大周天と小周天
気功の中に周天法というのがあります。
周天とは気を回すことを言います。
周天法には、大周天と小周天とがあると言われています。
しかし、その中の大周天については、それがどういったものを指しているのかは定かではありません。
体幹部で気を回すものを小周天とし、体全体で回すものを大周天と理解している人もいます。
しかし、それは余りにも規模が小さいように思います。
この大周天・小周天という時の大と小は、大宇宙・小宇宙という時くらいの違いがあってもいいのではないかと思います。即ち、小周天を自分の体の中で気を回すこととすれば、大周天は宇宙的な規模での気の循環を体感することとだと把えているのです。
とにかく、体全体で気を回す周天は、大周天と呼ぶより体周天と呼ぶくらいにしておけばよいと考えているのです。
小周天
小周天は、尾骨先端の長強というツボあたりから督脈上(後側の正中)を上げ、百会から印堂を経て、上あごの歯茎の裏側まで回し、そこに舌の先をそっと触れて、舌を架け橋にして舌の根元まで気を降ろし、そこから任脈上(前側の正中)を会陰まで降ろし、会陰から長強に運んで、そこから再び上げてゆき、これを繰り返すとされています。
そこで問題になるのが、気の感覚はどう動くのか、動かすのかという問題です。
気の感覚は体形に沿って動くものなのか、そういう風に動かさねばならないのかということです。
僕の感覚を言いますと、気のボールの半分は体の外を、半分は体の中を動きます。
半分というのは、きっちりと半分という意味ではなく、体の外の気の感覚と、体の中の気の感覚が一つになって気のボールを作り、それが動くという意味です。
それは何を意味しているのかというと、気は体形に沿って動くのではなく、体の皮膚を自由に通り抜けて動くということなのです。
僕が小周天を学んだ時、気は体形に沿って動かすものだと思っていました。
初めの頃は上げるのは上げられても、降ろす時、特に印堂あたりから天突にかけての感覚がつかめずにいました。
かなりの時間がかかって、その小周天も体感としてつかめるようになってきたのです。
そして、それから何年も経って、気の感覚は皮膚だけの感覚ではなく、体内感覚も同時に実感できるようになり、そういう感覚で練功していきますと、体形に沿って
気を動かさなくても小周天が出来ることがわかったのです。
先ほど述べた印堂から天突への感覚は、皮膚を通り抜けて降りていくのです。
つまり、気は体形に沿って動くのではなく、ちょうど競技場のトラックのように楕円形に素直に動くのです。
ノーベル賞の小柴さんの研究で有名になったニュートリノという物質は、物質であるにもかかわらず、宇宙空間から地球に届いたとしても、地球を通り抜けていくのだそうです。
勿論のことですが、私たちの体の中も通り抜けていくのです。
そういう物質があるということなのですから、気の感覚にしても、額から鼻、口、首、胸と気を降ろす時に、体形を無視し、体の中も外も同じように、まさに、皮膚を通り抜けて降ろしていく、降りていく感覚を実感することは、何の不思議でもないことなのです。
胴体周天の練功
気の力を強くする呼吸法として小周天をお奨めする訳ですが、その際に、このトラック状に気を動かす練功の方が、気の感覚が早く身につくように思います。
その小周天に入る前に、まず胴体周天をマスターして下さい。
胴体周天は小周天から頭部を取り除いた胴体のみで行なう周天法です。
① 椅子の上か座布団にラクに坐って下さい。
②まず、下丹田に気を沈めます。
③その気を会陰から肛門、尾骨と動かし、息を吸い上げるように、後ろ側で大椎まで引き上げます。
④その気を天突あたりに運んでから、前側で恥骨から会陰あたりまで吐き降ろします。
⑤そして、再び、肛門から尾骨と回してから、吸い上げていき、それを繰り返すのです。
ちょっとしたアドバイスですが、大椎まで吸い上げた気を天突に回す時は、吸い上げた惰性で動いているようにして下さい。
同じように、恥骨から会陰まで吐き降ろした気を尾骨まで回す時も、吐き降ろした惰性で動かすようにしてみて下さい。
また、息を吐き降ろす時ですが、下腹の中に空気を吐き降ろすように、少し圧を加えるようにしてみて下さい。
そういう呼吸をしていると、息を吐き降ろしていく時に、少しずつ下丹田の中が温かくなっていくのがわかってきます。
それが気の力を強くしているという実感なのです。
小周天の練功
胴体周天は、呼吸がまだ浅い人にでも簡単に出来る練功です。
少し、呼吸が長くなってきた方は小周天法に移りましょう。
要領は胴体周天と同じです。
最初は、皮膚感覚で大椎まであげた気を、首の形にとらわれずにぼんのくぼから後頭部、頭頂部、額、印堂と回して下さい。
次に、印堂あたりまできた気を鼻の奥から口の中に入れ、あごの下から天突に降ろし、胸の中から下腹へと吐き降ろしていくのです。
あごや首の形にとらわれないで、真っすぐに降ろしていって下さい。
関元、恥骨と降ろしてきた気を会陰、肛門から尾骨へと回し、再び吸い上げていき、これを繰り返しましょう。
30回、50回と回してみて下さい。
胴体周天の時は、体形には無理がありませんので、皮膚感覚と体内感覚を合わせて、楕円形に回せばいいと思います。