元々、屋根裏部屋を片付けて、そこを自分の部屋にするつもりではいた。しかし、実際に始めてみたら、物が想像した以上に多くて、こりゃいつになるかわからないぞと危惧していた。



ところが、ジニと言う協力者を得て、作業はぐんと進むようになった。彼の話によると、こう言う魔法を使わない片付けなんかは、願いごとのうちに入らないそうだ。



なので、3つの願いはひとつも減らないまま、屋根裏部屋の掃除と片付けは春休みの間に終わってしまった。



「屋根裏部屋って狭いと思い込んでたけど、思ってたよりずっと広いなあ。これならダブルベッドを置いて2人で寝れそうだし、ジニが床で寝ることは無さそうだな」



「そんな!私は精霊です。ご主人様と同じベッドで寝るなど、とんでもありません」



「それじゃあこう言おう。これはひとつ目の願いだよ。これからジニは、毎日俺と同じベッドで寝ること」



「智様!そのような願いは……」



「ダメなの?」



「ダメではありません。しかし、私の為に願いごとを使われるのはおやめ下さい。智様には、本当に叶えたい願いごとがお有りですよね?」



「……もし、それが芸能界入りの話で、お前の力で入れたとしたら、俺はそのことをずっと後悔するだろうし、胸を張って芸能人として活動出来ないと思うんだ」 



「わかりました。では、毎日同じベッドで寝ると言う方を叶えましょう」



渋々と言う顔をして、ジニは俺を睨んだように見えた。そんなに嫌だったのかと、さすがに落ち込んでしまう。



大体、ジニが床に転がって寝ていたから、ビックリして「一緒に寝よう!」って言ってしまっただけだし。別に深い意味とか無いし。



だけど、あの時。

どうして俺は彼の瞼にキスしてしまったんだろう?あれからいくら考えても、答えは出なかった。



そうこうするうち、春休みは終わって、新学期が始まる。だけど、俺はこの学校に馴染めそうにないなと思っていた。







つづく