2/7(水)から開催されている

『世界らん展2024』


販売ブースの店員さんのお話では

「木曜日のお客さんは7.000人だった」

との事。最終日までの8日間の間には3連休もあることから昨年の総来場者数34.000人を軽く超える事は間違いないでしょう。

こんなに前に進めないのは初めてです。でも立ち止まってしまう気持ちはよく分かります。


それでは上位受賞花のうち目についた株をご紹介。


リカステの園芸品種。元親株が示されないのはこの名=桂川が品種として登録されていることを示しています。



レリア・アンセプス‘ビューティークレイン’

レリアはカトレアの近縁種、この種は私も育てたことがあります。長く細い首の先端に花を着けるのですが…これは凄い😳

‘美しく長い首’とは名づけたり。


多くの方が歓声を上げていたコチョウラン。

ほぼ真っ白な花。これ程のものを見るのは初めてです。


私の大好きな「チンチク蘭」のひとつ、マキシラリアの交配品種。元親のMax.ポリフィロステレは育てやすく良い香りが身上の品種、Max.シュンケアナは黒い花が特徴。

何だか、誰もこっちを向いてくれていないんだな…でもやはりマキシラリアの花。


左のスマホをかざす手は無論私ではありません(笑)

距離感からこの株が如何に巨大か、感じていただけるでしょうか?

レナノプシス(Rnps.)はレナンセラ属とバンドプシス属の交配種。





カトリアンセ属(Ctt.)はカトレア属とグアリアンセ属との交配種。グアリアンセ属は20年くらい前にカトレア属から独立した属です。地道な研究の結果、こうして別の種類と判ることがらんの世界では割とあります。逆にこの頃ソフロニティスという属が全てカトレア属に移されました。実は同じものだという事で属がなくなってしまったのですね。更にレリアという属の一部がカトレア属に変わったりしたので交配種の名前も変わってしまい、いくつかの交配種の名前もなくなりました。ちょうど一時園芸屋から離職した頃の事で、折角覚えた品種の名前が使えなくなり復職の時は涙目になりました(笑)。

拡大してみましたが花にピントが合っていませんね。反省。


シンビジウムの園芸品種。シンビジウムの下垂種(花が垂れ下がるタイプ)が一般に出回る様になった頃は小型種が多く、大きい株かと思いきや上向き品種を無理矢理捻じ曲げた鉢まで現れました。

それにしても先のレナノプシスといい、育てるのにどれだけのスペースが必要なことか。



ザ・カトレア!美しく背筋を伸ばしたバルブとピンと張った葉、大輪の花。


中型のカトリアンセ。この品種などは昔ソフロレリオカトレア属だったかも…上述の事情で属名が変わっています。気になって調べたら旧品種名でも売られているそうです。デンドロビウムにも旧学名で流通する種類はあります。


「花の女王」がカトレアならばリカステは「らんの女王」。花も株もデリケートで手の掛かる種類ですが根強いファンを持つ仲間です。他のリカステの前で壮年のご夫婦の会話が聞こえました。

「ほら貴方、これ〇〇先生のところにあった株よ!やっぱりもらっておけばよかったわねえ」

…ええ(震)、怖い世界だ。


「女神のスリッパ」、パフィオペディラム。花の形、色艶。正にパーフェクション。


レオメセジア(Lsz.)は以前ハウエアラと呼ばれていた属で、オンシジウム属・ロドリゲチア属・レオキルス属の3種の人工交配種です。コルクに着けて育てられているのがわかるでしょうか?‘

ラバ・バースト’はこの属で最も出回っている品種で、私も育てたことがあります。勿論、これ程立派で花数の多い株はまずお目にかかりません。まして管理が難しいコルク仕立て。素晴らしい!


珍しいチシス属(キシスとも)。メキシコからペルーの高地に10種が確認されています。ラングレイエンシスはそのうちの2種の交配種です。こういう株はどんなふうに入手するのか…おそらく愛好家の間で直接やりとりされるのでしょう。

「〇〇先生の…もらっておけば…」

本当の話だったんですねぇ。


リンコレリア属とカトレア属の交配でリンコレリアカトレア。高い密度で整えられた株に綺麗に咲き揃った濃い山吹色の花。


こちらもリンコレリアカトレア。大輪のピンクがこれも綺麗に咲き揃っています。ぎゅっと締まった株が花を邪魔していない仕立ても凄い。素焼き鉢のままで出展されていますが、その汚れに注目です。植え方や水やりが下手だとコケだらけになったり白くカルシウムが浮いたり変に粉っぽくなったりするものなのです。綺麗なだけではなく、表面の濡れ具合から鉢の下側がいかに水はけ良く植えられているか、真ん中から上に程よく水気があっていかに展示期間中の世話に気を遣っているかが分かります。

それはすなわち愛情の深さが鉢に現れているということです。


Paph.シン イーズ プライド‘パーフェクション’

「女神のスリッパ」の多様性!丸くもあればこんなにトンガっているのもいる!

30年ほども前、現地から紹介された原種・Paph.サンデリアナム。大きな株、沢山着いた花、長く垂れ下がったペタル(横に広がる部分)は優雅にカールしていました。

本株はサンデリアナムの血は入っていませんが観るほどにサンデリアナムの感激が甦ってくる様な思いです。


花を観た思いのままに綴っていたら、なんとはなく昔の自分を辿るような文になってしまった気もします、すみません…。

次の回は花・花・花でいきます。ひたすらお花のご紹介です。