「シャナン・・・・どうしているのかしら・・・」

「ユナ姫、しばらくここに滞在してゆっくりしたらどうですか?いろんな事がありすぎて疲れたでしょう?」

「そうね・・・ケンタとクウナも心配だけど、ファルがついてるものね。」


庭に出てみると、空には、どんよりとした雲が一面に広がっていた。

花々が、なんだか元気ないように見える。

「ユナ姫」

振り向くとそこにはロバートが立っていた。

「あんなに美しかった庭も元気がないな・・・」

「光がないということは、全てが元気ないように思える。動物達も木々たちも・・・」

ロバートは思わず、ユナに見入ってしまった。

そこに立っている、ユナだけが、光り輝いているように見えたからだ。


「ロバート?」

目が合って、たじろいでいるロバートに

「どうしたの?」

笑顔で話すユナ

「い・・いや・・・あまりに綺麗で・・・」

ロバートはユナの顔に触れた

「前は、こんなに近くで貴方に会えるとは思っていなかった。遠い存在だった。

その人が、こんなにも近くにいる。俺のそばに・・・」

見つめあう二人に、空の雲が晴れてきた。月の光が二人を照らす。

ロバートは、ユナを抱きしめた。

「ユナ姫、命に代えても貴方を守るよ。」

「ロバート・・・・」

なんともいえない感情がわきあがる。


なんだか、安心する。

ロバートの鼓動が聞こえる。

目を閉じると、鼓動だけが、ユナに聞こえた

他の音は聞こえない・・・・


ロバートに髪を撫でられて、ゾクっとする。

体中が、ざわざわする。

いけない!また、ロバートを傷つけてしまう!

思わず離れるユナ

その瞬間、ユナは消えた。

今の天界竜王が生まれたとき、双子だったのです。

1人は、精霊界で育てられ、もう1人は天界で育てられました。

二人は、会うことがないように、別々に育てられたのに、同じ女性を愛したのです。

けれど、キルアは竜王の花嫁でした。

花の精霊王としてのキルアはとても美しく、はかなげで、あのときのキルアは、抗うことを知らなかった。けれど、ジーンはあきらめなかった。精霊界から飛び出し、キルアを竜王から、奪ったのです。竜王は、激しく怒り、人界に二人を閉じ込めた。

それまで、不毛の土地だったこの世界は二人を閉じ込めることで、豊かになった。

人々は、繁栄し、キルアとジーンを崇め、両国の王は、決して手放すことはしなかった。

だが、ジーンの憎しみが闇となり、タウオン国を覆ってしまったのだ。


「これが、天界であった事実だ」


「それじゃ・・・あの二人を呼び戻すなんてできないじゃないか!」

「でも、なにか方法があるはずだわ。この世界を豊かにする方法。ジーンとキルアがいた頃のように、潤う方法があるはずよ・・・」

沈黙が流れロバートは

「竜王に会いに行けば、なにか方法がわかるんじゃないか?」

「簡単にいいますね。ただの人間がいけるところだとでも?」

「・・・・・・」


悔しそうに

「わかったよ・・・!後継者になれば、文句ないだろう?」

「決心してくれましたか?」

「今より強くなれるなら、ユナ姫を守れるからな!」

ちょっと照れたようにロバートは、ふいっと部屋をでていってしまった。


「私の若い頃にそっくりですよ。」

「え?!ええ!貴方が?ロバートに?嘘?!」

静かに笑うリークに唖然とするユナは

「だって、貴方は気品があって上品だし」

「それは、長いこと生きていれば、自然と身につくものですよ」

にっこり笑うリークの笑顔は、とても嬉しそうだ


「まずは、シャナンを探しましょうか。水王のところは行くのにちょいと手間がかかりますからシャナンなら、たぶん私の言うことは聞くでしょう」

「ああ、あるって言うのは聞いたことあるが、誰も目にしたことがないと、探しても見つからないと聞いた」

リークが、話し始めた


伝説の書、それは精霊王4人のことを指す

一冊の本を4つにわけ、それぞれが持っている。

なぜなら、前回の戦争のとき、本は奪われ、天界との戦争になるところだったからだ

あの悲劇を繰り返さないために、私達長が持っているのです。

天界への道を開くには、私達4人が集まらないと開かない。

と、言われている。

だが、伝説の書だけでは天界の道は開かない。

何かが足りないのだ。

それが何かは、いまだわからない。

私達がその場所へ4人集まっても天界の道は開かなかった。


私が持っている書には天界への地図が書かれている


ファルがもっている書には

精霊王4人のクリスタルを捧げよ


あと2つは、シャナンとリュイがもっている


予言の姫は時々現れる。

だが、本当に力をもった方が現れるのは、1000年に一度と言われている。

ユナ姫、貴方がそうです。

前もそうでしたが、貴方が、この世界を救う役目なのです。


私達は、この世界を救うために力を貸した。

結果として、キルアとジーンをまた閉じ込めることになってしまったのだ。


「そこだよ。なぜ、二人は、閉じ込められたんだ?そんなことしなくても、この世界は、潤っていたのだろう?」

「いいえ・・・・今が、この星のあるべき姿、そうよね?」

「そうです。ユナ姫・・・」

第9章 ユナの苦しみ

ケンタは徐々に回復し、ラディストの生き残り達と、山と山に囲まれた場所に隠れるように住んでいた。

しばらくは、生き残り達を探し、その場所へ連れてくる作業が進められ、

ケンタとクウナは王と王妃の務めを果たそうと必死になっていた。

グリーはいつのまにか、医療責任者に任命され、アンジュもグリーと共に傷ついた人たちを治療していた。

ファルは、城の警護にあたり、ラディストのために働いている。

ユナはロバート共にリークの家にいた。


「これからどうしたらいいのかしら?」

「人々は非難させたから、ひとまず安心だがケンタ王も今は、必死に立て直そうと頑張っているし、俺達にできることは、光を取り戻すことじゃないか?」

「ロバート、貴方は、私の予言を知っているかしら?」

「俺は、知らないんだ。キルアの城に行ったときも、何を話しているのか良くわからなかった。わかったのは、キルアがジーンに連れて行かれたってことだけだ。」

「姫がいる限り滅びることはない。姫というのは、キルアのことだったのだな。」


リークが姿を現した。

「リーク!聞きたいことが山ほどある!しかも、俺が後継者ってなんなんだよ!」

「ロバート!そんな口の利き方って・・・この方は風王ですよ?」

にっこり笑うリークにますますむかつくロバート

「ロバート、お前は、俺の後継者にふさわしい。資質才能共に、備わっている。

ただの人間じゃだめなのです。どうしてもいやだというならあきらめますが?」


黙り込むロバートにユナは

「ロバートは嫌なの?」

「嫌も何も!何がどうなっているのかまず説明しろ!」

「いいでしょう。でも、話を聞いてそれでも、後継者はいやだといった場合、貴方が今聞いたことは記憶を消しますからそのつもりで」

リークは楽しそうに話している。

「リーク王、楽しそうね・・・・」

「ええ。こんな時だというのに、私は、本当に幸運です」


「伝説の書があるのは知っていますね?」

キルアは、走りより

「ジーン!会いたかった!」

その男を抱きしめるキルアに、ユナは呆然としていた。

シオンじゃない?あれがジーンなの?

戸惑いを隠せないユナに

「お前がユナか・・・・」


「ジーン!貴方がここにいるということは、もう・・・・」

リークは、まっすぐにジーンを見る

「何を企んでいる!?この世界を闇に変えてまでなにがしたい!」

「闇に変えたかったわけじゃない。キルアを取り戻しにきただけだ」

淡々とはなすジーン

「本当にシオンじゃないのね・・・シオンはこんなに冷たい瞳はしないわ」

まるで、自分とシオンを見ているような錯覚に陥る

「キルアは連れて行く。」

ファルが思わず叫ぶ

「どこへ行くつもりだ!」

「竜王の届かない場所、地の奥深く・・・・邪魔をするな・・・もうこれ以上邪魔をされたくない・・・・」

皆、動けなかった。

二人はその場所から・・・・・

消えた・・・・・・


ラディストは全て闇に包まれ、人々はパニックに陥り、さらに闇の国のものが、襲い掛かってきた。

光のないラディストは、1週間で、闇のものに支配された。


ラディストの生き残りは、キルアのいた神殿に移された。

ここなら普通の人は入れず、ラディストを立て直すにも最適な場所だったからだ。


ラディストは崩壊した。

タウオン国が全てを支配したのだ。