最近気にしている役者さんふたりが大阪でお芝居に出演する。好機と捉えてあれこれ「ついで」をつくって新幹線に乗り、寄り道しながら夜の開演を待つ。
寄り道・その1。
『海遊館』。
8階から順路を下って水槽が見え、ジンベエザメが目前にくると老若男女人種を問わず感嘆の息を漏らす。余りの混雑にタイムアップ、4・3階を飛ばして『海遊館』を後にしたのが午後1時半過ぎ。大阪メトロ中央線「大阪港」駅から元来た鉄路を遡り…と、ここで悪い虫が疼きだす。
折角だから他の鉄道・路線にも乗ってみよう。
メトロ・九条駅を出て阪神・九条駅へ。
こうして迷走が始まる。
地上から地下へ電車が下ってくる、見慣れない光景。
一度乗り換えて大阪なんば駅へ。
とにかく色々な会社・車両が乗り入れていて面白い。
なんば駅の地下は広い。どうかすると隣の駅まで歩いて行ってしまいそうに思える。見当を付けて歩いたがこれは無理そうだ。今いる場所を確認したくて手近な階段から地上に出た。
…うん、分からない。
スマホのマップを開く。遅い昼食をとる為、目星をつけておいた店の一軒を目指す。
折角大阪に来たのだ。何はさておきお好み焼きだ。こういう事はステレオタイプでいい。
ステレオタイプがいい。
マップのナビだけが頼り、午後2時を回っているが、かえって‘渋滞’=並び待ちを回避できるかもしれない。
高速を右手に見ながら歩いて、程なく左へ。
アーケード街に入った。
マップのナビに従って右手の細い道を歩いてゆく。この先をクランク状に曲がるのか、なるほど。
なんと法善寺の前に出た。訪れるのは初めての筈だ。
母が集団就職で東京にやってきた際、4人の幼馴染が一緒だった。揃って同じ工場に就職したその内のひとりが後に大阪に移り住んだ。その縁があって幼い頃から幾度か大阪には来ていた。だが記憶にある映像は三番街くらいだ。親友同士が会う事が目的で、どこに行くかなどはあまり頓着がなかったのだろう。
そんな訳で戎橋筋商店街も法善寺も、知ってはいても実際に来たことがなかったのである。
かつて思いもしない包丁を仕事道具にする自分が今、偶然とはいえ法善寺に立っている。
だが、本人は気づいていないだけで今は「迷走中」なのだ。
つまり、
こういう事になる。
なんで?ガイドにはなかったぞ!
(注・帰宅後見たらありました御免なさい)
もと来た道を戻って戎橋筋から反対側の小道へ入ると程なく目的の店へ。
(戎橋筋を辿るのだから当然なのだが、まだ自分の居所が分かっていないのである。)
おお、本当に「飛込危険」と書いてある。
観覧車も見える。
スパイダーマンもいる。(?)
彼の前を通って、再度アーケードの下を行く。
このブロックから先は飲食店自体が減っていく印象を受ける…ようやく自分が迷走パターンに嵌っていることに気づいた。
こういう時は諦めるに限る、と自分に言い聞かせ目的ポイントのある心斎橋PARCOを目指す。レストランもあるだろう。
歩きながら違和感を感じはじめていた。この空気は何だろう?
心斎橋PARCOに無事到着、40分歩き詰めの大迷走だった。
13階の「鶴橋風月」さんでお好み焼き・エビ豚ミックスをいただく。諦めきれなかった(汗)
外はカリカリ中ふわとろ。マヨネーズの酸味が強め、卓上のソース追い掛けでうまい具合になった。
食後、目的の場所へ建物内を移動。
ゴジラストアOsaka。折角大阪まで来たのだから。
店舗は東京よりも広く活気がある気がする。資料集2冊とストア限定クリアファイルを買い求めた。
会計を済ませ、エスカレーターで地下へと降りてゆく。外国人の姿が減ると先程感じた違和感が強くなった。
何だこのざわつきは?
地下鉄連絡のB1階エントランスにはゴジラの銅像が立っている。これも目当てのひとつ。
1955年に公開された『ゴジラの逆襲』登場のゴジラ、通称逆ゴジ。初登場の怪獣・アンギラスと共に大阪を襲った。
さてここから地下鉄を乗り継いでホテルを目指す。ホテルに伝えたチェックインよりは少し早く着く…
…と思ったらさにあらず。改札を通ってからびっくりするくらい駅の中を移動する。他の線のホームに降りて端まで歩き、今度は上ってまた歩きを繰り返す。観光客より通勤・通学客が増えてくる。ざらざら感が肌を撫でている。
堺筋線に乗り継ぎ、南森町駅へ。ホテルはすぐ近くだ。チェックイン、荷物を受け取り部屋でひと休み。
今日のメインイベント、お芝居の開場は1時間半後だ。