この3日間。何故か婚約者の翔さんがあまり口を訊いてくれない。


めちゃくちゃ考えて、もしかしたら“あれ”かなとは思ったけど、それはまだ翔さんに話せない内容だったので、俺は手札を出せずに煮詰まった。


しかも翔さんは、こう言うヤキモチ絡みの事となると、食事量が極端に減ってしまうのだ。


俺が浮気なんてしないと、頭では理解している。それでも、自分に自信のない彼は、俺が華やかな人間と談笑しているだけで、この世の終わりみたいな顔をしている事がある。


早くこの案件を終わらせて彼を笑顔にしてあげたい。絶対アレを見たら喜んでくれるはずだから。だけど、あまり急かしても良い事はない。


どうしたものかと思案した挙げ句、俺は義理の母の元を訪ねた。


「あら、雅紀さんが1人で来るなんて。ケンカ?一体あの子、今度は何を気にしてるの?」


「話が早くて助かります。翔さんにはまだ言えないので、秘密にしているんですが、実は祖母の指輪を翔さんにと頂いたので、その石を使って新しい指輪を作り直してもらってるんですよ」



「まあ、そんなに大切な物をうちの息子に?良いの?」
 

「祖母が良いと言ったので大丈夫です。ただ、指輪をデザインしてくれた人が、すごくミステリアスな男性なんですよ。それで、指輪の件でその人の泊まってるホテルに出入りしていた時に、翔さんに出会ったんです」


そんなタイミング良く出張でカットに呼び出されることがあるとは、俺も迂闊だったし不覚だった。


「だけど、そのくらいでは、翔が落ち込むことは無いでしょう?まだ何かあったの?」
 

「すみません。そこに彼の妹が居て、俺に抱きついてキスしたものですから。翔さんには後で説明したんですけど、嫌な思いをさせたかもしれません」


「雅紀さんなら、いくらでも良い家柄の綺麗な女性を望めますもの。子供が産めるわけでもない自分が、貴方の隣に居て本当に良いのか。本気だからこそ、悩むのかもしれませんね」


いくら何でも、翔さんが俺の子を産む事はない。そりゃあ、そんな奇跡があるなら嬉しいけど。夢物語だよなあ。





つづく