あの戦争から、
50年以上の時が過ぎた。





1999年、東京。
駅の改札口から、大きなキャリーケースを持って歩いて来る華奢な少年が居た。


「ええと、ここで**線に乗り換えて。それから◎◎駅で降りればいいんだな。よし!」


掲示板を見て確かめ、前へ歩き出す。そこへ、別方向から携帯を見ながら歩いて来た背の高い少年が、思い切りぶつかってしまった。


「うわ!ごめんなさい!」

「いててて……」


背の高い少年が、持っていた荷物を上手い具合に撒き散らかして、辺りに散乱している。これは拾ってやるしかなさそうだ。


「ほんとにすみません!」


人の良さそうな少年は、泣きそうな顔をして散らばった服や小物を拾っている。華奢な少年も手伝っていたが、いかんせん荷物が多い。


これじゃあ、せっかく早く家を出て来たのに遅刻してしまう。そう気付いた少年は、もう一人の少年に声を掛けた。


「君、そこのベンチに座って荷物を詰めて行くといいよ。俺は落ちてるのを拾って来るから。OK?」

「OK!ありがとう。えと……」

「俺は翔!櫻井翔」

「俺は……」

「悪い、早くしねえと遅刻なんだ」

「ソッコーで詰める!」


こうして、無事荷物を詰めた少年が、同じ駅に行くと言うので、2人は一緒にその駅の改札口を出て、待っていたワゴン車に乗り込んだ。


「「ん?」」


2人の目が合う。


先に来ていた3人も「ん?」と言う顔をしている。そこでようやく翔は、この少年が同じグループでデビューする【シークレットメンバー】だと気付いた。


「君が、最後の1人だったんだ。すごい偶然だね。改めてよろしく」

「「「よろしく〜」」」

後部座席の3人も笑っている。

「相葉雅紀です。よろしくお願いします」


雅紀は頭を大きく下げたものだから、座席でゴンと打って「てへへ」と笑っている。きっといい奴なんだろうなと全員が雅紀を見て微笑み、なんだか嬉しくなってほのぼのしていた。


「相葉ちゃん何歳?俺は松本潤」

「相葉ちゃん血液型は?二宮和也ね」

「相葉ちゃん好みのタイプは?俺は大野智」


話しかけやすい雰囲気を感じたのか、3人が次々に話し掛けていじっている。何だよ、俺だって相葉君と話したいのに!て、俺、何で怒ってるんだ?


翔は何故か不機嫌になってしまう自分が不思議で、ますます雅紀と話せなくなっていた。


ワゴン車は真っ直ぐ空港に向かい、道中マネージャーがスケジュールの説明をする。特に【シークレットメンバー】と言う、珍しい形でデビューする事になっている雅紀は、メンバー達と会うのも初めてだし、ダンスを合わせるのも初めてだ。


「大変かもしれないけど、相葉君が居ると楽しそうだな」


皆の意見はだいたいそんな感じだった。何処か「大丈夫」だと言う不思議な安堵感が、彼等の胸に小さな火を灯していた。





つづく