●「ロシア・ウクライナ戦争」一つの解決法
ウクライナ・ゼレンスキー大統領が国家安全保障・国防会議のダニロフ書記を解任しました。同会議は安全保障や国防の政策の調整や立案を行う機関で,ダニロフ氏は5年前にゼレンスキー大統領から書記に任命され,ロシアによる軍事侵攻への対応にあたってきました。軍司令官の解任があったばかりなのに,何が起きているのでしょうか。継戦か停戦(休戦)か指導部の路線対立が深刻化している気がします。
今年実施される予定のウクライナ大統領選挙もどうなることやら。有力な対抗馬が何人もいるのでゼレンスキー大統領再選は容易ではなさそうです。また,ゼレンスキー大統領が戦争下であることを理由に実施を拒む可能性もあります。
どのみち11月のアメリカ大統領選挙の結果が出るまで,この戦争は大きな動きがないでしょう。
とはいえ,いつまでも戦争を続けられるわけがありません。
どこかで,何らかの方法で,まずは休戦となる。
だがしかし,ロシア,ウクライナ双方とも「成果」を勝ち取れなくては,国民の納得は得られません。それゆえ落としどころが難しい。
また,仲介に入れる国家は,中国・インド以外に見当たらないのですが,ロシア,ウクライナ(米国)双方ともすんなり応じる見込みがありません。
そこで2つの解決法を提案します。
もちろんシロウトが考えトンデモナイ発想です。
眉に唾をたっぷりとつけて(死語?)お読みください。
●解決法1 両者が得をしない
(A)ロシア・ウクライナの一方が得をして他方が損をする→
これは×。
(B)ロシア・ウクライナの双方が得をする→
これはありえない。
ならば残るのは
(C)ロシア・ウクライナの双方が損をする→
これしかありえないでしょう。
どなたか(D)を思いついたら教えてください。
ロシアにもウクライナにも,
そして世界のすべての国に
21世紀のいまどき戦争なんかやらかしたら損をするだけだよ
ということを肝に銘じてもらう。そんな幕引きにしませんか。
それでは具体的にどうするのか?
●解決法2 国連の出番です。
やはりここは「国際連合United Nations」に出張ってもらうしかないでしょう。
(a)現在の係争地域すべてを国連の管轄下に置く。
クリミア半島からドンバス地域一帯を国連が暫定的に行政を管理します。ロシア・ウクライナ両軍を撤退させて,ロシア,ウクライナ双方の主権は排除されます。
つまりロシアもウクライナも「得をしない」のです。
「そんなことができるのか」
そうです。できるんでしょうか?
できるかどうか,シロウトのトンデモナイ考えは,さらに進みます。
「国連のどの組織が担当するんだ」
そうです。安全保障理事会は役に立ちません。
五大国=常任理事国のすべてがこの措置に反対するでしょう。
新しい組織を立ち上げようとしても五大国=常任理事国のすべてが反対するでしょう。
八方ふさがり?
いやいや,それでも,できるかもしれません。
ここで発想の転換を。
「新しい酒を古い革袋に入れる」のです。
「新しい酒」とは,紛争係争地の国連管理。
「古い革袋」とは,信託統治理事会です。
信託統治理事会?
聞いた覚えがありますか?
れっきとした国連の正式な機関で,
中高の教科書にもその名は必ず載っています。
だがしかし,そこには必ずこの一文が添えられます。
「現在,作業を停止中である」
国連HPより――(赤字だけどうぞ)
国連加盟7カ国の施政下に置かれた11の信託統治地域の施政を国際的に監督し,かつ適切な措置を取ってこれらの地域が自治もしくは独立に向けた準備ができるようにすることを目的とした。この作業は49年間続いた。1994年の決議によって理事会はその手続き規則を改正し,毎年会合するとの義務をなくし,必要に応じて理事会を開催することにした。したがって,理事会は,理事会もしくは理事会議長の決定によって,または,理事会メンバーの多数もしくは総会および安全保障理事会の多数の要請によって理事会が開かれる。その後の1994年11月1日,国連の最後の信託統治地域であったパラオが独立したことを受けて,信託統治理事会はその作業を停止した。
―― 以上。
少し深掘り(読み飛ばしてください)
国連加盟7カ国→英,米,仏,オーストラリア,ベルギー,ニュージーランド(『国際連合大観』による。あと一国は不明)
11の信託統治地域→ニューギニア,西サモア,ルワンダ,ブルンジ,カメルーン,トーゴランド,トーゴランド,タンザニア,ナウル,北太平洋諸島(旧大日本帝国委任統治領)。*カメルーンとトーゴランドはそれぞれ2つの地域に分割されている。
(敗戦国である日独伊にかかわる地域が多い)
発足当初は上記施政国+安保理常任理事国のソ連,中国(中華民国)+総会選挙により選出されたイラク,アルゼンチン,ドミニカ,フィリピン計12か国が理事国になっています。
11の信託統治領から誕生した国ぐにです。
・カメルーン…現在はカメルーン共和国
・ソマリランド…現在はソマリア共和国
・タンガニーカ…現在はタンザニア連合共和国
・トーゴランド…現在はトーゴ共和国
・ルアンダ=ウルンディ…現在は北部がルワンダ共和国、南部がブルンジ共和国
・ナウル…現在はナウル共和国
・ニューギニア…現在はパプアニューギニア共和国
・西サモア…現在はサモア独立国
・太平洋諸島…現在はマーシャル諸島共和国、ミクロネシア連邦、西マリアナ諸島自治連邦区、パラオ共和国
施政国は,信託統治地域の立法,行政,司法の全権を掌握できます。
ボクが「ロシア・ウクライナ係争地域の信託統治」によって実現してほしいことを書きます。
(1)信託統治期間は30年とする。
*かなり長期ですが理由を口述します。
(2)地域内の非武装化,非軍事化を徹底する。
(3)ロシア語,ウクライナ語の双方を公用語として認める。
(4)教育におけるロシア語,ウクライナ語の機会均等。
(5)教育における「愛国(アンチロシア,アンチウクライナ)教育」の徹底排除。
(6)30年後に住民による投票で、ロシア・ウクライナいずれかに帰属するか、独立するか,信託統治領に留まるかを決定する。
ボクはロシア・ウクライナ戦争がどのような形で終わるにせよ,怖れていることがあります。それは〈戦後の教育〉です。
両国は間違いなく「愛国(アンチロシア,アンチウクライナ)教育」を徹底して推進するでしょう。
その教育に洗脳された子どもたちがやがて成人して社会を構成していけば,その社会はまた好戦的にならざるを得ません。
次世代による戦争を保証するようなものです。
それを阻止することもまた教育の力だとボクは信じます。
最大の例は,敗戦後の我がニッポンではないでしょうか。
平和教育が一貫して進められて,いまや米国への復讐,再戦を主張するような勢力はみられません(かなり歪んだ面があることは事実ですが)
ボクが注目するのは
先ほど挙げた旧信託統治領から独立したほとんどの国が
対外戦争をおこなっていないことです。
ルワンダやソマリアの内戦は別格ですが,こと太平洋諸国についてはあてはまる気がします。
おっと大切なことを書き忘れていました。
(7)信託統治にかかわる費用のすべては国連加盟国全体で負担
する。負担割合は国連分担金の拠出割合と等しくする。
戦争をしでかすと,世界の国すべてに負担がかかる。
しかも,国連分担金拠出割合が高い国=GDP上位国。
つまり安保理常任理事国=米英仏露中。
大国になればなるほど,世界で戦争が起こると自国に負担がかかるやり方です。なかなか効果的な抑止力になるのでは
もっとも
ボクが書いた期待は,信託統治理事会および施政国のこれまでの活動とはかなり異なった点があります。
ですから「新しい酒を古い革袋に入れる」と表現しました。
さらに言えば,現在活動休止中とはいえ,信託統治理事会は存続しており,理事国もいます。現在は5か国,すべて安保理常任理事国です。
「な~~んだ結局安保理のように何も決められないじゃないか」
しかし,安保理と違い拒否権は認められていません。
総会で新しい理事国を選出することは可能ですし,
総会の要請で理事会を開催することが可能です。
とまぁトンデモナイ発想です。
でも,ロシア・ウクライナ戦争を終わらせたいけれど,どうしたらいいか分からない―― そう思考停止しているよりも,
何かができないいかと考えてみる,考え続けることの方がよっぽどマシじゃないでしょうか。
ボクは今年教えた高校生たちに向けた授業通信に書きました。
分からなくても考える。
分からないから考える。
―― 最後までお読みくださってありがとうございます。
あなたの考えもぜひ教えてください。