ボクが住む大久保界隈には「百人町」があります。
そして八王子市には「千人町」が。
いずれも江戸時代に甲州街道を東上する敵を迎撃するため
幕府の同心,いわば精鋭部隊が置かれた土地だ。
そんな八王子は今でも人口50万超の「多摩地区の雄」。
でも,近年人口は減少気味。
ボクは毎年近郊にある霊園を訪れるために八王子に来るのだが,バスの車窓からはシャッターが下りた商店の姿が目立つ。
今回は霊園の帰り道に途中下車。向かうは「松の湯」。
バス停の名前が「織物組合前」。
絹織物業で栄えた時代は中心地だったかもしれません。
横道を行くと見えた。壁の色が独特だなぁ。
あれは何色?「朱鷺色」かな?
1960年代くらいまでは大いにさかえた八王子には,
23区内では唯一の芸妓組合がある。華やかな朱鷺色からは
「松の湯」も,神楽坂・熱海湯のように,かつては「八王子芸者」の皆さんがお勤め前の支度に訪湯していたかもしれないなぁなんて連想が膨らみます。
(朱鷺といえば佐渡,といえば新潟,といえば東京の銭湯主さんは北陸出身の方が多い,ということで初代ご主人が新潟出身だったのかもしれません)
玄関先のこんな誂えも粋ですねぇ
さて、暖簾をくぐる。
ロビーが白木造りで明るい。思った以上に「現代風」。
2019年リニューアルオープンしたのでした。
階段を上ればさらに休憩所があるみたい。
風呂上がりに行ってみよう。
脱衣所も白木造りで清潔感アリ。
さて浴室は…。
カランの数は19。
やや手狭だが,その分湯舟を大きく構えています。
お湯の種類が豊富。
ジェットバス(なかなか強め),座風呂,水風呂,サウナ。
雲海から頭を出す珍しい構図の富士山のタイル絵が豪快で見入ってしまう。
何といっても高濃度炭酸泉です。広々としていて気持ちいい。
でも,大人気のうえに皆さんたっぷり寛いでいくので,なかなか
空きが出ない。ボクはもうちょっとの隙間でも手刀を切りながら
「ちょいとごめんなさいよ」と分け入っていくのだが,
こんな文化はすたれているらしく,湯舟周りを巡りながら声もかけずにあきらめる人がちらほら。
さらに露天風呂もある。なんて充実しているんでしょう
全体にぬる湯です。
たっぷり過ごしていつもの1時間。
風呂上がりは早速2階へ。
思いのほか空いていました。
漫画がいっぱい。奥の本棚の向こうがマッサージコーナーのようで話し声が聞こえてきました。今度来たらやってもらおうかな。
松の湯さん,ありがとうございます。いいお湯でした。
夜7時台なのに大通りは閑散。
でもこの街の灯としていつまでも営業を続けてください。