『明日も元気に学校に来てください』~~応援している本三冊 | 紙風船

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中学校と高校で社会科を教えています(いました)。街探検や銭湯が大好き。ピクトグラムや珍しいものが好き。でも一番の生きがいは、子どもたちに「先生の授業、たのしい」と言ってもらえることです。

ボクはいわゆる「本の虫」,もしくは「活字中毒者」です。

本を読むのが好きだし,実は「本を書ける人」に憧れています。

去年から今年にかけて読んだ本の中で,「これは応援したい」と思った本を三冊紹介します。

 

●一冊目

『明日も元気に学校に来てください』

著者は「人生に悩むみゃー先生」。もちろん仮名です爆  笑

株式会社パレード発行(2024年1月17日第1刷発行)

著者の経歴は

・小学生時代→「マンガの描ける教師」になること。

・大学→教育学部。

・民間企業に就職。

・小学校教師になる。

・約8年間の勤務の後に退職。

・塾講師や学校のサポーターをしつつ現在。

そして生まれたゆとりの時間を生かし「note」というブログサイトに投稿し続けたブログを一冊にまとめたものが本書です。

帯によると「子供たちも、先生たちも、応援したい!いつも全力モードの「みゃー先生」が贈る教員生活奮闘記」です。

そして続く「先生の仕事っていつも、」に続く言葉にボクはすっかり共感してしまったのです。

「「〇しい」か,

 「〇しい」のどちらかだった気がする」

〇にはそれぞれ異なる漢字一文字が入ります。

さて,何でしょうかはてなマーク予想してみませんか音譜音譜

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「「忙しい」か,

 「楽しい」のどちらかだった気がする」爆  笑

いやぁ本当にこの通り。

ボクのセンセイ人生もまったく同じだなぁ。

そしてタイトルの「明日も元気に学校に来てください」

これってボクも中学校のセンセイ時代に毎日帰りの会の最後に言っていた言葉です。

生徒「起立・気を付け・礼」

ボク「明日も元気に学校に来てください」「さようなら」

生徒「さようなら」

 

中味はこんな感じ。

①私のこと

②子供って面白い

③学級経営あれこれ

④こんな授業やってみた

⑤教育業界について思うこと

⑥私の生き方・働き方

一つひとつの話(エピソード)が4ページ程度。

しかもマンガたっぷり。

ボクは通勤電車のなかで1話(エピソード)ごと読んで

疲れをいやしていました。

みゃー先生個人の体験談なんだけど,なんだか普遍性があるし,絵柄とあわさってクスリと笑える。それでいて言うべきことはキチンとサラっと言ってのけるスッキリ感もある。授業や学級経営の話はそのままマネできそう(ボクは中学校のセンセイだけど,そう思う)。

これが初出版とは思えない内容です。

・学校のセンセイで,こんなこともしてみたいと考えている人。

・学校のセンセイになろうかと考え中の人。

・お知り合いに学校のセンセイがいる人。

・何だかクスリとしたい人etc.

おススメです。

 

●二冊目

『カリブ海のイギリス領を知るための60章』

著者は川分圭子・堀内真由美編著。

明石書店発行(2023年月915日初版第1刷発行)

この「~~を知るための〇〇章」はいわば知る人ぞ知るロングセラーで毎年のようにシリーズ最新刊が発行されています。そして,まずたいていの公立図書館や中学校以上の学校図書室に備えられているでしょう。

ここ数年でお世話になったものとしては

『現代アメリカを知るための60章』『ウクライナを知るための60章』『現代ロシアを知るための60章』『大統領選からアメリカを知るための57章』などがあります。

それにしてもタイトルが長い。

そしてなんかすごくニッチな世界爆  笑

 

カリブ海…ボクの頭に浮かぶのは…

・キューバ サトウキビ キューバ事件 カストロ ゲバラ。

・ジャマイカ レゲエ ボブ・マーリー ジミー・クリフ

あとはパイレーツ・オブ・カリビアン爆  笑

 

読み始めると

予想通り,見知らぬ土地名,人名の嵐。

地図もあるが各ページに欲しくなる。

でも読み進むと構成のおもしろさに気づく。

 

イギリスがカリブ海に進出して植民地を築きました。

あんなことをして,こんな影響が残っています。

―― 標準的にはこんな書き方になる。

でも,この本は重層的に描かれている。

つまり,カリブ海の人びとが移民としてイギリスにわたる。コミュニティーをつくる。そこで生まれ軋轢…そしてそこから生まれる新しい文化。それがまたカリブ海に持ち帰られて生まれる新しい文化。

日本の教科書にも「多文化共生」とか「多文化主義」なんて言葉が載っているが,実際のところを教えてくれる。この視点にたって改めて日本と周辺諸国の文化交流を見つめ直すと,固定観念から離れた〈ものの見方・考え方〉ができるかもしれません。

 

通勤電車内での読書としては,まず20ある「コラム」を読むことをお勧めします。それでおもしろくなったら本文へどうぞ。

 

●三冊目

『増進型地域福祉への展開 ―幸福を生み出す福祉をつくる』

著者は小野達也・朝倉美江編著。

同時代社発行(2022年8月31日初版第1刷発行)

 

菅(すが)さんが総理大臣の時に突然

「自助・共助・公助」なんて言葉を持ち出した。

初めて聴いた言葉だったけれど、咄嗟に

これは「公助」=政府(国・地方自治体)による社会保障に頼らないで,自分たちで何とかせい!という「福祉切り捨て宣言」だと直感した。

 

ところがこの本にはこう書かれている。

「公助抑制のための福祉論ではない」

「「共助」の意味と「公助」の関係を再構築する」

「人が生きる幸せ」を地域で考える取り組み」

ふむふむ。

実はボクが「社会保障・福祉」の授業をするときに

真っ先にとりあげていることがある。

「福祉」って何?そのことを考えるために,

まず言葉の意味を確認しよう。

「福」の意味は何?

「祉」の意味は何?

あなたは答えられますか。

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「福」は「しあわせ・幸福」

「祉」は「しあわせ」

なんと

「福もしあわせラブラブ,祉もしあわせラブラブ

「つまり福祉はダブルハッピー」なんだよ~ラブラブラブラブ

私も,あなたも,みんながしあわせ。そんな社会をつくっていく。それが「福祉」なんだよ~クラッカー

おっと本に戻ります。

それでこの本を紹介したくなったのは,ボクと同じような視点で描かれているからです(勝手にそう思いました)

 

少し引用します――

「不幸をなくす、減らす」と「幸福をつくる、増やす」の対比で言えば、圧倒的に前者のイメージが福祉にはついている。福祉の仕事は不幸を縮減、消滅させることであり、幸福という領域は対象外という考え方である。

―― 前掲書4ページ

 

――

増進型地域福祉は幸福の実現を目指すということである。(略)マイナスをゼロの状態に戻すことで終わるのではなく、よりよい状態、理想、幸福の実現を目指すのが増進型地域福祉の基本的立場である

―― 前掲書13ページ

 

そして本書が優れているところは,

いわゆる理念や理論が書かれているだけでなく多くの実践があげられていることだ。それも1例や2例ではない。それも現場の方が書かれていることだ。

社会福祉法人の方、連合自治会の方、市役所の方、市社会福祉協議会の方、大学生etc.それぞれの人がそれぞれの関りの中で,

実現していること,しようとしていることを語っている。

地に足がついている感じが頼もしい。

こんな取り組みが日本各地に生まれるといいなぁとスナオに思えてきます。

 

さて,ボクが応援したい三冊の本はいかがでしたか。

ぜひどれかお手に取って読んでくださるようお願いします。

 

最後に余計なことを

『明日も元気に学校に来てください』の著者みゃー先生ことMiさんは,ボクと同じ教育サークルに通っている人です。

『カリブ海の旧イギリス領を知るための60章』の共著者

堀内真由美さんは、かつて中学校で同僚だった人です。コラムはすべて彼女が担当しています。

『増進型地域福祉への展開』の共著者

小野達也さんは、ボクの大学時代からの盟友です。

 

なんだよ知り合いの宣伝かいプンプン

って…はい,その通りなんです。

でも,贔屓目ぬきにいい本だと思えるから紹介できます。

 

ボクの知り合いが,ステキな本を書いている。

「本の虫」「活字中毒者」のボクを満たしてくれる。

それはボクにとっても幸せなことです。

それがあなたの幸せにもつながるといいなぁと願います。

 

最後までお読みいただきありがとうございますウインク