【釈 正輪 メルマガ 2月6日号】日々是好日 | 自灯明寺

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【豊かってなに?】

 「生きる」ことを、大海を漂う丸太を求めて泳ぐことに例えるなら、私たちが目指している浮遊物の代表は、「お金」ではないでしょうか。

 先進国では、子育てに多額の出資をする傾向があります。小さい頃から良い教育を受けさせることが、将来高い地位に就いて、経済的に豊かになることにつながり、それこそが子どもの「幸せ」だと考えての投資でしょう。

 では、本当にお金が増えれば幸福感も増えるのでしょうか。日本のGDP(国内総生産)は、1918年を基準とすると、それからの五十年間で実に六倍に増えました。
ところが、驚くべきことに、その間の生活満足度は、ほとんど変わっていないのです。

 物質的に豊かになっても、幸福感が増えない現象は世界中で確認されていて、発見者にちなんで「イースターリンのパラドックス」と呼ばれています。世界各国のGDPと幸福感の関係を調べると、貧困国ではGDPが増えるのにつれて幸福感も増加しますが、ある程度の経済水準に達すると頭打ちになり、GDPが上昇しても、幸福感には影響しなくなってしまうのです。

 ここから、生きていくのに必要なお金さえないのは不幸ですが、必要以上に金銭があったところで、幸福にはなれないということがわかります。

 なぜ経済的に豊かになっても、幸福感は増えないのでしょうか。その原因を探求することによって、私たちが求めている幸福の本性が明らかになります。
欲しいものを手に入れても、「やった」という一時の達成感があるだけで、すぐ色あせてしまう最大の理由は、「慣れ」です。荒波に揉まれ苦しんでいた人が、やっとのことで丸太に泳ぎつけば、「やれやれ」と思うでしょう。しかし、すぐにそれが当たり前になって、もっと大きな丸太が欲しくなります。

 人間の脳は、望んでいたものを獲得してもすぐ飽きてしまうのです。そして、もっと良さそうに見える別のものを追いかけ始めます。これが、「快楽順応」と呼ばれる現象です。最初は新鮮だった快楽も、すぐ慣れて何も感じなくなります。すると今度は、もっと快い刺激が与えられないと反応しなくなってしまうのです。

 どんなに豪華な生活をしていても、時間が経つと、それが当たり前になり、喜べなくなります。人間の欲には限界がないからです。

 スピルバーグ監督の映画『ジュラシック・パーク』(1993年)では、CGの恐竜がまるで生きているように動いて観客を驚かせました。これを可能にしたのが、シリコングラフィックス社が開発した、映像処理コンピューターです。このコンピューターが、その後も映画館で広く使われ、今や映画にCGは不可欠となりました。
そのシリコングラフィックス社を設立し、世界有数の金持ちになったのが、企業家ジム・クラークです。クラークは会社を作る前は、スタンフォード大学の準教授でした。準教授の時は、「もしも一億ドルを手に入れたら、生涯満足して暮らせるだろう」と友人に語っていたそうです。ところが、大学を辞めてビジネスで大成功し、この目標に手が届いてしまうと、今度は十億ドルに目標を変更しました。数十億ドルを手にした後も、クラークの働く熱意は衰えませんでした。一億ドルを手に入れてもまだ足りない。十億ドルでもまだまだ。世界一になっても、欲望は飽くことを知らないでしょう。

 心理学者のマイケル・ノートンは順位資産が百万ドルを超える二万人以上を対象に、「100%幸せになるためにいくら必要か」と尋ねました。ほぼ全員が、今の二倍か三倍は必要だと答えたそうです。お金という丸太は、どんなに大きなものを手に入れても、「この倍は欲しい」と、果てしなく求め続けなければなりません。

 2015年のクレディ・スイス銀行のレポートによって、世界人口の1%にあたる富裕層が、世界の富の50%を独占していることがわかりました。貧富の格差は広がる一方です。

 一億円の資産を、5%の利回りで運用すれば、年間五百万円の利益があります。十億円なら五千万円。その利益を全て投資に回せば、十四年ほどで資産は倍になります。一生の間に使い切れないほどのお金を所有しても、なお上を目指すのが人間です。丸太を追いかけるゲームに、満足というゴールはありません。

 人生の目的を知り、達成してこそ、一日一日が、「人間に生まれて良かった」という大満足に輝くのです。
 
                 合掌

 災禍で苦しむ人々を垣間見て、つくづく思うのは、平素の何気ない生活は決して当たり前ではないということです。当たり前だと思い込んでいた生活は、一瞬にして崩れる去る脆い砂上の楼閣なのです。日々の当たり前の生活は奇跡の連続なのです。それなのに人間は、あれが嫌だこれが嫌だ。あれも欲しいこれも欲しいと、不平不満の連呼です。しかしその奇跡は一瞬にして終わるのです。すべての財産はおろか、大切な命さえ一瞬にして無くなるのです。

 「何故人は生きなければならないのですか?」と聞かれます。
わたしはこのように答えます。
「生かされているから生きる。命があるだけでこの世は丸儲け」だと。

            釈 正輪 拜




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