小説「未明の砦」太田愛
角川書店
大藪春彦賞受賞作。
ものすごく分厚くて600ページを超える長編ですが、
書店でかなりPUSHされていたので買ってみました。
テロ容疑者4人を警察が逮捕しようとするが逃げられてしまう
というシーンから始まり、その後、いろんな人物の視点で進んでいくので、
こういう展開って、映像があるテレビドラマではある手法だが、
小説ではあまり伝わりづらいなと思って読んでいたら、
著者は人気ドラマ「相棒」等の脚本家とのこと。
なるほどとすごく納得しました。
登場人物たちがいずれも、あの役者に演じさせたい等と想像するのも楽しく、
かなりの長編ながら、久しぶりに電車を乗り過ごす程に夢中で読みました。
私もそこそこのブルーカラーの仕事をしているので、
主人公4人の境遇は痛いほどわかり、物語を並走している気持ちになり、
いっしょにプラカードを持ちたいと強く思いました。
途中からひとり、違和感のある人が出てくるのですが、
なぜこの人がストーリーに必要なのか全然わかりませんでしたが、
なんとその人が実に見事なラストシーンを飾ってくれました。
この作品にとって、これ以上のラストシーンはあり得ないほどで、
通勤電車の中で泣きながら拍手を送りたくなりました。
すぐに著者の過去作を買おうと書店を回りましたが、
どこも本作しか置いておらず、角川なにしてんねん!
と、感動で高揚した心が怒りに変わりました…。
週末に都心へ行って大型書店で揃えたいと思います。
映像化の際はぜひ著者本人に手掛けてほしいものです。
95点