考え事をするうちに眠ってしまったらしい。目が覚めたらベッドの上で、トーマの腕を枕に転がっていた。こんな事をすれば腕が痺れて後々辛いはずなのに。


慌てて腕枕を外すと、手の甲に口付けてから腕を彼の身体に沿わせてそっと戻す。するとトーマが目を覚ましてふわんと微笑んだ。


胸の奥が、きゅっと苦しくなる。半分機械になっても、こんな風に感じるものなのかと思った。悲しくもないのに瞳が潤んで行くのがわかって、だからベッドから出ようとしたのにトーマはサトを後ろから抱いて離さない。


「……サト、もう1人で泣かないで」


バレていたのかと思うと、めちゃくちゃ恥ずかしかった。トーマが愛しくてたまらなくて、なのに同じくらい悲しくて泣いてしまう事が最近時々ある。こんなに側にいるのに、何故か苦しくて切ないのだ。


「ごめん。お前に心配かけたくなくて」


「俺の居ないとこで泣かないで。抱きしめてあげられない。なんで泣いてたんですか?」


こうと決めたらトーマはしつこい。サトが根を上げるまで追及するだろう事は容易に想像がつく。


「…………お前が好きだから」


かろうじてそこまで口にしたら、気持ちが堰を切ったように、ほろほろと涙が溢れてしまった。


「そんな、それじゃあまるで、愛の告白みたいじゃ……えっ?」


軽い口付けなら、今まで何度もした。けれど、それ以上を求める事はなかった。そしてお互いをどう思っているのかも、伝える事はして来なかった。


「俺も、貴方の事を愛しいと思ってます。すみません、言えば負担になるかもしれないと思うと言えなくて」


いつも自分よりトーマを優先する彼だから。
だけど、この人が自分を想って泣いていたなんて、知ってしまうといじらしくてたまらない。


抱きしめた腕の中で震える彼の顎を掬い上げると、そうっと唇を合わせる。それ以上する事は、これまで躊躇っていたけれど、舌先で唇の合わせ目をなぞると、彼は口を開けて受け入れてくれる。


トーマは今までした事のない、深くお互いを貪る口付けに頭の奥が沸騰していた。戸惑う気持ちは大きく、酷く動揺もしている。それでも、今はこのまま熱い流れに身を任せてしまいたかった。







つづく