皆さんこんにちは,Btb山名です.
全然関係ありませんがこれは4月頭に注文して先日ようやく届いたマウスピースです.個人輸入も考えものですね.
Griego David Taylor 0 GP
カップ径29.21mm,スロート径8.02mm,金メッキ仕上げのクソデカマウスピースです.
さて,今回はタイトルの通り”””””ガチアルバム紹介”””””をしたいと思います.早速参りましょう.
One More Once,Caribe,Essence/Michel Camilo
まずはこの方,ドミニカ共和国出身のラテンジャズピアノの巨匠,Michel Camiloのビッグバンドアルバムよりこの3枚です.僕がジャズ研に入ろうと思うきっかけになったプレイヤーであり,この生き地獄を味わう羽目になったきっかけとも言える方ですね.ジャズのみならず,オーケストラとの共演など様々な場面で活躍する彼ですが,意外なことにビッグバンド形態でのアルバムはこの3枚しかありません.
「One More Once」(1994)とそのライブアルバムとなる「Caribe」(2009)共に収録されている「Not Yet」,「Caribe」は学バンで演奏される機会も多い曲かと思います.スタジオ録音としては「One More Once」以来,実に25年ぶりとなる「Essence」は,19年に発表されたばかりにもかかわらず,既にラテンビッグバンド必聴アルバムとも言える仕上がり.Art Blakeyへのトリビュートたる「Repercussions」,「Donna Lee」にインスパイアされたコード進行でありつつも,思わず笑みがこぼれるようなエグ過ぎるソリ,Lead Tp Michel Mossmanの舞い上がるようなソロによってコンテンポラリーな仕上がりとなっている「Yes」,Camiloの代表曲でありながらビッグバンドでの収録は初,ファン垂涎の曲である「On Fire」など,圧巻のボリュームとなっています.
Incredible Journey,Camouflage/Bob Mintzer
誰しも影響を受けた曲というものはあるかと思います.僕にとってのそれはこの2枚のアルバムに収録されている「Computer」,「Techno Pop」の2曲でしょうか.世にFunkと呼ばれるジャンルの曲は数あれど,ことビッグバンドという観点においては,この2曲こそがそれを真に体現している曲だと(個人的には)思います.Swingの成り損ないみたいなのとは違うシビアな16beat,マシンのような重厚なメロディーが魅力です.2枚のアルバム共にバストロンボーンを演奏するDavid Taylorの重機のような大迫力の音色もバストロ奏者としては見逃せません.ちなみに彼は上述の「One More Once」,「Caribe」の2枚でもバストロンボーンを演奏しています.僕の最も敬愛するバストロプレイヤーであり,冒頭のマッピも彼のシグネチャのものです.余談ですがシグネチャマウスピースを求める精神って好きな人と何もかも一緒になりたい的な感じで気持ち悪く無いですかね.まあ僕のことなんですが.
To the Sky,New Horizons,People & Places/Ryan Haines
生き地獄を味わう羽目になったきっかけとも言える方その2,トロンボーンプレイヤー,コンポーザーのRyan Hainesの3枚です.
代表曲「Like Thunder」はその魅力に抗えず様々なバンドが挑戦するも,十全に演奏しきれず散々な結果になることで有名です.バストロは吹いても聴いてもめちゃくちゃ楽しいんですけどね.共にアルバムのタイトルにもなっている「To the Sky」,「New Horizons」の2曲は(彼がアメリカ空軍出身だからかは定かではありませんが)大空を駆け上がるような爽快なFast Swing.聞く分には文句なしに最高の2曲ですが,いざ演奏するとなると途端に演者の額に冷や汗が伝います.「New Horizons」に収録されている「Bottom End Shuffle」は普段バンドの最低音を受け持つバリトンサックスとバストロンボーンをフィーチャーした世にも珍しい曲です.Ryan本人がバストロに持ち替えソロを取っており,バストロプレイヤーにとってはBible(聖書)ならぬHymn(聖歌)とも言える一曲ですね.
「People & Places」は2007年にリリースされた彼の最新アルバムです.ホーンアンサンブルのイントロから始まる情熱的なラテンの一曲「Tierrasanta」,ジャズワルツ調に始まり,ボトムパートの熱いアンサンブルへと展開してゆく「Sabrina‘s Theme」などバストロプレイヤーにはたまらない曲が揃っています.「Thicker Than Water」とタイトルにもなっている「People and Places」は組曲とも言える2曲です.前半の「Thicker Than Water」はピアノ2台ベース2本にホーンセクション2つ分を加えた異色も異色の構成.タイトル通り,深海にいるような重厚感を感じさせつつ,澄んだ水のような情景も抱かせる一曲です.エンディングにこれまでの鬱憤を晴らすかのようにスネアロールでドラムが入って来て,そのままドラムソロで「People and Places」につながります.「To the Sky」,「New Horizons」の面影を感じる爽やかなFast Swingに始まり,Ellington likeなダークな進行を挟んだ後ヒロイックとも表現できるメロディーでエンディングを締め括ります.必聴です.
Köln,Always Forward/Marshall Gilkes & WDR Big Band
同じくトロンボーンプレイヤー,コンポーザーのMarshall Gilkesよりこの2枚.自身も所属していたWDR Big Band(西ドイツ放送局,Westdeutschen Rundfunks所属のビッグバンド)との共演アルバムです.なんと言っても目を惹くならぬ耳を惹くのは「Always Forward」の1曲目を飾る「Puddle Jumping」でしょうか.ペダルトーンからハイトーンまでの笑っちゃうような跳躍を交えたソロは誰しもを魅了すること間違いなし.トランペットとトロンボーンのデュオから始まる「End in Sight」は,7拍子でありながらまるでポップスのようにも聞こえる爽やかなメロディー.最近は学バンで演奏されることもちらほら.「Switchback」,「4711 Special」の2曲はベースラインからも耳が離せません.WDR Big Bandの4th Tbに鎮座する髭もじゃの大男,Mattis Cederbergの膨よかな音色も魅力です.
El Viaje,An Argentinian in New York/Pedro Giraudo
ベーシスト,コンポーザーのPedro Giraudoより2枚.「An Argentinian in New York」は先ほど同様WDR Big Bandとの共演です.WDRの圧倒的なパワーとPedroのダークな世界観が合わさり,どの曲もマジで最強と言えるアルバムですが,中でも気になるのは「Desconsuelo Suite」,“絶望組曲”と名付けられた4部から成る組曲でしょうか.絶望と,その中に見える微かな希望を描いているとかどうとか…
「El Viaje」は彼のラージアンサンブルでの収録です.「El Bajonazo」は,ジャズでは比較的珍しい弓を用いたソロが魅力.「Punto de Partida」は,“出発点”を意味するタイトルとは裏腹にこれまた世界の終わりのようなダークな雰囲気.後半にかけての苛烈な盛り上がりが物語の始まりを告げているようにも聴こえます.
Dialmentia/Tim Davies Big Band
オーストラリア出身のコンポーザー,Tim Daviesです.彼は作曲を主に活動されている方で,またジャズのみならずオーケストラや果てはポップスまで幅広いジャンルで活躍されています.その中でもビッグバンドでの作品を1枚.キャリア故か,ジャズとその他のジャンルが融合したような曲が多く,また使用する楽器や構成も特徴的です.ディジュリドゥというアボリジニの民族楽器を使用しているのが特徴の「Counting to Infinity」や,クラシック調に始まりHip-HopやFast Swingをごちゃ混ぜに,果てはラッパーまで登場する「Hanging By a Thread」など,なんでもありな感じが楽しいですね.我こそはというディジュリドゥ奏者,或いはラッパーの方は僕のところまでご連絡ください.一緒に演奏しましょう.
Musings/Christopher Zuar Orchestra
“現代のジャズシーンを牽引する“とかいう表現,よく耳にしますよね.じゃあジャズシーンってどこだよとなりますが,事このアルバムに関してはニューヨークのビッグバンドシーンをバチバチに牽引しまくってるとかどうとか.Christopher Zuar,本作収録時に若干27歳というのだからもうため息しか出ません.全曲通して,ホーンセクションのアンサンブルとヴォーカルが調和し,雄大なストーリーを描きます.というか僕の表現力ではもう描写できません.とりあえず聴いてください.
Pursuit of Happiness,Zappa Forever/Thierry Maillard Big Band
最後に紹介するのは,紹介したアルバムの中で最新の「Zappa Forever」を擁するThierry Maillard Big Band.フランス出身のピアニストThierry Maillardのリーダーバンドです.とは言え,ビッグバンドを名乗りつつも「Pursuit of Happiness」での構成は複雑怪奇.フルートにアルトフルート,クラリネット,バスクラリネット,サックス4本にトランペットとフリューゲルの2本,極め付けにトロンボーンセクションにはチューバが鎮座と,意気揚々とスコアを買った者の頭を悩ませること間違いなしです(一敗).2020年4月にリリースされたばかりの「Zappa Forever」は作編曲家,ギタリストのFrank Zappaへのトリビュート作品.スコアとパート譜が別売り(半ギレ)な点以外,文句なしの2枚です.
如何でしたか?僕はもうドチャクソ疲れました.皆さんも良いジャズ,良いビッグバンドライフを!