特急列車の車内販売で利用されるワゴン。商品の配置は大まかには決まっている。
缶ビールやコーラなどの冷たい飲み物は、重いから一番下段が適切だ。熱い珈琲のポットは、上の方の安定した場所に置くと決まっている。
しかし、それ以上の細かい並べ方は、販売員の判断で決められる。
たとえば・・・・
(1)客層に合わせる
→→夏休み中で家族連れが多い日なら、お菓子を目立つところに置くと良い。
(2)時間帯に合わせる
→→午後8時過ぎなら酒を買う客が多い。下段のビールは客に見えなくても、ワゴンのあると想像つくが、「カマボコ」「柿ピーナッツ」などのおつまみは、見やすいところに並べると良い
(3)行程に合わせる
→→あと20分で終着駅という時に、弁当を買う人はまずいない。東北新幹線の東京行で大宮を発車してからワゴン販売をするなら、お土産品を目立つところに置くと良い。
(4)気候に合わせる
→→暑い日なら、アイスクリームの保冷ボックスを目立つ上部に置くと目だって客にアピールしやすい。
更に、凄腕の販売員は、特別な技を使う人が目立つ。
次の写真は、成田エクスプレスのワゴンだ。3段ワゴンで左右から撮らせてもらった。
このワゴンは、工夫が凝らされた配置なのだが、どんな点かお気づきだろうか。
品物そのものは、普通の品なのだが、置き方が絶妙なのである。
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乗客は、ワゴンが来ても、座ったまま販売員と話して注文する。立ってワゴンを見る人はまずいない。
ワゴンの最も高い場所は、座った乗客の目と同じか少し高いくらいだ。すると、座った乗客は、ワゴンの手前しか見えないのである。
そこで凄腕販売員は、売れ筋の商品を、ワゴンの左からも右からも見えるように左右に2個置くのである。
写真を見て欲しい。上段には、左右のどちらにも「ボールペン」「ホタテ貝柱」がある。二段目は、完全に左右対称に品物が置かれている。
これは下の方の飲み物でも同様で、飲み物なら同じお茶2本なら隣に2本置きたくなるものだが、左に1本、右に1本置くと、左右どちらの客からも見えやすい。左右どちらからも緑色のお茶が見える置き方になっている。
このように左右に分けて配置するのは、手間がかかる。売れなかった時も戻すのが面倒だ。
しかし、何が載っているかできるかぎり見せるのは大切なことだと思う。私のような必ず利用するマニアなら問題ないが、「サンドイッチのような軽食があれば欲しいな、でもなさそうだな。声かけて買わないのは気が引けるな・・・」なんて感じる客もいそうだ。
腕の良い販売員が、必ず左右対称に並べているわけではない。しかし、左右対称に並べている販売員は、努力を重ねる熱心な販売員とは言えそうだ。