小説「未明の砦」太田愛

 

角川書店

 

大藪春彦賞受賞作。

ものすごく分厚くて600ページを超える長編ですが、

書店でかなりPUSHされていたので買ってみました。

テロ容疑者4人を警察が逮捕しようとするが逃げられてしまう

というシーンから始まり、その後、いろんな人物の視点で進んでいくので、

こういう展開って、映像があるテレビドラマではある手法だが、

小説ではあまり伝わりづらいなと思って読んでいたら、

著者は人気ドラマ「相棒」等の脚本家とのこと。

なるほどとすごく納得しました。

登場人物たちがいずれも、あの役者に演じさせたい等と想像するのも楽しく、

かなりの長編ながら、久しぶりに電車を乗り過ごす程に夢中で読みました。

私もそこそこのブルーカラーの仕事をしているので、

主人公4人の境遇は痛いほどわかり、物語を並走している気持ちになり、

いっしょにプラカードを持ちたいと強く思いました。

途中からひとり、違和感のある人が出てくるのですが、

なぜこの人がストーリーに必要なのか全然わかりませんでしたが、

なんとその人が実に見事なラストシーンを飾ってくれました。

この作品にとって、これ以上のラストシーンはあり得ないほどで、

通勤電車の中で泣きながら拍手を送りたくなりました。

すぐに著者の過去作を買おうと書店を回りましたが、

どこも本作しか置いておらず、角川なにしてんねん!

と、感動で高揚した心が怒りに変わりました…。
週末に都心へ行って大型書店で揃えたいと思います。

映像化の際はぜひ著者本人に手掛けてほしいものです。

 

クローバー95点

映画「はたらく細胞」

 

監督:武内英樹 脚本:徳永友一

出演:永野芽郁、佐藤健、芦田愛菜、阿部サダヲ、Fukase、

   山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、加藤諒、

   板垣李光人、加藤清史郎、深田恭子、塚本高史ほか

 

テレビ放映

 

人間の体内の細胞が擬人化されたマンガ原作の実写映画化。

勉強になったし、おもしろく見れました。

テレビで見る映画として最適ですね。

 

犬60点

 

 

 

小説「やっと訪れた春に」青山文平

 

祥伝社

 

好きな作家・青山文平最新文庫。

なかなかにストーリーを書くのが難しい本ですが、

いつものように丁寧な人物描写と見事な時代ミステリーに仕上がっていて、

もはや名人芸の域に達していると思わされます。

ラストに驚きの謎解きがされますが、

タイトルとの対比に心が締め付けられます。

いやはや一作でも多くの作品を残してほしい作家ですね。

 

クローバー90点

 

小説「対決」月村了衛

 

光文社

 

月村作品にしては珍しく女性がメインの小説。

医学部の入試で女子学生は男子学生より点数が低く付けられる、

という社会的にも大きなニュースになった事件がありましたが、

それをモチーフにした作品。

医学部希望の受験生の娘を持つ女性新聞記者と、

不正を行っている大学の女性理事との対決を描き、

入試の男性優遇問題だけでなく、社会にはびこる様々な問題に、

男性作家が女性を主人公にして取り組んだ意欲作。

NHKBSでドラマ化されたそうで、キャスティングがピッタリでした。

 

クローバー70点