11/26(水)、有楽町マルイで開催されていた
ガメラEXPO in 有楽町
へ行ってまいりました。
入場は30分刻みの時間制。私は12:00入場の組になりました。平日お昼前と言うのに結構な人出です。私同様「大きなお友達」が大半ですがお若いカップルや女性お一人も見受けられます。近年は増えているように感じられますね。
ここで会場の方から口頭でさまざまな注意事項や「会場の上手い回り方」などのガイドがあります。これはいいやり方です。
では、入場。
ガイドのアドバイス通り、最初の方の展示物と観入る人びとを擦り抜けて、会場の出口近くまで歩を進めます。
今回最大の「売り」がこれです。
平成ガメラシリーズ3部作のガメラ・揃い踏み。
左から
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)
『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)
『ガメラ3 邪神覚醒』(1999年)
作品世界ではこれらは同一個体、同じガメラです。
手前から1億5000万年の眠りから目覚めたガメラ、より戦闘的な姿になったガメラ、そして地球規模の危機に対処すべく更に攻撃的に進化を遂げたガメラです。
この3体は全てファンからクラウドファンディングで資金を集め、それぞれオリジナルから複製もしくは残っていた予備スーツから復元された物です。
(蛇足ですが私もガメラ3スーツにちょこっと出資しました。)
やがて混んだ展示場所を飛ばしてここへ来る人が増えてきました。入り口付近まで戻ってじっくり見学しようかな。
今回の展示のほとんどは2020年・蒲田と2022年・東京タワーでの「特撮のDNA展」で展示された物ですが、新たに2つの作品の関連展示が仲間入りしました。
まずひとつが『GAMERA』。10年前、ガメラ生誕50周年を記念して制作された4分強のショートムービー(トレイラー?)です。大型モニターで流されており、久しぶりに鑑賞できました。残念ながらこれは撮影禁止、YouTubeとのリンクもできずここではお見せできません。
本作のガメラ雛型。私は初見です。
非常に重厚なデザイン・意匠です。このデザインは後に引き継がれます。
東京を襲うギャオスの群れ。逃げ惑う人の群れの中に少年・マナブがいた。父親に励まされながら必死で走るマナブだったがその目前で父はギャオスに喰い殺されてしまう。更に他のギャオスの牙が眼前に!次の瞬間、ギャオスの首は踏み潰されていた。呆然と立ち竦むマナブ、見上げるその瞳にはギャオスの群れに敢然と立ち塞がるガメラの姿があった…。
監督に石井克人、音楽に川井憲次を迎え、マナブの父親を脚本家の宮藤官九郎が演じるなど相当に力の入ったショートムービーです。更にお披露目がニューヨーク・コミコンであったり謎の新怪獣が姿を見せるなど、当時ファンの間にガメラ復活か!?と期待が高まりました。しかし残念ながらこのトレイラーが発表されただけでこの時は終わってしまいました。
8年後、ガメラは意外な形で復活を遂げます。それがアニメ『GAMERA—Rebirth—』です。4人の少年たちとガメラをめぐるひと夏の冒険は従来のどの作品とも接点を持たない新たな物語です。先のガメラ2015を更に重厚にしたデザインのガメラを始め昭和シリーズの怪獣たちが装いも新たに登場し、ファンを喜ばせました。当初Netflix限定で公開され、好評だった為先日NHKでも放映されました。
アニメ作品ということもあり、本作の展示はパネルのみとなりました。
次のコーナーは『小さき勇者たち GAMERA』(2006年)に関する展示。
平成3部作の後、ガメラとギャオスの存在する世界線での異なる物語を少年とガメラ、仲間たちの友情を中心に新怪獣との対決を描きました。監督は平成ライダー/戦隊/ウルトラ各シリーズを手掛ける田崎竜太。
本作はいつかブログでも触れてみたいです。
本作のガメラ、愛称「トト」の展示用スーツ。レプリカではなく当時本編用の着ぐるみと変わらない時期に製作された様です。誕生時には子どもの手に乗る程度の大きさでしたが、最終的には体高30メートルまで成長します。それでも歴代のガメラに比べると小さいですね。
本作の敵怪獣・ジーダス。着ぐるみはラストのシーンでの爆破に使用されて現存しません。
体高は30メートルと低いながら体長は最終時150メートル、「トト」とは圧倒的体格差があります。ギャオスの遺伝子を持ち、やはり人間を好んで食べます。捕食(!)シーンもリアルで全シリーズでも屈指の悪役ぶりを発揮します。因みに背中のトゲは着ぐるみでは水道用のホースを用いていて、これは東宝の『大怪獣バラン』(1958年)の着ぐるみへのオマージュとされています。
ジーダス(手前)のスーツ用頭部・実物とトト=ガメラのスーツ用頭部レプリカ。無垢なトトに対してとにかく悪そうなジーダス。
通称アヴァン・ガメラの頭部レプリカ(手前)と本作のギャオスの撮影用マペット実物。物語冒頭、33年前現れたガメラとギャオス。人々を守って4頭のギャオスと死闘を繰り広げた老ガメラ。
平成3部作ほど一般には知られていませんが、ジュブナイルな内容は昭和シリーズの正当後継作品ではないかと思っています。
続いては『ガメラ 大怪獣空中決戦』から。先にご紹介した通り2020年蒲田・2022年東京タワーの2回で紹介された物で占められています。
左上・ガメラアップ用頭部(実物)、右上・東京タワーでのギャオス(マペット・実物)と卵、左下・ギャオスアップ用頭部や中央線車両、伊原剛志・中山忍両氏の人形(吊り橋シーンの合成の為の位置確認用)など、右下・本シリーズのキーアイテムである勾玉。この勾玉を通じてガメラは人類と交感します。
この時のスーツは『ガメラ2』の撮影に流用された為現存しませんが、代わりに頭部が数店現存します(手前・アップ用、2番目・アクション用。他にマペットなど。3番目は『ガメラ2』の、4番目は『ガメラ3』のスーツ頭部。最奥は『ガメラ』の飛行シーン用のミニチュア)。
次は『ガメラ2』からの展示。
左上・ガメラアップ用頭部、右上・小型レギオン着ぐるみ(実物)、左下・草体と小型レギオンミニチュア(一部実物)、右下・飛行ガメラミニチュア(実物)。
本作の敵・宇宙怪獣レギオンは巨大な女王と2メートルほどの無数の兵隊レギオン、それらが巣として育てる草体が1セットの存在です。ハキリアリとニホンミツバチをアイディアに盛り込んだ怪獣です。高さがガメラの約2倍・体長が3倍近い巨大レギオンの着ぐるみはアクターが2人入って動かす正に巨大な物でした。ラストの爆破に使用され現存しない、と2020年の時点で発表されていました。ところがその頃から「公開時・公開後の展示で実物を見た」という声が多数あがりました。一方で展示されるのは実物(ガメラに角を折られた後の通称‘赤目レギオン’だけ、という状況が続いています。全長が4メートルを優に超える巨大な着ぐるみの「真実」はいまだ謎に包まれたままです。
(巨大レギオン頭部の壁掛け風レプリカ。左のサインは造型を手掛けた原口智生氏、右は本作の特技監督・樋口真嗣氏のもの)。
『ガメラ3』からの展示。
左上・物語冒頭の「ガメラの墓場」シーンで使われた甲羅とガメラの頭骨、右上・ガメラを憎む本作のヒロイン・綾奈が手にする黒い勾玉、左下・綾奈と交感する敵怪獣イリスの頭部(レプリカ)のアップ、右下・劇中シーンのパネル展示(上・渋谷のシーン、下・京都駅構内のシーン)。
今回は展示されませんでしたが、本作の敵怪獣・イリスは撮影で使用された実物スーツが現存します。蒲田で展示された際に痛みは見られましたが完全な状態でした。できれば末長く当時の空気を伝えてくれれば…と思います。
展示順にゆっくり眺めて、また3体揃い踏みの晴れ舞台へ。
皆この3ショットを撮っています。写真では離れて撮っていますが、誰も撮っていないわずかな合間に誰かが接写を試みると皆寄って撮り始めます。この間離れて撮りたい人たちは黙って待っています。しばらくして撮影の合間があって、待っていた人たちが全景や1体毎を離れて撮り始めると今度は寄って撮りたい人たちが静かに待ちます。自然とこのリズムができているのです。撮り終えた後も他の人の邪魔にならないよう素早く身を引いたり屈んだりと、実に気持ちの良い撮影風景でした。
出口のすぐ脇に昭和ガメラの立像がありました。実際の着ぐるみよりひと回り小さいサイズかと思います。これは昨年他界された村瀬継蔵氏の手になるものです。
どの作品、というより昭和ガメラの総合的なイメージですが、鋭い目つきは初期のそれに近いように思えます。
村瀬氏は東宝入社後『大怪獣バラン』(1958年)から特撮映画に参加しました。先のバランの背のトゲを水道ホースで造ったのが村瀬氏です。その後大映で『大怪獣ガメラ』に参加、大魔神シリーズにも参加します。テレビでは『ウルトラQ』『仮面ライダー』にも関わりました。日本の主要な特撮作品のほとんどに参加された稀有な人物です。昨年公開された『カミノフデ 怪獣たちのいる島』で初の総監督を務められましたが、それが遺作となりました。
大映映画で製作された昭和シリーズ7作品で唯一現存しているタンク車のミニチュア。60年前に造られた貴重な造型物です。
昭和ガメラシリーズを紹介するパネル展示。上掲のタンク車以外に何一つ残っていない為、毎回このような展示になります。7作目の『ガメラ対深海怪獣ジグラ』(1971年)公開直後に大映映画は倒産しました。この為ガメラに関わる一切の造型物・資料は失われました。大映倒産に怒ったガメラシリーズ監督・湯浅憲明氏が着ぐるみ・ミニチュア・セット等を全て壊してしまった、倒産に伴うスタッフ・従業員と大映サイドの争議の中で破壊されてしまった、などいくつかの説があります。何があったのか…壊されたガメラや他の怪獣たちの姿と共に事実は永遠に消えてしまいました。
会ってみたかったなあ、あの頃のガメラやギャオス、バルゴン…個性的な怪獣たち。
それらが貴重な資料/史料となり、また時代を超えて多くの人々が鑑賞する展示物となるとは、当時は考えられなかったでしょう。
(今夏、北海道・旭川市にて展示されたメカゴジラの着ぐるみ。部分的に復元されてはいますがほぼ全身が50年前のオリジナルのまま。おそらく全身像の残る最古の着ぐるみでしょう。)
現在は『特撮のDNA』を筆頭に幾つかの組織が特撮関係の物品を収集・修復/復元、保管して各地で貴重な展示が行われ、冒頭に記したとおり多くの人がこれを鑑賞しに集まっています。今後もぜひこの流れがいていってほしいものです。
毎度お馴染み、出口前に設けられた物販コーナー。
中で面白かったのが
…「カレー作品」が秀逸。
(1960年代当時はモノクロ作品もスクリーンにかかっていた為、差別化のため「カラー作品」と謳って公開していたのです。)
物販売り場を一周見てまわりました。資料本などは惹かれたのですが、いかんせん高価で手が出ません。
入場から約2時間、ゆっくり堪能して会場を後にしました。
『ガメラEXPO』は来年1月から大阪での開催が決まっています。展示物は一部差し替えになるとのこと。私は足を運べませんが東京と違う何が展示されるのか気になります。































