小説「風の歌を聴け」村上春樹
講談社
早熟な少年だった私は、中学からATGにどっぷりハマり、
「風の歌を聴け」は、なんと映画を先に見たのです。
まだ単行本しか出ていない中、映画化され、
大森一樹監督の「ヒポクラテスたち」が大好きだった私は、
その監督の新作ということで見ました。
それが映画デビューの小林薫のファンになり、
しばらくして文庫化されたので買いました。
初読の時の衝撃はいまだに覚えています。
映画は映画で良かったのですが(今でもDVD持ってます)、
原作は映画とはまったく別モノで、
村上春樹の文章のリズムが体中に駆け巡りました。
その後はむさぼるように何度も読み返し、
歌の歌詞を覚えるように、文章の一節を暗記していたものです。
世界的作家になった今、なぜ芥川賞や直木賞を受賞していないのか、
といったことが取り沙汰されますが、
そんなもの取らなくて本当に良かったと心から思えるのは、
本作がデビュー作であるからだろうと強く思います。
100点
