24秒のコーヒー【20】 | 車内販売でございます。

車内販売でございます。

車内販売を15年半で11000回を利用してきた「車内販売大好きな乗客」が書くブログです。 多数の観光列車に乗り鉄しています。

 私は先週、車内販売を利用しに軽井沢に行った。その際に長野新幹線「あさま」に乗った。

 車内販売のワゴンが来て、定番のホットコーヒーを頼むことにした。小さいカップで310円だとやや高く感じるので、400円のコーヒーセットにした。マーブルパウンドケーキがついて400円なら、ホットコーヒーが250円くらいに感じて、気分的にもハッピーになる。


 今回の「あさま」の販売員は、非常に手際が良くて驚いた。無駄な動きがなく、すごくスムーズだった。今まで多くの販売員を見てきたが、手際の良さでは1番だった。

 この時のやりとりを再現する。

 東京発の「あさま563号」の自由席に乗っていたが、熊谷を通過するころに、前から車内販売のワゴンがやってきた。私は2人掛けの窓際E席で、隣は空席だ。座席のテーブルは、すぐ置けるように既に準備してある。

 軽く手を挙げて販売員を止めた。「ホットコーヒーのセット400円はありますか?」と尋ねた。この「ホットコーヒーのセット400円はありますか?」と言い終わった時点から、時間と動きをまとめることにする。ストップウォッチで計ったわけではないが、時間の経過は鮮明に覚えている。


【1秒経過】販売員のお姉さんが、セットのケーキを私のテーブルに置く。

置きながら「これでよろしいですか」と一言。私は「はい」と返事。

1秒でケーキがテーブルに置けるなんて早すぎる。「コーヒーセットあり」くらいまで聞いた時点で片手がケーキに伸びていたのに違いない。


【4秒経過】「ミルクとお砂糖は1つずつでよろしいですか」と言う。

私は「はい1個ずつで」と答える。私が答える前から、片手はワゴンの箱に伸びてミルクと砂糖をつかんでいたようだ。視線は客である私の方だが、手はミルクと砂糖の方だ。


【6秒経過】テーブルの上に、砂糖・ミルク・マドラーが置かれる。置きながら、私の手にSuicaがあるのを見て「Suicaのご利用ですね」と言う。


【9秒経過】バーコードを読み取る端末を私の前に差出し、「こちらにタッチお願いします」と案内。片手で端末を持ち、片手でタッチする場所を指さした。タッチする場所が、先端の方なのか画面なのか分かりにしくいので、実に適切だ。


【11秒経過】ピピッと音がして、Suicaの読み取りが完了した。

この時には、すでに片手がカップを抜き取る動作に入っていた。実に無駄のない動きだ。


【14秒経過】ホットコーヒーをカップに注ぎ始める。

ポットを3~4回押してコーヒーを注ぐ販売員が多いが、この方は2回押しだった。コーヒー用紙のコップには、注ぐ量の目安となるしるしが紙コップの内側についているが、2回押しでもちょうど良い分量だった。手慣れていることがわかる。


【18秒経過】ホットコーヒーにフタをした。慌てるとフタが閉まらないこともあるが、パッとフタができた。


【20秒経過】私のテーブルに、ホットコーヒーが置かれた。

置く時に「熱いのでお気を付けください」と一言添えてくれた。


【22秒経過】レシートを切り取って手渡してくれた。

すでに金額や品名が印字されてたレシートが、機械から出されていた。このレシートを渡してくれた。


【24秒経過】「ありがとうございました」とお辞儀が完了。

これでコーヒーセットの販売が終了した。この間、24秒。


★★★★★★★★★★★★★★★

 24秒というのは、非常に手際が良いと思う。もしレシートなし、お辞儀なし、ケーキなしなら、20秒で終了したと思われる。

 ちなみに、今回は客の協力(?)があった点も短縮するのに役立ったと言える。それは「前もってテーブルを出してあった」「Suicaを提示していた」の2点だ。そして「コーヒーセット400円」と表現したので、「慣れた客だな」「珈琲の大きさはレギュラーサイズだな」と伝わったこともあったと思う。

 凄い技を持った販売員がいたら、その凄い技を目に焼き付けるつもりで見ていた。特にホットコーヒーは、技術に差が出るので集中してみている。だから、ストップウォッチで測定したわけではないが、24秒はかなり正確だと思う。せいぜい2秒以内の誤差だろう。

 もちろん、短時間なら全面的に良いというわけではない。たとえば「笑顔が大事」とか「丁寧さがより重要」と考える人もいるだろう。「丁寧さ」というのは、砂糖やミルクを置く位置や向きに気を遣ったり、紙コップのラベルを客の方に向けて気持ちを表したりする販売員もいる。(直接尋ねたわけではないが)

 ただ、今回は短時間なのに、急いで雑な仕事をしているとは全く感じなかった。技を持った販売員が、無駄な動きを排除した結果、24秒になったのだと思う。