たまにはまじめに彼女の話を | トリプルオルタナティヴズ

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上野樹里ちゃんのこと、本のこと。

ここ数日の雑誌の感想ですが、 まじめに書いていたらだんだんわけがわかんなくなりました。笑
胸がいっぱいすぎて変な人です。
雑誌の感想ですが、具体的な文章ではなく感情でものを言います。 よって、ネタバレにもなりませんが誰の役にも立ちません。笑 ご注意下さ~い!

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上野樹里という人は、 正直なところ、 わたしには全然わからない。
大前提として、完全なる他人であるし、 娘でもなければ友達でもない。姉でも妹でもない。
自信を持って、彼女ならこう考える、と何についても断言は出来ない。
こちらに届けられる言葉は厳選されたものだし、お客さんに向けたもの。 そもそもその情報量だって少ないと思う。
誰と比べてってわけではないけど。

なんだかそっけないことを書いているけど、 わたしはこの人にもう無性にどうしようもなく惹かれている。
簡単に心情を想像することが出来ないほど遠いのに、 家族だと言われたら、そうだねと答えると思う。
そういう存在のことって何て言うんだろう?と考えているところ。

ピクトアップ、CUT、シネマスクエアと、 雜誌祭り第二弾と呼んでいいと思う、ラッシュがやってきました。
映画やるよ、と発表された昨年の12月から、 次々に、ひとつずつ、丁寧に手渡される情報を受け取って 一生懸命追いかけて、楽しみだねって沢山の人と言葉を交わして、 期待したり、セーブしたり、 なんだか、ふわふわしたままここまで来た感じです。

去年の辛い砂漠は今となっては遠い昔。 でも、インタビューを読んでいたら、その頃のことを思い出しました。
いつ帰ってくるんだろう? 今、どんな気持ちで、何をして過ごしてるんだろう?
外国にいるのかな、家族と一緒にいるのかな、 傷付いているのかな、リフレッシュしているのかな?
好き好き大好きと言い続け、 その気持ちはほんとうだけど、何もできなかったし、 これからも何もできないし、今、どこにいるのかわからないし。

樹里ちゃんファンの友達が沢山できていたから、 あの頃は振り返ると笑っちゃうくらいよく集まってて、 いろんな考え方や受け止め方に触れて、 わたしの気持ちは揺れていました。
上向いたり、下向いたり。 自分の人生を行き当たりばったりながら、 それなりに懸命に生きているのと重ねてみたら、 樹里ちゃんがどんな決断をしたとしても文句は言えないと思った。
遠くへ行ってしまったかもしれない。 もう会えないかもしれない。 それでも、尊重しなくてはならないと思っていました。
ものすごい大袈裟に聞こえるかも。 でも、何も知らされてなかったからさ_ノ乙(、ン、)_

インタビューの中で少しだけ垣間見得る、 砂漠、否、休暇のこと。
一年間の予定だったけど、返上して陽だまりに出演したとのこと。
エンタメ業界のことはわからないけど、一年間という期間の休暇が どれだけ得難いもので、その裏にいったいどれだけの事情や やりとりや感情や出来事があったのか。
そこまでは、樹里ちゃんの口からは明かされないと思うし、 わたしも知りたいとは思わないけれど、 こうして帰ってきてくれたことは、もしかしたら奇跡だったかもしれない。

CUTで古河さんが書いている言葉が印象的でした。
「常に妥協のない姿勢で役作りに挑む個性的な女優というイメージを強く感じていて、 そこが彼女の魅力だと思っていたのだが、 実際に完成した映画を観ると、好きなことに懸命に取り組むことの幸せを全身で感じながら演じたこの「陽だまりの彼女」で上野樹里は、 さらに魅力的な女優になったことがよくわかる」

役者というのは不思議なもので、何にでもなれるようで どこへでも行けるようで、実はセリフや設定や演出の檻の中にいる。
柵の向こうから眺められるのはどんな気持ちだろう。 でも、誰にでも入れる場所ではない。
傍から見たら無機質な鳥かごでも、そこはきっと、とても魅力的で、 幸せで、彼女の居場所だったんだろうと思う。
扉をあけて外に出て、空は広くて、思い切り飛び回って、 そのままでいることも出来たのに、戻ってきた。
無理やり捕まえることはできなかった。 飛んで行ってしまったら、見送ることしかできなかった。
だから、公開前のこの時間がとても貴重な気がする。 彼女が何を大切に思うのか、それはスクリーンで見ることが出来る。

わたしは上野樹里という人を知らない。
でも、彼女の芝居に対する考え方や、表現力、 役者をしている姿がとても好き。
演じた役が好き。携わった作品たちが好き。 届けてくれる言葉が好き。作り出す世界が好き。
これからも、出会わせてくれるすべてを受け止めていきたい。 試されることも、考えることも、思い悩むことも、 傷付くこともあるかもしれないけど、どんと来いって感じ。
それだけ真剣な受け手がいること、観客がいること、 きっと相乗効果にだってなり得ると思ってる。

才能というのは誰にでもあるものではない。
天職に巡り会える可能性は決して高くはない。
どんなに願っても届かない夢はあるし 自分の本当の居場所に出会えないまま終わる人生だってある。
だからこそ、輝くべき場所で輝く人に憧れる。

友達になりたいわけじゃない。 ただ、どう生きるのか、何を見せてくれるのか、 それを見守りながら勇気をもらって、 自分のスケールの小さい、愛さなければならない人生を生きる。
何かをしてあげたいけれど、こうして思うことしかできないんだ。 でも、ごめんねじゃなくて、ありがとうと言いたい。
樹里ちゃんを好きでいることは、なんだか旅することに似ている気がする。

おかえりなさい。
帰ってきてくれてありがとう。