「おおおおおおおーーーーーーーーーーーいい!!」


突然、そいつは大声で校舎に向かって叫んだ。


場が一瞬にして静まり返る。


不良にきれられたりしたらたまらないと、みんな黙り込んだのだろう。


「りょおおおおいちいいいいいいいいい!!!」


彼はとんでもない大声で、誰かの名前を呼んだ。


あまりの声量に、先生が顔をしかめる。


てか涼一って、


「生徒会長・・・?」


なんであんな奴が、生徒会長の滝田を?


やっぱ滝田って、本当に不良だったりするのかな?


「なんだお前、滝田に用があるのか!」


小田先生はめげずに彼の前に回り込む。


だが、再びスルー。


頭に来たのか、とうとう先生も手をあげようとしたときだった。


「うっせ」


人ごみの中から、そいつは姿を現した。


・・・滝田 涼一。


「お、いるじゃん、涼一」


不良は嬉しそうに滝田のもとへ歩み寄る。


それから、彼らはなにやらこそこそ会話を始めた。


が、野次馬が再び騒ぎ始めたせいで内容は聞こえない。


ただ、先生は生徒会長と不良が関わりがあること自体不満らしい。


イライラした顔で、その場に立っていた。


しばらくすると滝田は校舎へ、不良は校門へ戻っていき、姿を消した。


騒ぎも収まり、いつもと変わらぬ朝の景色が戻ってくる。


それにしても、あの不良、なんだったんだろう。


・・・って、ああああ!!


「あの人、しってる!!」


思わず声を上げると、友人がびっくりしてとびのく。


「ちょ、うるさい。 ってかまじで!?」


「うん、昨日・・・」


そう、あいつは昨日。


わたしの家の近くで暴れていた金髪だ。

大量更新しまっす。

とりあえず短編。





兎少年




「ごめん」


謝られたって、嫌だよ。


なんで、なんで、なんで・・・





























「なぁーにしょぼくれた顔してやがる」


聞き覚えのない声が頭上から降ってきた。


顔をあげれば、白い窓枠の向こうで何かがぴょんぴょん飛び跳ねている。


「・・・・・・」


涙をぬぐって立ち上がり、窓をあける。


日光に包まれた庭で手足をブンブン振り回していたのは、


グラサンをかけ、ハラマキをしたおっさんうさぎだった。


しかも二足歩行。 しかもさっき喋った。


「なに、裕子のおもちゃ?」


「おもちゃじゃねーっつの。 人が励ましてやってるのに、うっざ」


最近のおもちゃは進んでいるなぁ。


こんなに激しく動いて、べらべらと喋るのか。


「励ますって、なんのこと」


尋ねつつ、窓に体を押し込んで庭へと飛び降りる。


趣味の悪いおもちゃだけど、汚してはまずい。


妹は機嫌を悪くすると、いつまでも泣き止まないから。


「とぼけてんじゃねーよ。 泣いてたじゃん」


「おもちゃが偉そうに」


むっとして、うさぎの体を鷲塚む。


途端に今までよりずっと激しく暴れだした。


「やめろよ!」


叫びながら、身をよじらせてなんとか抜け出そうとしている。


「おまえ、さっきまで親が離婚するって泣いてたくせによぉ」


そのひとことで、身体が凍りついた。


一瞬だけこの不思議なおもちゃに気を取られて忘れていた絶望感が、


また戻ってきた。


「君には関係ないよ」


そっぽを向いて、うさぎを開放する。


そいつは少しうつむいて、


「悪かった」


と謝った。


今日は、どうもよく謝られる。


「別にいいよ。 君の言うとおり、しょぼくれたってしょうがないし」


うさぎに背を向けて、再び窓に体をおしこんだ。


「待てよ」


窓の外では、またうさぎが跳ねている。


「遊ぼうよ」


てっきりまた謝罪か慰めでもいただけるのかと思えば、


突拍子もないことをいう。


さては不良品だな。


「なんで」


「いいじゃん。 俺、外で遊ぶの好きなんだよ」


おっさんなのに、心は少年じゃん。


・・・・・・まぁいっか。


「なにするの」


「木登り」


うさぎはそういって、庭の隅の大きな樹木を指差す。


ほんとうに子供だな。


「別にいいけど」


本日3度目の窓くぐりを終えて、うさぎの横に飛び降りた。


嬉しそうに木に駆け寄っていくうさぎ。


そのあとについて、ゆっくりと歩き出した。


そのときだった。


「莉乃」


名を呼ばれて振り返ると、玄関先で手招きをする父親の姿。


その手には、荷物の詰め込まれた大きな鞄があった。


「・・・・・・」


「ごめんな」


返事を返さずにいれば、また頭を下げられた。


なんなの。


謝ってばっかり。


父も母も、身勝手だ。


俺達が分かれても、お前たちの生活に支障が無いようにする、なんて。


そんなのこじつけだ。


大好きなのに、2人とも。


いなくなったら、それが一番の支障なんだって。


謝るんじゃなくて、気づいてよ。


「おーい」


こみあげる涙をひっこめて、うさぎの方を向いた。


そいつはすでに、木のてっぺんに近いところまで行きついていた。


「今いくよ」


声をかけて、最後にもう一度振り返る。


なんの哀れみか、微笑みかけてきた父親をおもいきり睨んだ。


あいつは、きっと家族が大嫌いだ。


だったら、嫌いになってやる。


二度と会いたくなんかない。


身勝手な親になんか。


木に歩み寄り、くぼみに手をかけた。


うさぎは人の気も知らないで、枝に腰かけて足をぶらぶらさせている。


「いい眺めだなぁ」


うさぎの視線の先には、昼下がりの静かな住宅街がうつっていた。


あれくらい気楽になれたらなぁ。


そう思うと、


うさぎの隣にすわって、同じ景色を見るのが怖くなった。


今は、この住宅街が”いい眺め”には見えそうにもない。


木から手をはずして、うさぎの背をながめた。


嫌になる。 この世界。



~end~

翌日の朝休みの事だった。


まだ眠そうな顔の生徒たちの頭を叩き起こしたのは、


巨大なエンジンの音であった。


「なに?」


教室で友人と話していた私も、気になって窓の方を見る。


外では登校してきた生徒や朝練を終えた運動部員たちがなにやら騒いでいた。


彼らの視線の先には、校門の外で止まった3台ほどのバイクがあった。


いずれもいかついデザインで、とても教師が乗ってきたのだとは思えない。


「なにあれ・・・」


友人と首を傾げていると、先頭のバイクに乗っていた一人がバイクを降りて、学校の敷地に入ってきた。


赤いラインの入ったヘルメットを指でまわしながら、人だかりに近づいていく。


「ちょっと、君たち」


騒ぎを聞きつけたのか、一人の教師が慌てて駆けつけ、彼の行く手をはばんだ。


青いジャージがトレンドマーク、体育科の小田先生だ。


「うちの学校の生徒か? 私服で、バイクで登校するなんんて、許されるとでも思っているのか」


仁王立ちで説教を始める先生を、彼は見事にスルー。


横をすりぬけて、スタスタと校舎の方へ歩いてきた。


「待ちなさい!!」


再び小田先生は注意をしたがむだだった。


彼はまるでなにも聞こえないかのように、無視をうつづける。