小説「鬼はもとより」青山文平

 

徳間書店

 

直木賞候補作。大藪春彦賞受賞作。

江戸時代、貧乏藩を藩札を使って建て直す話なのですが、

それは物語の筋の話で、本筋は「武士とは何か」だと思いました。

つぶれかけの藩を紙っぺらで再建するなんて人間離れした技、

それを成しうるためには「鬼」になるしかなく、

常人離れした人間が鬼になることはできるが、

一度、鬼になってしまったら人間には戻れない、

そんなお話しだったのかなと推察しました。

それを誇大表現することなく静謐な筆致で描いたからこそ、

多くの評価につながったのだろうと思いました。

 

クローバー85点