ヤブツバキ・ユキツバキの移行地域
「トンネルを越えると雪国だった」
自然は雪国にユキツバキを配置してくれた。
雪国植物ユキツバキ。
分布を決めるのは雪。
少雪では分布しない。
積雪150㌢以上の多雪地域。
雨量でいえば12月・1月の降水量が200㍉以上。
この時期の雨は雪となる。
そして根雪期間が3カ月以上。
ユキツバキは3カ月以上雪にカバーされて保護され厳寒の冬をすごすことになる。
ユキツバキの主要分布域は新潟県。
ユキツバキの生育に必要な、
積雪量と根雪期間をみたしているからである。
ユキツバキ祭で有名なのは新潟県加茂市の青梅神社境内のユキツバキも
北斜面の消雪の遅い地形のところだけと分布は限られている。
ユキツバキは大佐渡山地には分布せず、
小佐渡の東部産地に限られている。
すなはち大地山(645㍍)周辺より、
東側の国見山(629㍍)、
大隅山(619㍍)に至る山地の国仲斜面である。
「佐渡でも小佐渡東部山地は多雪地域、
ユキツバキの分布も多雪分布と密接な関係がある。
事実、
佐渡でも少雪の年は、
この地域のユキツバキは冬の寒風害をうけ枯死している」
と、
ユキツバキの研究者の新潟大学理学部の石沢進助教授は解説する。
小佐渡のユキツバキ分布地域のほとんどは新穂村。
「新穂村のユキツバキ林」
は、
新潟県指定の
「新潟のすぐれた植物群落」(1983)
である。
新穂山中の村、
生椿(はえつばき=這椿)は海抜400㍍、
ユキツバキの群生する村である。
新穂村の平野部の正明寺(海抜50㍍)から、
清水平(トキ保護センターのあった所・360㍍)をへて生椿に至る山道沿いは、
平野のヤブツバキ(100㍍以下)から、
ヤブツバキとユキツバキの中間型(130-300㍍)をへて、
純粋なユキツバキ(300-400㍍)に群落が推移する
「清水平のツバキ(中間型よユキツバキ)群落」
と称される貴重群落地。
花期は、
5月の終わりから6月のはじめ。
ユキツバキとヤブツバキのちがい。
()内はヤブツバキ。
(1)花は水平に開く(盃状に開く)
(2)おしべの花糸は離れている
(3)葉柄に毛がある(全く無毛)
(4)葉脈は細脈明瞭(細脈不明瞭)
「佐渡 巨木と美林の島:伊藤邦男」
(1998)
引用させていただきました