*翔視点
 






「翔ちゃん。今夜から明日にかけて、めちゃくちゃ冷え込むらしいよ」


テレビの天気予報を観ていた智さんが教えてくれた。どうりで寒いと思った。よし、あったかくして寝よう。発熱素材のスウェットは用意してるし、すぐ出せるとこにあるから大丈夫。


「明日の朝は、今日より5度ぐらい気温下がるんだって」


しばらくすると、また天気予報を観たのか、智さんが画面を見ながら呟いている。明日は釣りに行くんだっけ?そんなに天気が気になる?あ、智さんの発熱素材のスウェット出してたっけ?


「智さん、これ、ぬくぬくスウェットここに置いとくからね」


「えっ?あ、うん。わかった、ありがと」


振り向いて頷いた智さんが、ちょっとガッカリしたような顔をして、またテレビを観ている……ん?フリだなこれ。 


なんかこう、背中に「しょんぼり」って書いてある感すげえ。なるほど、わかったそう言うことね。ほんとに仕方ない人だなあ、もう。


まあ、俺もパッと気付いてあげられないから悪いんだけどさ。そりゃあ、天気の話されても、そんな簡単にはわからんよ。


「あのね、智さん」


そっと後ろから近寄り、耳元に話し掛ける。ピクリと耳をそばだてた彼は、多分全身で俺の声を聞いてくれてる。


「俺、鈍いから、ハッキリ誘ってくんなきゃわかんないのよ。ごめんね、こんな鈍感で」


すると、じわじわ耳まで赤くなった彼が、ボソッと呟いた。


「今夜、いちゃいちゃしたいです」


めっちゃ可愛いんだよな。
こう言う時のこの人。


「あ、うん。よろしくお願いします」


そう答えたら、何故か彼がお辞儀をするから、つい俺もお辞儀をして、2人顔を見合わせて「ふふっ」て笑ってしまった。


だけどきっと、
また俺は気付かないフリをする。


だって、
照れ屋な貴方の照れてる顔が、
可愛くて仕方ないから。





おしまい*