帰宅すると、母さんがご馳走を作って待っていてくれた。その上なんと、早く帰宅した父さんと妹のひかりまで居て、珍しく家族4人が揃って俺の芸能事務所合格を祝ってくれた。
ケーキまで買って何かを祝って貰うのは、何年ぶりの事だろうか?もう記憶に残っていないぐらい昔のことだから、かなり前の事なんだと思う。
それは確かに嬉しい時間だった。けど、俺は早くジニに会いたかった。ただ、この先のことで両親に色々と話す事があったので、俺が部屋に戻ったのは、思っていたよりずいぶん遅くなってからの事だった。それでも俺は、ランプを擦ってジニを呼び出した。
「智様、お帰りなさいませ」
「ただいま」
俺は跪くジニに歩み寄ると、そっと抱きしめて甘く芳しい彼の香りを胸に吸い込む。
「さ、とし様?」
「あ、これ、ジニにお土産。良かったら使って」
買って来た布団を、照れ隠しでジニに押し付けるみたいに手渡す。
「これを私に?ありがとうございます。わざわざこんなに良い品を……」
「気に入らなかった?あ、もちろんオーディションには合格したよ」
「気に入らないだなんて、そんな事ありません。合格おめでとうございます。これから忙しくなりますね」
「うん、東京に引っ越すからな。早くジニにも東京を見せてあげたいよ」
「それが、すみません。私は貴方と東京には行けません」
「何で?ずっと俺と一緒に居てくれないの?」
「出来ないのです」
「それって、俺の前世と関係ある?それとも精霊としての禁忌なの?」
「智様……」
震える唇に唇を重ねたら、驚いた彼は逃げようとするから、追いかけてまた口付けた。何度も繰り返すうち、ジニの抵抗は弱まり、微かな甘い声を漏らす。
「……ジニ、俺のものになって」
俺の囁きに、彼が瞼を閉じる。
それが答えだと思って、俺は彼をベッドに沈め、その上に身を落として行った。
つづく