《翔》
夏休みは、基本的には、
ほとんど勉強三昧の毎日だった。
当たり前だが、青野も俺も雅紀も、皆んな実家暮らしの高校生。かと言って、部屋で裸で抱き合ってるのを見られる訳には行かない。
だけど、一度覚えた快感を身体は時折無性に欲しがる。
そんな時、すっかり大人っぽくなった雅紀は、20歳ぐらいに見えて便利だった。深く帽子を被った俺は、雅紀に肩を抱かれて初めてラブホテルと言う物のドアを潜った。
ラブホテルと言うだけあって、造りが普通のりホテルとは違うのが面白い。部屋から浴室が丸見えだったり、可愛いピンク色で統一されてたり。
物珍しさにあちこち覗いて回っていたら、待ち切れなくなった雅紀に捕まった。
「構ってよ翔兄。そんなに時間ないんだから」
そう言えば、2時間だったか。
制限があるんだった。
「シャワー浴びてる暇も無いか」
「翔兄……」
ぎこちなく触れていた手に迷いがなくなって。雅紀は俺に触る事に慣れていた。
俺の反応する様子を見ては、敏感な場所を覚え、的確に狙って来る。そんなことだけ上達が速いなんて、複雑だけど笑えてしまう。
「何笑ってんの?くすぐったい?」
「いや、まだ数えるほどしかしてないのに、上手くなってるなと思って。ん、っ……」
「そりゃあ、捨てられたくないもん。努力はするよ」
「捨てる?俺がお前を?俺、ずいぶん信用無いんだな」
「俺が自信無いんだよ。自分が子どもだってのは、よくわかってる。翔兄に相応しい男になりたいって、焦ってもどうにもならないんだけどさ」
そう言うと雅紀は、俺を眩しそうに見つめて、寂しげに微笑む。胸の奥がぎゅっと苦しくなって、俺は目を逸らしていた。
なんて切ない顔で笑うんだろう。俺なんか好きにならなければ、もっと良い顔で笑える恋をしてたはずなのに。
制限付きの部屋で、ただひたすら快感を得る為に、欲を吐き出す為に抱き合う。
「あ、う、やめ、ああっ」
快感を得る事が目的の関係だったけれど、求められる事の心地良さを感じるようになったこの頃。
夏の終わりと共に、
俺の意識は更に勉強に向いて行った。
つづく