車内販売のワゴンは、品物をできるだけ多く載せることができるようにするため、幅が広めに作ってある。列車の通路はさほど広くないから、ワゴンと乗客が通路ですれ違うのは、かなり難しい。
だから、乗降客が多い駅に到着する時は、ワゴンをデッキに寄せておくのが基本だ。
特に、東海道新幹線「のぞみ」が名古屋駅に到着する時に、自由席の通路にワゴンがあったら、残り少ない空席に座ろうとする客から「ワゴンがあって通れなかったから、東京まで立つことになった!どうしてくれる!」などと苦情が来かねない。
今回は、9月上旬に、特急列車に乗った時の話。
まだ新人のバッジをつけていた男性販売員が、車内販売をしていた。ワゴンを車内1往復させたが、私の号車で品物を買ったのは、私ともう一人だけだった。
そして30分ほど経ち、2往復目のワゴン販売に入った。私の乗っている車両に入って少ししたところ、反対側から携帯電話をデッキで使ったと思われる客が戻ってきた。
すると、何歩か進んで、ピタッとワゴンを停止させた。誰も声をかけないのに、ワゴンが停まったのである。すると、携帯電話で通話をしたと思われる客は、ワゴンが停止した直前の席に戻った。そして、販売員は、ワゴンを進めていった。
これには感心した。これならワゴンで客が通りにくくなることはない。素晴らしい販売員だ。
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し・か・し・・・・・言葉で説明しても、うまく伝わりそうもない。
下手な絵で恐縮だが、漫画で説明する。
(1)販売員がワゴンを押して来たら、反対側から、デッキで通話を終えた客が、席に戻ろうとした。
(2)すると販売員は、ワゴンを数歩だけ進めて、ピタリと停止した。
(3)すると、デッキから戻った客は、ワゴンが停まったすぐ直前の自分の席に戻った。
(4)そしてワゴンは、そのまま進んで行ったのだった。
実は、2往復目で戻る時も、全く同じ状況だった。ワゴンが車両の3分の1くらいまで進んだところ、後方から客が歩いてきた。ワゴンは数歩だけむ進んで、停まった。そして停まったところの席に、歩いてきた客は座ったのだった。
販売員は、客がどこに座っているかを把握していたに違いない。
客の席を頭に入れるのは、簡単な時もあるが、今回は難しかった。
(1)同じような客層
この車両の半分くらいの客は、偶然60歳台くらいのオバちゃんグループ、3~4組だった。ワゴンに向かって歩いてきた客は、2人ともオバちゃんグループの中のひとりだ。
(2)空席も目立った
もし満席なら、空いている席が、反対側から歩いてきた客の席の可能性大だ。しかし今回は、乗車率50%くらいで、空席も目立つ状態だった。これは難しい。
(3)車内販売で買ってない
車内販売を利用した客なら、1回は話をしているので印象に残りやすい。でも今回は、買わずに1往復通り過ぎただけだ。それなのに、個々の客の位置を頭の中に入れるなんて、私にはできないや。
こういう新人販売員も経験を積むと、もっとパワーアップするに違いない。楽しみだ。