今月いっぱいで完全閉店する「肉の万世秋葉原本店レストラン」に行ってまいりました。


私が物心ついた頃にはここにほぼこの形で建っていました。地上10階地下1階のこの建物、全ての階が「肉の万世」の店舗だった為「肉ビル」の相性でも呼ばれていました。コロナ禍の中集客数の減少により高級志向の上階から順に営業を止め、3年前にビルが売却され賃借の形で営業を続けていました。その後昨年までに各階が営業を終え、今月20日で3階レストランが閉店、末日には1階のラーメン店/居酒屋と4階レストランが営業をやめてビルは完全閉店することとなりました。


15分ほどの待ち時間で4階・入り口近くの衝立の向こうの席に案内されました。


混雑の中、ひとりでひとテーブルを独占。

衝立の向こう、沢山の人が順番待ちをしています。今日は3階も使用されている様で、下階へ案内されるお客さんも見られました。


例によって写真はありませんが180グラムのステーキとハンバーグの「ツートップステーキ」をお願いいました。

子供の頃、ここには幾度か連れてきてもらいました。ほぼお向かいにあった交通博物館へ行き、帰りに「肉の万世」でお子様ランチや子どもサイズのハンバーグを食べさせてもらいました。

ハンバーグを口にしながら様々なことを思い出します。父と妹の3人で訪れた時の奇妙な緊張感、母と妹の同級生の母親5人で席を囲んだ時の高揚感、目の前を電車が通るのを見ながらの楽しさ。

ステーキを切り分けながら、初めての給料で1番安いステーキを頼んだときのことも思い出します。自然に振る舞いながら実はカチコチに固まっていたな。

その後はおいそれとは敷居を跨ぐことはできず…今日この時まできてしまったな。やっぱりここは特別だったから、なかなか入れなかったなあ。何回かしか来なかったけれど、濃い時間だったんだなぁ。


ああ、ご馳走様。


会計も大混雑、並んで待ちます。

会計を終えつい笑顔でごちそうさまでした、と告げるとカウンターの40代と思しき女性がありがとうございました、とこちらもつくりものではない笑顔とお辞儀を返してくださいました。

この気持ちよさ。ここまでが外食の価値、外食の楽しさ。堪能しました。


土砂降りの雨と列車が止まる強風の中、がんばって足を運んだ甲斐は十分にありました。そして、

玄関の外はいつのまにか青空に。暑いくらいです。


ビル1階のローソンの一角には「万世コーナー」が設けられていて、


万世謹製の牛肉まで売っています。

このコンビニも今月末に閉店します。


もう午後2時過ぎですが1階のラーメン店には行列ができています。中華風のトンカツが乗った「排骨拉麺」(パーコーラーメン)が名物です。



私が遊ぶようになって半世紀、秋葉原の街は変わり続けてきました。その中で目を向ければ必ずそこにあった建物。ずっとそこから、見守ってくれていた、ふとそんな気持ちになっていく…ありがとう。

東京の真のランドマーク、歴史の証人がまたひとつ消えてゆきます。


数日降り続いた雨で、神田川も普段見ない多くのゴミを流していきます。澄みわたることはないけれど明日には静かな水面を取り戻すでしょう。