小説「正欲」朝井リョウ
新潮社
映画公開も迫っている話題作。
本作ほど端的に説明するのが難しい本もないですよね。
いわゆる、社会的マイノリティの人たちを描いた物語ですが、
私もそうですからね。
50半ばの独身男ですので、「オカマかカタワかどっちなんだ」
とシラフの上司に言われたことをはじめ、
そんな目にあったことは数え切れません。
でも、一番困るのは、GAYの人に近寄って来られたり、
作中にも登場しますが、「私だけは理解してますよ」という
したり顔の人(なぜか100%女性)には、腹立ちがおさまりません。
そんなことはもう慣れっこなので、作中に出てくる人物たちの「諦念」の
描写は本当に実体験として理解できます。
本作をフィクションではなく、ノンフィクションとして書いた意味は、
書いた人以上に、読んだ人が考えるべきことかと思います。
70点