わたしは「スーパービュー踊り子」が、すごく好きだ。
「スーパービュー踊り子」は、現在のJR東日本の特急「はやぶさ」「はくたか」「あずさ」「踊り子」など、他の特急に見られない魅力がある。
今回は、車内販売マニアにとって「スーパービュー踊り子」が、他の特急に比べて突出した魅力があるという話。
多くの特急の車内販売は、ワゴンサービスだ。ワゴンに弁当やコーヒーを積んで、車両を巡回する。しかし、「スーパービュー踊り子」では、ワゴンサービスの他にも車内販売が行われている。
《その1》売店の営業がある
「スーパービュー踊り子」は10両編成だが、その真ん中5号車には、売店がある。JR東日本の特急で、売店が営業しているのは、ここだけだ。「越乃シュークラ」や「リゾートしらかみ・橅編成」といった観光快速でも、売店の営業があるけど。
私は、6~7月に2回、「スーパービュー踊り子」に乗ったが、2回とも売店の近く5号車を選んだ。
売店だから、グッズをたくさん置いて、客が見やすいのが良い。
《その2》ワゴン販売で、生ビールも
もちろん、ワゴン販売もある。ワゴンに載っている品は、他の特急とほとんど変わらない。
特筆すべきは、生ビールだ。売店でも生ビールを買えるけど、ワゴンにも生ビールのサーバーが載っている。
JR東日本では、この他には東武線に乗り入れて鬼怒川方面に行く特急しかない。
《その3》グリーン車限定の「サロン」がある
グリーン車の2階建て1号車の下に、サロンと呼ばれるビュッフェのようなスペースがある。
グリーン車の乗客限定のためか、比較的すいていることが多い。
ここでは、生ビールとつまみ、カレーライス、アイス等を食べることができる。
《その4》シートサービス
「スーパービュー踊り子」の「グリーン車1号車・2号車」と、「普通車9号車・10号車」には、ワゴンが来るのは難しい。段差や折り返しの関係だ。
そのため、客室乗務員がメニューを持って巡回してくる。客は呼び止めて「缶ビールと蒲鉾ください」などと注文する。
私はさほど魅力を感じないが、なかには小田急VSEのシートサービスと同様の素敵な応対と感じる人もいるようだ。
一部のベテランは、9号車もワゴンを進めるから、シートサービスとワゴン販売の両方利用できることがある。
《その5》単品販売~アイス
「スーパービュー踊り子」に乗ると、必ずやってくるのが、アイスの単品販売だ。
アイスが入ったカゴだけを提げた販売員が、1度は巡回してくる。単品販売でアイスが来ると、買いたくなっちゃう。写真は抹茶味↓。
《その6》グリーン車限定の品目~アイス&カレー
グリーン車の乗客だけに販売する食べ物が、2種類ある。
1つは「黒蜜がけアイス」360円だ。普通の固いアイスに、黒蜜がかかったもので、グリーン車限定になっているのは、手間がかかるためのようだ。
私は抹茶味のスジャータアイスに、黒蜜をかけてもらった。↓
以前は、ブルーベリーがけもあったのに、無くなってしまった。↓
【追加情報】「ブルーベリーがけアイス」に続いて「黒蜜がけアイス」も販売終了になったとの情報が、E217さんから読者のコメント欄にありました。実に残念です。
そして、もう1つが「カレーライス」だ。
750円で、サロンでも座席でも食べられる。使い捨て容器になったのは残念だが、軽食としてはそこそこイケる。
《その7》グリーン車サービス
グリーン車には、飲み物の無料サービスがある。
乗車してすぐ、客室乗務員が来て、無料の飲み物の注文を取りに来る。ウーロン茶やオレンジジュースなど5種類か選べるのが有難い。
私は毎回、ホットコーヒーを注文する。グリーン車マークのカップは、カッコ良い。
グランクラスでは、飲み物無料だが、グリーン車で飲み物が無料で出てくるのは、「スーパービュー踊り子」くらいだ。
お絞りも配布される。結構厚いおしぼりだ。
《その8》販売以外にも、積極的な接客
「スーパービュー踊り子」が様々な魅力を支えているのは、車両の豪華さに加えて、客室乗務員(販売員)が大勢乗務している点だ。
多くのスタッフが載っているから、様々なサービスができる。乗車する5か所に客室乗務員が扉の前に立って、指定席特急券を確認する。このことで、乗車してからの指定席特急券の確認を省略することができる。
そうすると、「スーパービュー踊り子」では、客室乗務員の位置づけが、異なっていることになる。
「はやぶさ」「とき」等の新幹線、「あずさ」「ひたち」等の在来線特急は、品物を売る「車内販売」をするのが役割だが、「スーパービュー踊り子」では特急券の確認など車掌業務の一部も担当しているわけだ。
だから、こんな光景を目にした。
東京駅11時発の「スーパービュー踊り子」に乗るために、ベテラン客室乗務員が。ホームで待っていた。東京駅のホームは、他にも185系「踊り子」や「マリンエクスプレス踊り子」等の様々な列車が発車するため、乗車位置の表示が分かりにくい状態だった。そりゃそうだ、「スーパービュー踊り子」に乗ろうとした客が「踊り子」の乗車位置を見たら「ここかな」と思っても無理はない。
そんな時に、ベテラン客室乗務員は、「踊り子」の乗車位置に立っていた老夫婦に声をかけ、正しい乗車意を案内した。全車指定席だから、乗車位置が違っても、座れないなんてことは無い。でも客にとっては親切な案内だ。
車内販売をする係員が、乗客の指定券確認や案内もするのは、JR九州の客室乗務員と同じだ。
JR九州の観光列車の客室乗務員は、アルバイトではなく社員(契約社員含む)だから、より広い範囲の仕事ができる。
上の写真は「海幸山幸」が宮崎に到着した様子。客室乗務員は、乗務終了後に「きりしま」に乗って南宮崎に移動したが、その時もホームで「自由席はこちらでございます」などと案内していた。
JR東日本は10両編成など長い列車が多く、販売員は車内販売だけに専念できる体制になっている面がある。でも、乗客の並ぶ場所を案内する光景は、新鮮に感じられたわけだ。