毎日新聞出版 2019年9月刊
朝、目が覚めたら、
まだ外が暗かったので、
いやー、ずいぶん早く目が覚めちゃったな、と思ったら、
目覚ましアラームが鳴って。
なんてことない、いつも通りの時刻でした。
もう、夜明けがこんなに遅くなっていたとは!!
なのに、まだまだ暑い!!
ちょっと外仕事してたら、
汗かいて、バテバテに。
「秋」じゃないのか???
「食欲の秋」は来てるのに!!
で、気持ちだけは「読書の秋」も。
時間が無くて、
なかなか読めないんだけど。
三島屋百物語シリーズの第6作。
569ページ。
今回も、面白かった。
第5作の記事はこちら。
江戸の袋物屋、三島屋で執り行われる変わり百物語は
聞き手だったおちかが嫁ぎ、
代わって三島屋次男坊、小旦那の富次郎が聞き手を務めることに。
絵心のある富次郎は、
聞いた話を一枚の絵にまとめるようになる。
百物語の大切な決め事は
「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」…
「泣きぼくろ」
語り手の周旋を頼まれている「蝦蟇仙人」こと灯庵が
富次郎の最初の語り手に選んだのは
豆腐屋〈豆源〉の八太郎。
八太郎は富次郎の幼友達だった。
十四年前、〈豆源〉では家族がばらばらになるような出来事があった。
〈豆源〉は八人兄弟で、長男夫婦、次男夫婦、出戻りの長女、次女の許婚の奉公人も一緒に住む大所帯。
ある日の夜明け前、長男の嫁と次女の許婚が同じ寝間にいるところを発見される。
家族が大騒ぎする中、長男の嫁は、悪びれもせず薄笑いしている。
八太郎の父親に平手打ちされた嫁は、やっと正気に戻ったかと思えば、
そのまま気を失ってしまう。
目覚めたときには、朝方の大騒動をきれいさっぱり忘れていた。
その夜、八太郎の母親が、長男の嫁に泣きぼくろができていると話す。
しかし、嫁がほくろに触れた途端、ほくろはぽろりと取れてしまう。
その夜、四女のちぃ姉ちゃんは八太郎に、
取れたほくろが跳ねて、暗闇に逃げていったと言うのだった。
次女と許婚が〈豆源〉を出ていき、
代わって三女が結婚し夫婦で〈豆源〉に住むことになる。
そんなある日、
ちぃ姉ちゃんは次男の嫁に泣きぼくろができていることに気づく…
一人の女の恨みのために
幸せな一家が離散する話。
「姑の墓」
富次郎が次に迎えた語り手は、
絹物商のおかみ、お花。
お花の故郷では、
桜の時期になると村中そろって墓所のある丘に上って
花見をするのが決まりだった。
しかし、お花の生家では
女たちがその花見に加わることを禁じられていた。
その時期に丘に上って花見をするのもいけなかった。
訳あって城下の豪商、正木屋から嫁いできた兄嫁のお恵は
なぜ女だけが丘から花見をしてはいけないのか、理不尽だと言う。
それを聞いた祖父が
「丘から花見をすると、命を落とすからじゃ」と言って、
事の起こりを語り始めた…
激しい嫁いびりの末に亡くなった姑の、
永劫続く祟りの話。
「同行二人」
三人目の語り手は亀一。
継父に反抗的で暴れ者だった亀一は
町火消しの組の頭に預けられる。
下働きの小僧として働き始めるが、
生意気な亀一は兄貴分たちにしょっちゅういじめられる。
ある日、不始末をしでかした亀一は
兄貴分から命からがら逃げ出す足の速さを見込まれ、
飛脚問屋に引き取られる。
生まれ変わったように働く亀一は飛脚として一人前になり、
嫁ももらい子宝にも恵まれる。
しかし流行り病のせいで、
亀一の両親も妻子も亡くなってしまう。
仕事に戻り、悲しみを振り払うかのように走る亀一に、
いつしか後をついて来る男がいた。
赤い襷をかけた男は足も動かさず、
街道を滑るようにこちらへやって来る。
亀一は男が生身の人間ではないと気がついた…
妻子を失って嘆き死んだ男の魂が迷い出て
同じような境遇の男にとりつく話。
「黒武御神火御殿」
質屋「二葉屋」から質流れ品と一緒に届いた印半天。
左右の襟には小さく「黒武」、
背中には□に十の字を重ねた印が入っている。
二葉屋の女中が預けたというその印半天は
背中に当て布が縫い付けられており、
その当て布の裏側にはひらがなで謎の言葉がびっしりと記されていた。
富次郎はその言葉について瓢箪古堂の勘一に調査を依頼する。
勘一はそれが耶蘇教(キリスト教)の祈りの言葉だと突き止め、
二葉屋の女中、お秋が十年前、
神隠しにあったという話を富次郎に語る。
印半天をお秋に返すことにした富次郎だが、
三島屋に取りに行くと言ったっきり、お秋は半月経っても現れない。
そこへ五十両払っても大急ぎで百物語に入りたいと言う客が現れる。
やって来た男は身なりは豪奢だが、
年の割に髪は真っ白、全身に傷痕があり、
手足の指もいくつか欠けていた。
潰れた声で語りだした男は「大きな火事にあったのだ」と言う。
梅屋甚三郎と名乗った男は、
かつて放蕩息子で、博打にのめり込み借金まみれだった。
それでも博打がやめられない甚三郎は
自分たち兄弟の乳母だったお吉に借金しようと考える。
お吉の嫁ぎ先を訪ねようとした甚三郎は、いつしか森に迷い込む。
突然怪しい化け物に襲われた甚三郎は
何とか森を抜けだして、春霞が漂う梅林に出る。
霞をかき分け甚三郎がたどり着いたのは巨大な屋敷。
中に声をかけるが誰も出てこない。
甚三郎は外廊下で一休みするうちに眠ってしまうのだった…
禁教を信じたがその対価を得ようとして得られず
流罪に処された領主の怨念が屋敷となって人々を捕らえ苦しめる話。
それぞれの物語には
人の恨み、妬み、執念の恐ろしさが描かれているんだけど、
その祟りや怨念そのものよりも、
それを作り出す人間の恐ろしさを感じる。
最初の3つの話は80~90ページの短編だけど、
「黒武」は310ページの大作。
迫力あるストーリーで、
映像化したら、
さぞかし面白いだろうと思わせる。
しかし、
なんか整合性のないところがいくつかあって、
あれっ?てなって…
例えば、
屋敷の探索に出て奥の間にたどり着いたのは
2人だったはずなのに(p.427)、
いつの間にか6人になってる。(p.433)
まあ、これは探索の後、
みんなでそろって出直してきたってことなのかな?
いちいち細かく書いてなくても。
また、屋敷の畑で収穫した作物や
作っておいた料理は翌日には腐ってしまう。(p.386)
しかし、畑の方の作物は元通りになっている。(p.423)
つまり、食べるたびに取って来ないとダメだと思ったのに、
p.508「前日に、…掘ってきて、笊に入れておいた葱」ってあって、
あれ?
私の見落とし、勘違いか?
他の方のレビューを読むと、
聞き手が、闇を背負っていたおちかから
お気楽な次男坊の富次郎に代わって、
なんか物足りないとか、
「泣きぼくろ」と「姑の墓」の話は
女や姑がなぜそこまで人々を呪うのか、
事情がきちっと描かれてなくて、モヤモヤするとか。
確かに、言われてみればそんな感じもしますが。
作者自身が思うところあって、
そのようにしたのかな。
いつまでもおちかに重荷を背負わせるのも、ね?
これからそのあたりの事情も分かって来るのかな、
などと、期待しています。
まだ、百物語のうち、
3分の1くらいだからね。
これからですよ。
三島屋シリーズ、
既に9作目まで出ています。↓
宮部みゆき、
もう一つの時代ミステリー小説、
「きたきた捕物帖シリーズ」の第3作も出た!!
↑こちらも読みたいんだけど、
もう、ほんと、私が読むスピードより、
書くのが早い、宮部みゆき!!!
恐るべし。



