「マスク着用と歴代哲学者・思想家の話を結びつけちゃおう」
という無理やり授業のお話第2弾(最終回)。
本日のゲストは「フロム」と「リースマン」。
フロムはドイツの思想家・哲学者。
著書『自由からの逃走』はボクも大学時代に読まされました。何とか言いたいことは読み取れた気がしましたが,何の共感もわきませんでした(失礼)。
超大ざっぱに書くとこんなこと⁉――
自由は「選択の自由」。人間は近代社会において封建的束縛から解放されて選択の自由を得た。
しかし,選択の連続(自由であること)に疲れてしまい,権威に選択を委ねてしまおうとする「権威主義的パーソナリティ」をもつようになった。
ボクの話――
「あのさぁ。みんなのお母さん,お父さんでもいいけれど,あなたに“晩御飯のおかずは何がいい”って聞いたとするじゃない。
その時一番嫌う返事って何だろうねぇ?」
みんなパッと笑顔になります。
「3秒後に叫んでね,1・2・3,せ~~の」
「なんでもいい」と大合唱。
そして大笑い。いわゆる「ある・ある」ですね。
「でしょ,お家の人はさ,毎日毎日晩御飯のおかずを考える,選択することにつかれたんだよ。選択の自由を捨てて,あなたに委ねようとしたんだよ。それなのに“なんでもいい”って何だよ!ってそういうことですね」
(授業ではこの後,1930年代ドイツ人の揺れ動く心情について,混迷した政治情勢と合わせて少し説明しますが,そこは省略します)
リースマンはアメリカの人。
フロムと似たようなことを考えます。
「現代人の特徴として,仲間やメディアの意見に同調しようとする心性(他者指向型)がみられる。」
実は,この二人の話に入る前に,
一つの[問題]を提起しています。
「(5月8日以降)あなたはマスクを外しますか?外しませんか?」
1分間自由に話し合ってもらっています。
その結果を聞いて共有するのは意味があることだと思いますが,授業時間の関係で断念。
そしてフロムとリースマンの考えを説明した後で,
もう一度問い直します。
「あなたはマスクを外しますか?外しませんか?
それはなぜですか?」
「ボクにとって,あなたがマスクを外すか,外さないか,それはきつい言い方をすればどちらでもいいことです。だって,それはあなたの選択だからです」
「でも,外す,外さない,どちらの選択をしたとしても,なぜ自分はその選択をしたのだろうかと考えることは価値があると思い
ます」
「部活の後でマスクの話題になって,私はどうしようか迷っていたけれど,部長が“外すよね”と言ったから外すことにした。これって権威主義的パーソナリティっぽくありませんか?」
「私は“外したいなぁ”と思っていたけれど,世論調査の結果をみて7割の人が“外さない”と回答していたから外さないことにした。これって他者指向型っぽくありませんか?」
「あなたがどの選択をしても,どんな選択の仕方をしても,ボクは“良いか・悪いか”と言うつもりは一切ありません。
でも,繰り返すけれど,
なぜ自分はその選択をしたのだろうかと考えることは価値があると思います」
以上,「マスクと哲学」のお話でした。
今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
明日からボクは出勤時にマスクはしていきません。
持参もしません。
でも勤務校のロッカーには置いてあります。
けっこう小心者ですから(笑)
それに災害時の役に立つかもしれませんからね