東京駅・上野駅では、到着した普通列車は、車内整備をしてから、折り返して発車する。グリーン車では、空き缶などのゴミを片付け、座席を進行方向に向きを変えてから、乗客は乗車することになる。
ある日、私は車内清掃が終わり、車内に入り座席に座った。発車する時刻になっても、なかなか発車しない。
5分ほど経ったところで、放送があった。
「人身事故のため、この列車は発車を見合わせます。運転再開までしばらくかかる見通しです。各会社線に振り替え輸送を行っています。」
多くの客は、振り替え輸送を利用するために、降りて行った。私はこの日は急いでいなかったので、乗ったままでいた。10分経った時点で「今のうち食事をしておこう」と考え直して降りることにした。
席の上にある青ランプにスイカをタッチして上着を着ていると、準備室からアテンダントさんが出てきて、こちらに向かってきた。
「お客様、グリーン車をご利用にならないのでしたら、払い戻しのために不使用証明を出します」と声をかけてくれた。
一度タッチしたのだから、1駅も乗車しなくても乗車したと扱われる。そのため不使用証明を出すと案内してくれるのだから、非常に親切な対応だ。用事に間に合うことを第一に考えて、払い戻しのことを考える余裕はない客が多いと思われるからだ。
この時、私はグリーン定期券を利用していたので、払い戻しの対象外だったが、しっかりした対応に感心した。
このアテンダントさんは、実は一生懸命とは言い難い仕事っぷりだ。大きな駅に着いても、出迎え・見送りはしない。車内の巡回はするが、車内販売のカゴを持って回ることが比較的少ない。
普段は「省エネ」で仕事をしていても、必要なことはしっかりする、こんな仕事の仕方があっても良いと思う。