プレビューから10日。
土曜日のイープラス貸切公演のチケットを友人が取ってくれたので、3日連続のレミゼ。
GWの初日から3日なのでホテル高かったし、飛行機が高すぎて車で往復する羽目になったんだけど、それはそれ。
というのも、2017は何も考えず、いつもの調子で初日辺りに1回、楽日辺りに1回でいいや、とチケットを取ったらもっと観たくなって大いに後悔したから。
それを教訓に、色々検討を重ねた結果、連続して見られる日程があったので、そこを狙って無事チケットをゲットしたわけです。
なにせトリプルキャストだから、毎日上演はしていても折角宿泊したのに、目当てのキャストは1回も観られないなんて日程もあるわけで。
ま、今年も前回と同じく相葉アンジョ中心のチケット取りなので、彼が観られないってことはないんですが、それでも交通費・宿泊費をかけていくわけなので、なるべく沢山観たいのは人情ってことで。
さて、今回の3日間のキャストは、相葉アンジョ固定として、
27日:吉原バル・上原ジャベ・濱めぐファンテ・ふうかエポ・内藤マリ・いろはコゼ・KENテナ・森マダム・大矢ガブ・丹宗グラン
28日:シュガーバル・伊礼ジャベ・知念ファンテ・昆エポ・三浦マリ・小南コゼ・KENテナ・森マダむ・大矢ガブ・丹宗グラン
29日:福井バル・上原ジャベ・濱めぐファンテ・昆エポ・内藤マリ・生田コゼ・駒田テナ・朴マダム・坂野ガブ・川島グラン
でした。
これで、バルジャンとファンテーヌ、コゼットは三人全員見たことになります。
さて、感想……
えーとね、どう書けば当たり障りないか、さんっざん考えたんですが、どう書いても結局書きたいこと書くとどこかに差しさわりが出るのが分かったので、はっきり書きますね。
褒め言葉しか読みたくない、聞きたくない人は、以下は読まないで下さい。
一応オブラートには包んだつもりですけど、辛口なこと書きますから。
読んでから抗議されても、私は知りません。
今年が初登板のキャスト、個人的には相当期待してたんですよ、私。
歌唱披露でのシュガーさんのBHHとか、本当に素晴らしかったし、濱めぐさんは結構好きな役者さんだし、理生さんのお声がいいのは周知の事実だし
反面、不安がいっぱいなキャストもいました。2.5と帝劇じゃそもそも要求されるレベルが違いすぎないか、とか、そんなに歌が上手い印象ないな~とか、まあ、色々と……
観てないものをごちゃごちゃ言うの、好きじゃないので、観てないキャストのことは何も言いません。
今回初見のキャストさんについて言えば、はっきりと期待はずれでした。
シュガーバル、軽いんですよ。バルジャンが歩んだ長い年月の重みがない。その点、続投のお二方は流石で、背に圧し掛かる年月の重みを感じさせてくれるバルジャンでした。
一番期待していたBHHはさすがに素晴らしかった。あの歌唱のためのチケット代だと思えば飲み込めます。
それくらい、私はシュガーさんのBHHが好き。
けれど、他の部分が……
濱めぐさんは、ファンテーヌとしてはあまりに理知的というか賢しい感じがして、違和感。元々の声やミュージックフェアで披露された歌声から考えたら、もの凄く若い声を作っていて、『若く美しい』ファンテになろうと努力してらっしゃる様子は伺えました。なので、最初はいいかも、と思ったんですよね。けど、話が進むにつれて、その演技に違和感が。
濱めぐファンテはもの凄く自覚的というか自主的なんですよ。あの人生を、自ら選び取っている。工場で孤立するのも、大事なペンダントや髪の毛を売るのも、娼婦になるのも、全部自分で覚悟決めて選んでいる。
私はファンテーヌを『若く美しく愛情深く、けれども愚かな』女と捉らえていて、それに二宮ファンテなんかはぴったり当てはまるんですけど、濱めぐファンテには、最後の『愚かな』がどうしても当てはまらない。だからこその違和感。
「追い出したのは、あなた、あなたよ」と歌う声が哀れな身の上の女の精一杯の叫びというより、自分を陥れた犯人を弾劾する声に聞こえるんですよね。それはそれでいいのかもですが、その勢いと、その後倒れて死に至るか弱さの間のギャップがどうしても飲み込めない。
以前見た、王家の紋章のアイシスお姉さまとかメタルマクベスのマクベス夫人とかメリーポピンズのメリーとか、めちゃくちゃよかったのにな~
歌も上手い、演技もそこそこできる、素敵な役者さんなのに、とっても残念。
いっそマダムみたいな悪役の方がいいかも、と思ったり思わなかったり…
そして、上原ジャベ。
強いし怖い。その内、彼の目つきの恐ろしさに舞台上で死人が出るんじゃないかレベルで怖い。
パリでバルジャンを見つけた時に笑うんですけど、その笑い声が狂気を帯びてて、更に怖い。
なんなの、あの狂犬っぷり。
今までのジャベールは、それぞれに違っていても、その芯にそのジャベールなりの正義とか信じるものとかが見えていたんですけど、上原ジャベにはそれが見えない。ただバルジャンを執念深く追いかけているだけの、主も信念も正義もない狂った男にしか見えなかった。
多分、上原さん本人にはそれがあるつもりで演じているのでしょうけど、上原ファンにはそれが見えているのかもでしょうけど、一観客の私にはまったく見えない。
何でかっていうとですね、(コレいうとめっちゃ叩かれそうですけど、言っちゃえ)上原さん、演技下手なんですよ!
レミゼはソングスルー演目でほぼ全編音楽と歌に彩られた演目なので気付かない人多いかもですけど、演技力でいったら、上原さん大根に近いですよ、ホント。
何もかもがやたら強くて、クレッシェンド!クレッシェンド!!クレッシェンド!!!、ないしは、フォルテ!フォルテ!!フォルテッシモ!!!
緩急が皆無なんです。
おかげで折角の素敵ないい声が宝の持ち腐れと化している感が拭えない。
スターとか自殺とか、ジャベールの見せ場ですし、朗々と歌い上げたいのわかりますけど、コンサートじゃないんです。
ジャベールとしての演技が乗っかってない歌唱は聞きほれることはできても、感動はできません。
彼はもっと演技とデクレッシェンドすることを学ぶべきだと思います。
あ~、書いちゃった。けど、すっきりだわ。
ツイッターとかだと三人とも絶賛されてたりするので、どうしようか迷ったんですけど、ここは私の個人ブログだし、好きなことを好きに書く場所だと思うので、結局書いちゃったよ(笑)
ま、これが今の正直な感想ってことで。
まだ大千秋楽まで4ヶ月以上あるので、どう変わるか分かりませんけど、基本的には変わらないだろうなぁ、この三人。
可能性があるとしたらシュガーさんだとは思う。回数を重ねれば軽さが解消されていくだろうから。
そうそう、プレビューで辛口感想だった三浦くんですが、まあ、よくはなってたかな。楽譜通り、演出家の指示通り、な感じで、恐ろしくニュートラルだけど。なんていうか、自分はマリススとして舞台上でこう生きるんだ、っていうビジョンが不明確。過去のマリウスたちはちゃんと「自分のマリウス」像があって、そういうマリウスとして舞台の上で生きてたけど、彼からはまだそのビジョンが感じられなくて、相変わらずマリウスを演じている三浦宏規が舞台上にいる感じ。まあでも、良くなろうっていう気概は感じたので、化けて欲しいなと思っています。
あと、個人的に好きなキャラであるガブローシュとグランテール
大矢ガブくんは一番背が低いのかな。可愛いやんちゃ系の少年で、だから最後のシーンが可哀想で可哀想で……
坂野ガブくんは、メリポピのマイケルだったと聞いて期待してたんですが、めっちゃイケメンなガブでした。このガブなら確かに街を仕切れるだろうな~と。
もう一人のガブも楽しみです。
で、グランテール。2017ではアンジョに触れられなかった丹宗グラン。2019では触れられるグランに変わってました。が、皮肉屋なところは相変わらず。川島グランが背が小さくてコミカルなグランだったので、対比が面白かった。
丹宗グランは直球な皮肉屋で、アンジョが好きで好きで、だからカフェミュザンにいるんだけど、革命の成功を信じていないグラン。酔っ払った振りをしてるけど、実際はしらふの時が多そうなグランでもあるな。カフェに出入りする間に学生仲間たちにも一種の愛情を持つようになって、だから一緒に死のうと密かに思ってるんじゃないかな。ただ、ガブはあまりに幼くて、なんとか救いたいとも思ってる。だからこそ、学生も皮肉屋で酔っ払いのグランを受け入れてるっていうのが2019の印象。
対して川島グランは、皮肉を笑いに包んで道化た振る舞いをするグラン。そうすることで周囲に本音を上手く隠して、学生仲間に紛れ込むことに成功してる。ただ、アンジョだけはそれを何となく分かってる感じ。だから、アンジョからの当たりは結構強かったり。彼は実際酒瓶を口元に持っていってる仕草が多くて、常に酔っ払ってそう。美しいアンジョに心酔して彼がそこにいるからカフェミュザンにいるだけで、学生との距離は実際には遠そう。ほぼアンジョのストーカーなんじゃないかと。で、革命は失敗しようが成功しようがどうでもいいし、自分はアンジョの傍にいられればそれでいいけど、ガブは助けたいなぁと思ってる感じかな。
グランだけじゃなく、フイイといい、バベといい、今回はアンサンブルさんもダブルで印象をガラッと変えてきてるなぁ。
2017はどちらかというと良く似た印象の二人だったから、中々に面白い。
最後に相葉アンジョについて。
27日はプレビューと変わらず、光り輝く大天使だったわけですが、28日、聞かせどころの一つ「群れとなりて」で声が割れたんですよね。
え?もしかして調子悪い?と思ったら、ワンデイモアでも、ちょっと声の張りが足りない感じで、もやもや。
そしたら2幕で若干歌唱を変えてきて、あれ?と。で、ラストの「世界に自由を」を絶叫しなかったんですよ、彼!
けど、綺麗に声が伸びてたので、良かった、持ち直したんだとほっとして、友人とお茶してホテルに帰った私。
明けて29日。え、昨日と全然声の張りも厚みも違う!やっぱり昨日は調子悪かったんだ!と確信。
その後も素晴らしい厚みのある歌声を随所に響かせながら、恐ろしく緩急の効いた歌唱を聞かせてくれました。
ラストは28日と同じく絶叫ではなかったものの、ずっと綺麗なロングトーン。
なんていうか、感動しました。今までがむしゃらに頑張って頑張って、無理を無理と思わず、ただ必死にやってた相葉さんが、自分の調子をちゃんと分析して、それにあわせて歌唱を変えて、そして一晩で調子を整えた上、最善を尽くしながら今後のことをしっかり考えて無理をしすぎない、なんてことが出来るようになったんだ、と。本物のプロへの階段を一歩上がったんだなと実感できて、大層感動しました。
調子が戻ったせいか、29日はラストでアンジョが砦から落ちるシーン、めちゃくちゃタメが長かった!
あのシーン、落ち方はアンジョそれぞれで違ってて、相葉さんは半身を振り向かせた後、背中からすっと落ちていく形。
相葉さんはダンスも得意だし、見せ方というのをよく知ってるのもあって、そういう決め場では必ず静止するんですよね。
その静止があるから、シーンシーンでのアンジョの姿が目に焼きつくというか、残像が残る。
ただ、身体を捻って斜めになった状態での静止なので、体幹が相当しっかりして、なおかつ筋力がないと厳しい。27・28日は、止めてはいるけど、そんなに長くなくて、あっさりめにすっと落ちていたのが、29日は長かった!
正確な時間で言えばコンマ何秒程度の差かもしれませんが、そのコンマ何秒でここまで印象が違うとは!ですよ。
後ろからのライトに照らされた相葉アンジョのシルエットの美しさときたら。
息が止まるほどの素晴らしいワンシーンでした。
さて、次のレミゼは5/25。
何か思い出したらその都度書きますが、とりあえずはこんなところかな。