「スーパービュー踊り子」に乗車した時の話。
ただし、今回は一般受けしないマニアックな記事なのでご了承ください。
9月上旬のある日、私は新宿9:25発の「スーパービュー踊り子3号」伊豆急下田行に乗った。
車内販売マニアの私が乗るのは、普段は5号車12番D席と決めている。これには理由がある。
(1)5号車には売店がある。最も売店寄りなのが5号車12番の席だ。
(2)5号車12番は一番後ろの席で、深くリクライニングしても迷惑にならない。
(3)グリーン車1・2号車と5号車売店の間を、弁当等の移動が行われることが多く、その際に買うことができ、車内販売を利用できる機会が多い。
(4)客が特に希望しなくても、JR東日本の係員は「海側A席」を発券する時が多く、D席ならたいてい空いている。
今回も「5号車12番D席」を取った。(写真の矢印の席)
そして、ワゴンが来るのを待った。
5歩で売店に着くのだから、売店で良いじゃないかと思うかもしれないが、ぜひワゴンで買いたい事情があった。
『利用回数の数え方は、1人の販売員から何回買っても1回』、と数えるマイルールがあるからだ。売店で買った販売員がワゴンを押して来たら、同じ人から買うことになり、1回にしかならない。ワゴンから買ってすぐ売店に行けば、別の販売員から買えるわけだ。マニアのこだわりだ。
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ところが、ワゴンがなかなか来ない。
新宿を発車して横浜を過ぎてもワゴンが来ない。更に、こんなアナウンスが。
『本日はワゴンがお伺いするのに時間がかかることがありますので、5号車売店も併せてご利用ください』
何だ?何だ?
販売員・客室乗務員は、10両編成の「スーパービュー踊り子」に6人くらい乗っていたから、人数が少ないわけではない。何か合点がいかなかった。
待てなくなって、横浜9:59発車して7分後の10:06、売店でアイスコーヒーを買った。
そして10:22、待望のワゴンが後方からやっときた。
新人さんらしく、後にチェックする指導員がいた。(ちなみに2人とも男)
飲み物は、既に買ったから、軽いものを買うことにした。「バリ勝男クン」180円を頼んだ。カツオのふりかけにも似た食べ物で、本来は酒のつまみに適した食べ物だ。
この新人さんは、さわやかな笑顔で、丁寧に応対してくれた。
丁寧に「ありがとうございました」と言ってくれた。好印象だった。
3列くらい前の客は、生ビール550円を頼んだ。生ビールは泡が出て注ぐのに慣れが必要なのだが、スムーズに注いで客に渡した。販売員を5年経験したと言っても違和感を感じない素晴らしい応対と手際だった。むしろ後でチェックする「指導員」が、無表情だったのが気になったほどだ。
しばらくして、新人さんがワゴンを押して、前方・1号車方面から戻ってきた。
顔をよく見ると、あれ?あれ?何か見覚えのありそうな顔だった。どこで見かけたっけ?
思い出した!7月に会ったことあるぞ!!
7月中旬の午後、普通列車グリーン車でお茶を買ったアテンダントだ。
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7月中旬のある日の午後、私は上野行の普通列車グリーン車に乗った。
すると、若い男のアテンダントさんが巡回してきた。
12人定員の車端室に私は座っていたが、素晴らしい仕事っぷりだった。
自動扉が開くと、笑顔で「車内販売でございます(^^)」と、さわやかに挨拶。
私はお茶を買ったが、笑顔でキッチリとお辞儀をしてくれた。平日の午後2時ごろで、車内は空いていたが、巡回もしっかり回ってくれて、立派に仕事をしていた。アテンダントとして、模範的な仕事っぷりだった。
新人でここまで立派なアテンダントは、今まで4人しか見たことが無いぞ。(千葉・小金井・土浦)
ここで疑問が沸いた。
こんな元気で丁寧なアテンダント、在籍していたっけ?
身長180cmくらいの爽やかな男性アテンダントで、元気かつ丁寧な仕事っぷりなら、相当目立つはずだ。彼が乗務したグリーン車に、私が1回でも乗ったら、記憶に残っているに違いないが、今まで全く記憶にない。
推測も含めて考えると、幹部候補の育成の可能性が高いと思う。
たとえばNTTに勤務している私の知り合いは、就職してすぐ電柱に登り工事現場を理解し、窓口で接客を身につけてから、本社で仕事をしたとのこと。一般企業では、本社採用の職員でも、一定期間現場を経験させるのは、珍しくない。
もしそうなら、多くの路線を経験して現場を良く知ってから、全体を統括する部署で仕事をするのは、歓迎すべきことだ。こうして経験値を重ねた人が、JR東日本の車内販売を担当する「NRE」を、将来は背負って立つと考えると、未来は明るいと思えた。