《翔》
「呼び出された理由については、よく理解しているようだね。朝倉翔君」
「はい。もちろんです」
2学期最初の中間テストの結果は、思っていた通り、とても悪かった。そして俺は、竹本と言う若い担任に呼び出され、彼の執務室で面談を受けている。
「クラス3位。学年5位は、普通ならいい成績で済む。しかし、それが君なら話は別だ。これまでずっと1位を保持していた君に何があったんだい?」
先生は鋭い。多分この人相手に嘘は通じないし、追い込まれて口を割るのもしんどい。俺は早々に諦めて自白することにした。
「……セックスしてました」
「冗談?ではなさそうだが、それは、恋人が出来たと言う訳ではなく?」
竹本は少し驚いたようで、さすがに一瞬、目を見開いて俺を凝視した。
「ありません。恋愛してる余裕は無いので」
「ああ、なるほど。そう言う考え方か。わからなくもない。けど、朝倉にそれが続けられるのか?だいたい、相手にもよるだろ。相手の名前を聞いても……あ、やっぱいいわ。考えりゃわかるから。青野と弟だろ?」
「先生が友達なら良かったんですけどね……」
「友達じゃなくても、話を聞くぐらいは出来るぞ?それじゃあダメなのか?」
「そんな事は……」
「本当は誰彼かまわずしたいわけじゃないんだろ?朝倉は今、1人に夢中になる訳には行かないもんな。だけど、その本意ではないやり方が、お前のやる事すべてに、少しずつ影響しているのだとしたら?」
「上手くやってるつもりで、そうではない……と言う事ですね。所詮子供の考えることですよね」
「あんまり考え過ぎると辛くなるぞ。今日はもう帰っていいから、帰ってゆっくり寝なさい」
肩を叩かれ、執務室を出て日常に戻って行く。
「セフレ作りしてる場合じゃねえな、マジ」
思ってたよりセックスって疲れるんだよな。2人ともしつこいし。いちいちまともに相手してたら、もっと順位を落としかねない。
「策士策に溺れる」だったか。その通りだな。
その日は、先生から言われた通り、早く眠りについた。そしたら、もう1人の俺が出て来て、何か夢の中でずっと話し込んでいた。
ような気がする。
つづく