客をよく観る【22】 | 車内販売でございます。

車内販売でございます。

車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 わたしは車内販売の情報を手に入れるために、ヒマな時に「車内販売」と打ち込んでヤフー検索、グーグル検索をすることがある。

 今月初めにも、銚子電鉄で高校生が車内販売を行ったとの情報が入ったが、これは検索してして知ることができたものだ。


 今回も検索していたら、凄い車内販売員さんの話が見つかった。引用して紹介する。


出張でとある場所へ赴くための電車の中、その日も満席で、車内はザワザワとしておりました。最近は外国の方も多く、様々な言語が飛び交っていました。

手前は、そんな電車に電話をしながらバタバタと乗り込み、朝から水もろくに口にしていなかったので、PCに向かいつつも、車内販売こないかなぁとソワソワしておりました。

と、ちょっと油断した隙に手前の一つ後ろの席の外国人が声をかけ、手前の席を通過してしまいました。
手前は、急いで声をかけようと小銭入れを出したものの、その後も周辺からドンドン声がかかり、売り子さんは「少々お待ちください。一人づつ順番にお願いします。」と大変そうです。
それを待つのも面倒なので、小銭入れを一旦机に置き、半分諦めつつ、またPCに向かうことにしました。もしかしたら買い逃すかもしれませんが、それはそれで、まぁしょうがないと思っていました。

すると、どうでしょう、一通り販売が終わった後にカートを手前のところまで戻してくれるじゃないですか!!
「何にいたしますか?」

手前は驚き、聞いてみます。
「なんで気付かれたんですか?後ろに目でもついているんですか?」

すると、ニコニコしながら、けして奢らず、控えめな声で、教えてくれました。
小銭の音がしたもので。」

ookamiさんのブログ「証券マンのパパ日記」より
http://ameblo.jp/mojipapa/entry-11953266090.html




 直接視野に入っていない後方の客がたてた小銭の音を、販売員が気づいたという話だ。それも、ざわついた車内で、次の客が待っていて急いで接客している状態でというのだから、驚きだ。

 私も経験があるのだが、後ろの客が大きな声で呼びかけると、前の客は飛ばされることがある。

 たとえば、販売員が1両の先頭から車内販売を始めて5列目まで進んだ段階で、9列目の客が手を挙げて「ビールください」と言うと、7列目の私の前をダッシュで通過してしまったことがある。

 離れた客から「ください!」と言われて、そこに着くまで、「前の方の客が買うかもしれない」とペースを変えないで進むと前の客にとっては良いのかもしれない。しかし、のんびりしてやる気のない販売員と思われかねない。難しいところだ。


 ところで、ザワザワした車内で、小銭の音が気づくのだろうか。考えられる3つの場合を考える。

【1】実はチラッと後方を見ていた

 車内販売員は、後ろから来る客を通すために、頻繁にチラッと後ろを見る習慣がある。トイレから戻る客などが通路の後方から歩いて来たら、通す必要があるからだ。

 また、品物をワゴンから取って渡す時などに体の向きを少し変えるので、この時、「あの客はこちらを見てるな」と販売員が感じることもあるだろう。

 チラッとお客の視線を感じたけど、音も聞こえたというのなら、「お客様がこちらを見ていたので」「小銭の音がしたもので」のどちらでもウソではない。このうちの一方を答えたのかもしれない。


【2】席の横を通過するときに気にしていた客だった。

 後ろの席の外国人の横に急いだ時に、「前の客が呼び止めようとしたかもしれない」と頭に入っているかもしれない。気になっていた席の客だから、小さい小銭の音がしたら、何か買いたいのだなと感じるのだろう。

 私もそうだが、通り過ぎた販売員を戻すのは面倒だから、買うのをやめることも多い。

 だから、「前の席の客は、何か買いたかったのかも」という気持ちが頭にあれば、小銭の音にも反応できるのだろう。


【3】本当に小銭の音で気づいた

 ザワザワしていても、硬貨のぶつかる音は区別しやすい。金属音は、話し声とは違う音色なのだ。

 後の方でお金の音が聞こえたら、買いたいのかなと想像つく。パソコンで作業している人の席から小銭の音が聞こえたら、コーヒーか何か買おうとしているのかなと推測ができる。

 ただ今回は満席の状態であるから、どの席から小銭の音がしたか判断できたというのは、凄いとしか言いようがない。


 実際は、3つのどれか分からない。仮に私の目の前で「小銭の音がしたもので」と言われても、分かりにくいと思う。

 いずれにしろ、この販売員の方は、周りの様子を実によく観察して判断しているのは間違いない。

 忙しく接客をして大変な状況なのに、通り過ぎた席の客からの小さい音を聞き逃さない。素晴らしい技術であり、素晴らしい姿勢だと思う。



 このブログ「証券マンのパパ日記」では、こう続けている。


上記の売り子の方は、おそらく大企業に就職したての1年生よりも給与は少ないことでしょう。しかし、手前は彼女の仕事にプロフェッショナルさを感じました。お茶代金150円の倍を支払っても彼女から買いたいと思ったくらいです。


 私も同感だ。一部、問題のある販売員もいるが、多くの人は頑張っている。だから、特急列車の車内販売で、ホットコーヒー300円は、正直言って高いけど飲みたくなるである。