sweetさんへ

ご無沙汰しています。
厳しい暑さが続いていますが、如何お過ごしでしょうか?

過日は、彼の事を視て頂いて、ありがとうございました。お陰様で、無事付き合う事になりました。

出来れば長く付き合いたいと考えているので、暑い盛りを過ぎたら、彼とお店に伺いますね。

同期の眞白さんのこと、よろしくお願いします。

大野智





スイートは勘のいい人間である。
大野からの手紙を読まなくとも、何となく中身の察しはついていた。そうでなくとも、例の“彼”絡みの話しかないと思っていた。


「本当に彼の事しか書いてないとは……やはり、いい恋のようだな」

「皆んな、大野君の恋してる相手が誰なのか、わからないって言うんです。だけど、あんなにわかりやすいのにって、私はーー」

「眞白さん。貴女、私と同じ“目”の持ち主だね?だけどうちに来たって事は、何か悩んでる事がある。違うかい?」

「……はい。スイートさんほどではありませんが、私は、親しくなった相手の事が視える事があります。ただ、自分の事は視えなくて。だから、悩む事は多いです」

「自分が一番厄介だからねえ。だけど自分の場合は、感じればいいんじゃないかな?」

眞白が瞳を丸くしてぱちぱちと瞬く。

「……そう、か。そうですよね。答えは自分の中にあるはずですもん。自分と向き合うのって、簡単なようで難しいなあ」

「大丈夫だよ。それがわかってるだけで充分さ」

スイートが眞白の背中をさすると、彼女の肩が小さく震えた。

「…………母の癌が、再発して。ずっと迷っていたんです。色々あって、私は母と不仲だったので」

「無理は禁物。親子でも辛い事はあるし、出来ない事も山ほどある。それが人間ってものよ」

「ありがとうございます。だけど、看取り休暇が取れると聞いたので、自分の様子を見ながら、帰省してみようかと考えてます」

溢れ出す涙をティッシュで拭いながら、眞白が答える。泣いてはいるが、店に入って来た時より、少し覇気がある気がする。

「……何か作ろうか?今なら食べられるだろ?」

スイートの言葉に、眞白は大きく頷いて破顔した。



つづく