小説「滅びの前のシャングリラ」凪良ゆう

 

中央公論新社

 

本屋大賞7位、キノベス1位の話題作。

地球に向かって小惑星が衝突することが政府発表され、

残された日々をどう生きるかという近未来SF小説。

という大風呂敷の設定なのですが、

そこは凪良ゆう。うまく自分の世界に手繰り寄せてます。

広島に住む高校生たちが好きなアーティストのライブに行くために

東京をめざすというロードムービー形式にはじまり、

その家族模様でほっこりさせながら、

世紀末を目前に控えた町では人々が殺人暴力略奪を繰り返している。

いわゆる「どうやって最期を迎えるか」という命題なのですが、

ありがちなお説教臭さはどこにもなく、

キャラがたった人たちの行動がスッと心に入ってきます。

結末が結末なので、別に大団円を期待していたわけでもありませんが、

もうちょっとラストにひと盛り上がりほしかったですね。

 

クローバー75点