「ーーーー和也!和也!」


誰かが僕を呼んでる。誰だろう?この名前を知ってるのは、あの人だけのはずなのに。


「……なに?」 


目を開けて、信じられないものが見えて固まる。


「えっ?何これ?どう言うこと?」


両手で自分の頬を触ると、ちゃんと触れる。そして、目の前には困惑した顔の智さんが顔があって、あろうことか、僕は彼の膝の上に横抱きにされていた。


「君は、和也だよね?」


智さんは、そうだろう?と言いたげに首を傾げて甘く微笑む。


「あ、えっと、ごめんなさいっ!」


あまりの出来事に動揺し過ぎて、僕は彼の膝から降りて逃げようとした。けど、すぐに捕まって抱きしめられてしまう。


「落ち着いて、和也。俺だって滅茶苦茶驚いてんだよ。ほら」


耳が胸にくっつくようにして、智さんが自分の胸の音を聴かせてくれる。彼の鼓動は少し速くなっていて、智さん自身汗ばんでいた。


「僕、どうして人間になってるの?」

「分からない。けど……」

「けど、なに?」

「可愛いよ」

智さんが照れくさそうに言う。けど、とてもすぐには信じられない。

「え、可愛い?僕が?そうなの?」

「そうだよ、すげえ可愛い」

「どのくらい可愛いの?よく分からない」

「それは、その……」

「ねえねえ?どのくらい?おし、え、て」


突然腰を引き寄せる力が強くなって、目の前が真っ暗になったかと思ったら、智さんのアップで視界がいっぱいになった。


口づけられているのだと理解するまで、少し時間がかかった。驚いて反射的に彼を押し退けようとしたけれど、思いの外逞しい身体はびくともしない。


苦しくなって小さく胸を叩くと、そっと唇を外して息を継がせてくれる。でも、すぐに強請るように続きを求められて唇を塞がれてしまう。


長い長い口づけを終えた後、智さんはしばらく何か思案してから、真っ赤な顔でこう言った。


「あの、続き、してもいい?」






つづく