回くらいはマチソワ二公演務めることも。
ま、帝劇では本当に滅多になくて、ほぼ地方公演で起こることなんですけどね。
我が最愛の推し・相葉さんも2017では大阪で、今年2019では名古屋で、1回だけマチソワの日がございました。
それが6月8日。
他のプリンシパルは全員入れ替わりですが、相葉さんとアンサンブルさんは固定となる日。
2017の大阪はそれはもう壮絶だったということで、観ないわけにはいかない!と張り切ってチケット取りました。
ただね、御園座、1階席でいい話を殆ど聞かないんですよね。傾斜がほとんどない上入れ子になってないので見えにくい、前に背の高い人がくるとほとんど見えない、といった話ばかりが耳に入ってきまして……
なので、あえてのB席を選択。だって、B席だと確実に2階席ですからね。
結果としては大正解。ほとんど傾斜がないという1階とは逆に、2階は適度な傾斜があって、とてもよく見えます。しかも、オケピを使うと1000席に満たないという帝劇よりもコンパクトな劇場だけあって、2階ですら舞台に近い。マチネではあえてオペラグラス使わなかったんですけれど、照明も帝劇より明るいし、なくてもいいくらいしっかりと役者さんたちの仕草が見えました。細かい表情を見たいって方以外はオペラいらない感じです。
更にラッキーなことに、B席でも前方席(マチネは前通路から2列目、ソワレは前通路1列目)でしたので前を遮るものが全くなく、オケピの中まで見えました。
16日にもう一度御園座行くんですが、その時は1階席なのではたして本当に見え辛いのか確かめてきますが、この劇場に限っては2階席が正解なのかもしれません。
さて、マチソワの感想です。
とにかく、行ってよかった!ソワレでの相葉さんの熱量が凄まじかったです。
ぐんぐん上がっていく熱が冷めないままソワレに突入した感が凄くて、心の底から震えました。同時に、滅びの予感が常に身辺にまとわり着いているような演技にゾクゾク。
SF的な小説や漫画、アニメやゲームに「ループもの」ってジャンルがあるんですけど、そのループものを観てる気になりましたね。
しかも、相葉アンジョだけがそれを自覚しているループもの。
自分の行動が仲間たちの死を呼び込んでいる、それを知りつつ、それでも「世界に自由を」もたらすためにこうするしかない、みたいな悲壮感が付きまとって、それゆえに余裕がなく、どうすれば打開できるのか焦る気持ちが大きくて大局を見られない、そんなアンジョでしたよ。
今までで一番余裕がなかった感じ。そのアンジョを傍で見ているコンブとクルフェが、理由は分からないけれど支えなくてはと必死になっている印象もあって、学生達の方も引きずられるようにして滅びへの道を疾走していく様が凄まじいカフェミュザンであり、バリケードでした。
アンジョの在り方は学生たちに影響受けてるみたいなことを前に相葉さんが言ってましたが、逆に学生たちもアンジョの在り方に影響を受けてる部分ってあると思うんです。だから、アンジョ役が違うと、学生達も違った反応をするんだと思います。
で、今回のマチソワ、相葉アンジョの熱に相当引きずられてたんじゃないかな。二幕のバリケードでの戦いのシーン見て、そう感じました。
戦いの中で上げる雄叫びやガブが死んだ後の叫び、マチネも熱かったですけど、更に熱かったし悲壮だったように聞こえましたもの。
だからでしょうか、バリケード陥落後、荷車に乗せられたアンジョの死に顔の静謐さがそら恐ろしいと感じました。
生きてバリケードで戦っている時の若さと情熱を迸らせた生々しい表情とは全く違った、静謐そのもののような大理石の彫像めいた端正なうつくしい顔。静かで穏やかささえ感じられるその顔は、殉教者を描いた宗教画のようで、涙がこぼれました。
あの瞬間を永遠に留めておけたならなぁ……
さて、他の部分での感想です。
マチネはとにかく「いろはちゃん可愛い」それに尽きました(笑)
久々のいろはコゼだったんですけど、やっぱり可愛い。大好き。
あとね、坂野ガブ、なんかちょっと違うガブだなと思ってましたが、その理由が分かりました。
坂野ガブは小さいけれど戦うことを選択した男の声をしているんだ。学生たちがどう思ってるかはおいといて、坂野ガブ自身は自分や自分と同じくスラム街で暮らしている仲間というか子分だちがよりよい生活ができるように戦うことを選択してあそこにいるんだ、と感じました。
その坂野ガブにとって、市民がこないからとバリケードから追い出されるのは不本意だったでしょう。だから彼は戻ってきた。自分はまだ小さくて戦いの役に立たないことに忸怩たる気持ちがあったから、弾がないとなった時、やっと役に立てる、戦いに貢献できると喜んだことだろう。
だから、バリケードに戻ってきて片手を掲げたあの瞬間の死は、坂野ガブにとっては満足すべきものだったんじゃないかな。
それを受けての「立つのだ仲間よ」であったら、めちゃくちゃ熱いな~と思ったり。
なんとなくですが、坂野ガブは、原作にある「青二才」「クソガキ」みたいなアンジョとのやり取りはしなさそう。
あ、それと。三浦マリがようやく及第点くらいになってました。
御園座はコンパクトな作りだということと歌舞伎をやる劇場だということが合わさって、とても音がよく通る劇場なんですよね。それに助けられた感は否めませんが、ようやく声が前に出始めた感じです。兼ね役での棒立ちもなくなりましたし、これでようやく及第点かな、と。
……2ヶ月ほど遅かったよね(^^;
それと、斉藤テナ初見でしたが、思ってたより綺麗な声でした。結構真面目でした。……演技の勉強、してからの方が良かったと思います。
悪くはないけど良くもない、そんな感じです。まあ、その辺は後ほど……
そしてソワレ。
吉原バル・川口ジャベとの組み合わせだと、濱めぐファンテいい!
吉原バルが非常に強いバルなので、濱めぐファンテがいかに強かろうと対比の問題で弱く見える!!!
川口ジャベも内面が強固なジャベなので、濱めぐファンテに何を言われようと動じない分、比較すると弱く見える!!!!!
なるほど、シュガーバルと川口ジャベの組み合わせを本国がNGにしたのは、こういうことなんだな~と納得いたしました。
組み合わせといえば、朴マダムとじゃんテナの組み合わせが素晴らしかった!
今まで朴マダムにはKENテナだと思ってましたが、こっちの方が好み。あと、じゅんさん流石だな~と思ったのは、客の乗せ方がめちゃくちゃ上手い。テナの宿屋の場面やラストの結婚式の場面で手拍子起こるの、じゅんさんくらいじゃないかな。好みが分かれるテナですが、ああいうとこはキャリアがものを言うんだなぁとつくづく思いました。
で、そのじゅんテナと組み合わさると朴マダムのコミカルさが際立つ。KENテナとだと色っぽくて悪い部分がフォーカスされるんですが、じゅんテナだと可愛かったりコミカルだったりする部分が際立つ感じ。これはいいテナ夫婦です。
そして
ソワレの白眉は小南コゼ。元々演技は一番上手いと思ってましたが、最後にやられました。小南コゼは過去を話してくれないパパに分かりやすく腹を立てるし、態度にも出す気の強い娘。傷ついたマリウスに寄りそうにしても、黙ってほほ笑みながら寄り添っていそうないろはコゼや生田コゼと違って、諭したり叱咤したりしそう。
なのに、ラスト、死にかけたバルが「最後の告白を書いた」と手紙を渡すシーンでめちゃくちゃ拒否するんですよ。「私は父じゃない」って言われて、駄々っ子のように首を振ってパパって呼びかける。
それを「仕方ないなぁ」とほほ笑んで、それからマリウスに視線を送る吉原バルと、真正面から受け止めて静かに頷く海宝マリ。
なんなの、あの三人。思い出すだけで涙出るんですけど。
あまりに感動して泣けてきて、カーテンコールではめちゃくちゃ勢いよく立って拍手しまくったくせに、終わった瞬間席にへたり込んでしばらく立てませんでした。
やられたよ、小南ちゃん……
というわけで、大満足のマチソワ観劇でした。
他にも学生たちのこととか、海宝マリのこととか、相葉アンジョのこととか、色々書きたいことはあるんですが、長くなるので今日はこの辺で。
また、おいおい書いていきます。